2013年3月17日
厳冬期に長野県の北アルプスにある唐松岳に行ってきました。標高は2696mです。
後立山連峰の一座で、数えるくらいにしかない日帰り可能であることから人気の一座です。冬はゲレンデのリフトを利用でき、標高1800mからのスタートできます。日帰りもできますが、今回は八方池山荘に宿泊し、登ってきました。
去年から始めた雪山登山。個人的に唐松岳を「雪山登山の集大成の地」として位置付けていました。同じ時期に雪山を始めた同期メンバが集まり、白馬連峰を眺める旅スタートです。
唐松岳について
地図
八方池山荘から八方尾根を往復するコースを歩きました。
唐松岳 雪山登山(1日目)
上信越自動車道で白馬村へ
土曜日の早朝に、登山仲間の一人が車でお出迎えしてくるため、青梅線に乗って青梅まで向かいます。
青梅線の小作駅で合流。田舎駅かと思いきや駅前に24時間営業のマクドナルドが存在する駅。
1日目はゲレンデの終着点にある八方池山荘に宿泊するだけなので、余裕の早朝ドライブです。
上信越で妙義や浅間を眺めながら高速を走らせると、横一線に並ぶ北アルプスの白いラインが見えてきました。
上信越を長野ICから降りると、白馬までは山越えの国道を通ります。
東京から白馬って中央道と関越道どっちかを利用していくにも遠いです。
途中の道の駅で野沢菜のおやきを食べて軽いブランチです。
このあたりでゲレンデ情報を調査すると、なにやらゴンドラやリフトが強風で動いてないとか…。快晴だし到着する頃には動き出すだろうとたかをくくって出発。
国道を抜けると一気に雪景色が広がります。快晴の空の下にアルプスの山々が並び、その迫力に大興奮。
登山をする前に腹ごしらえと飲み物や食料の調達をします。
花粉症に苦しむえきぃ君とすすむ君。
白馬に到着したのは東京を出てから約4時間です。
時刻は11時半を廻っていたので、蕎麦屋で早目の昼食を取ることにしました。
てんぷら付きの十割そばを食べました。付け合せの野沢菜が嬉しいところ。
匂いはベビースターのチキン味みたいだけど、そば茶が美味しいです。
十割そば。
そば粉100%なのでぼそっとした舌触りが苦手と言う人も多いとか。自分は好きです。
「とわり」と読んでるのですが、「じゅうわり」と読むのがメジャーなんですか?
強風によるリフト停止、白馬八方尾根スキー場のゲレンデを登る
白馬八方尾根スキー場の駐車場に車を停めました。
去年、スノーボードしに来ているゲレンデです。1年経ってまさか登山しに来る日がこようとは、その時の自分は思いもしなかっただろうな…。
時間は正午を過ぎていたので、ゲレンデを気持ち良さそうに滑る人でいっぱいです。
ゴンドラ・リフトが動いていてくれ、願いながらチケット売り場にやってきました。しかし、強風のため運行停止という無情な回答でした。
詰んだ…。
1日目は機械文明によって、楽して八方池山荘まで行く予定だったのに。そうは白馬が許さないとばかりに、無慈悲なゲレンデ登山となりました。
先月、日光白根山に行ったときにはゴンドラが運休で、登山中止となったのでそれと比べるとマシですが。
下二つのリフトは動いているようなのでそれに乗りました。
係員に一回一回お金を支払うめんどくさい作業をこなします。
ゲレンデに舞い降りたザックを背負った場違いな登山客。
一つ目のゲレンデを降りるとゲレンデの半分がなにかの大会の会場になっていました。その下には観客席ができていました。
その前を横切らなければいけなかったので、好奇の目で見られていた気がします。
リフトが二つしか動いていないので、激しく混んでいます。
ゲレンデの隅っこを申し訳なさそうに進む僕達。
なんで、こんな目に…。
夜は天気が大荒れとのことで、登っている間に山脈の向こうから雲が沸き始めてきました。
ゲレンデとはいえ傾斜がかなりあるので登るのも一苦労です。
照り返しが暑そうに見えますが…
風が轟々と吹いているので暑くありませんでした。
むしろ、残雪の氷の粒が顔にぺちぺちあたり痛いです!
背面には白馬の町並みとその奥には妙高山や火打山、戸隠山などの山々。
どんどん天気が悪くなり始める。
まさかスキー場を登るのがこれだけ大変だとは…。
兎平で休憩。
ゴンドラに乗れば10分掛からずに来れる場所に、1時間20分掛かっています。
ともあれスキー客はすっかりいなくなり登山客だけ。
最終リフトを登り始めます。
と、ここを登りはじめると同時に今まで登ってきたリフトが動き出しました。
「ほんと、ふざけんなよ!」
と暴言を連発するのぶさん。山荘まで行ってくれるリフトは動いてくれませんでした。
吹雪の夜に八方池山荘宿泊
八方池山荘(15:20)
駐車場をスタートして2時間半掛けての到着です。いいウォーミングアップになったとしておくことにしました。
八方池山荘は夕食のみの利用で予約しました。料金7500円だったかな?
リフト乗り場がすぐ隣にある山荘だけあって、山の頂上にあるような山荘とは違い、水や電気の制限といったものはなかったです。
夕飯までの時間はのんびり過ごしました。というか皆、昼寝してた。
「ちょっと外の様子を見てくる」
ということで一人で山荘の外を探検。30m先の視界が効かない程、強烈なブリザードになってました。
山荘から300m先にあるケルンまで到達。これ以上進むと遭難しそうだったので引き返しました。
12名ほどの50代前後くらいのパーティーは雪洞を掘って泊まる予定だったそうでしたが、この吹雪で諦めて山荘に宿泊していました。
お待ちかねの夕食の時間です。八方池山荘の夕食は、バイキング形式で取り放題です。
調理されているものが結構あり、ビジネスホテルのそれより断然おいしゅうございました。
暖房が効いていて暖かい室内。
4人でちゃんと一部屋でした。
夜中は吹雪の音がすごくてなかなか寝付けませんでした。えきぃ君以外は。
1日目はゲレンデを登って、山荘に宿泊しただけなのに、無駄に尺をとってしまった…。
いつものことですが、全く編集能力がありませんね。だから更新が遅れるんですね。
唐松岳 雪山登山(2日目)
白馬の夜明けと朝日を浴びる白馬連峰
二日目。
夜中の猛吹雪は嘘のように消え去り、快晴の空が広がりました。
朝日を浴びて橙色に染まる白馬連峰…。
あまりにも美しい光景ですが、あまりに清廉潔白な山々の姿に畏怖さえ覚えるくらい。
絶好の雪山登山日和。
今まで登ってきた全ての山の成果を存分に発揮してやりましょう。写真がボケてるせいで、人間がフィギュアみたいに見えるのは気のせいか…。
スキー場から市街地方面は雲海です。
最高の舞台を用意してくれた山の神様に感謝しなければいけませんね。
写真撮影を終えて準備開始!
唐松岳のコースです。
八方池山荘から八方尾根(はっぽうおね)を真っ直ぐ登ります。唐松岳頂上山荘の分岐から頂上を目指します。
コースタイムは頂上まで3時間50分となかなか長いです。
朱に染まる八方尾根。
御来光。
いつ見てもいいものです。
暴風吹き荒れる八方尾根を登る
南の方角には去年の9月下旬に辛酸を舐めた鹿島槍ヶ岳と五竜岳の姿が見えました。二つの山を結ぶのは八峰キレットです。
夏場でも危険な箇所に雪のある状態で行くことは永遠にないでしょう。全く進める気がしません。
昨日は天気が悪くて見えませんでしたが、八方池山荘はかなり標高の高い場所に建ってるんですね。
スノーシューを持っていきましたが、全くもって邪魔物でした。
誰だよスノーシューでさくさく登山できるとか言ったやつ!
あ、自分の写真が掲載された雑誌か…。3月だと雪が踏み固められているので、アイゼンだけで十分と言うことがわかりました。先行するパーティーの人たちはスノーシューやワカンをデポしていったみたいで、途中の岩陰に大量に置いてありました。
MSRの去年モデル(定価3万円)が置いてあったので、これを頂いてしまえば…。
「てっぺん取るよ」
大きなケルン!
快晴です。けど、物凄い風です。
風速にしたら20mはあったでしょう。紐で宙に浮かせたピッケルが、真横に飛びます。
この強風が今回の登山の難易度をグッと上げてくれました…。
北アルプスの森林限界は低いので樹林帯はありません。ところどころ木が生えているくらいです。
白樺と青空の景色が素晴らしい。
苦労して山頂まで行く必要なんてないんじゃないの?
置いてかれる。
登るにつれて風がいっそう強くなり、雪煙を巻き上げます。
尾根道の幅が広いのが救いですね。
しかし、空気が澄んでいるため遠く離れた富士山の姿も確認できました。
中間地点の丸山に到着しました。
「てっぺん取るよ」
丸山を過ぎると尾根幅が極端に狭くなります。
先行するパーティーは3,4人をロープで確保しながら歩いていました。
もちろん滑落すれば谷底まで運ばれてしまいます。ピッケルは必須道具です。
最後の尾根道は道幅が一人分しかなく、強風に晒されながら渡るのはとても怖かったです。一瞬でも気を緩めて足を滑らせたら、雪渓の底にホールインワンですから…。
そして、長い八方尾根を登りきると白馬連峰の向こう側の景色が広がります。
立山連峰がドーンと絶景を見せてくれました。
雪をかぶっていてもその険しい山容を露にしている、標高2999mの剱岳が目を引きます。
そして、北の方角には目的地である唐松岳山頂が見えました。
あまりの強風に心が折れかけていたのぶさん。さすがに山頂を目の前にするとボルテージが上がり、意気揚々と登りはじめます。
背景の巨大な山は五竜岳です。
山頂まであと少し!
気の抜けない頂上直下の急斜面。
遠く富士山を眺める白い道。
圧倒的な白い世界が360℃広がる唐松岳の山頂
唐松岳山頂(9:18)
遂に厳冬期の北アルプス唐松岳の山頂に立ちました。
山頂からぐるっと一周した動画。
一度はリタイアの文字が浮かんだのぶさんも、この達成感にこの笑顔。
360度雪山の景色は絶景中の絶景。
こんな景色が見れる日がこの先あるんでしょうか?
ひこにゃんもザックのサイドで強風に耐えながら頑張りました。
地吹雪を受けていたのですっかり肌が白くなっています。元から白いか。
先に山頂に来ていたパーティーが下山を開始しました。
山頂から人がいなくなり、おもむろに準備をはじめる3人…。
一体何が始まるんです…?
厳冬期の北アルプス。
冷気を纏った風が山頂を吹き抜ける中で男達の宴がはじまる。
写真右のぶさんのお尻をちょっと出した感じの引け腰が何ともいえない。
少し風が弱まってきたとはいえ、標高2696mの厳冬期北アルプスの山頂です。
場所を変えて五竜岳方面へ。
五竜岳「へ、変態だ…」
鹿島槍ヶ岳「あいつら、寒さで頭をやられちまったようだ」
のぶさんの「厳冬期の北アルプスで半裸になる」という少年の頃からの夢は、こうして叶えられたのであります。
こうして厳冬期北アルプスの旅は無事に大成功に終わることができました。
おしまい。
唐松岳より下山、暑いほどのゲレンデの熱気
ここからは来た道を引き返すだけの内容ですが、もう少しだけお楽しみください。
夏のアルプスの稜線はハイ松の中を歩くのですが、冬の稜線では雪によって隠されています。
夏の縦走のときは嫌と言うほど雷鳥を見れたので、冬場の真っ白な姿になる雷鳥との遭遇を期待してたのですが甘くないですね。気配すら感じることができませんでした。
スタミナの限界に近づいていたので休憩。唐松頂上山荘で風をよけながら補給をしました。
さぁ、楽しい楽しい下山の始まりですよ!
稜線で寝転ぶ。
八方尾根で一番の危険箇所。
白馬三山を寝ながら眺める。三つ名前がついてるけど覚えられない。
今年の夏、花の咲く季節に行きたいです。
日焼け止めを塗らなかったので、逆パンダ状態になる悲劇をこの時はまだ知らない。
雪山のくだりはほんとにサクサクでラクラク。
ゲレンデのリフトが動き出す時間なので、続々と登ってきます。
登山客よりバックカントリーする人の方が多いんですね。
スノーシュー履いて、スキーやボードを担いでくる人の多さにびっくりしました。登山客は3割くらい?
さぁ、ケツでバックカントリーだ。文字通りの意味で。
シリセードっていわれるやつです。
でも、ザックに括り付けてるワカンやスノーシューやらで軽快に滑れません。これをやると大抵、ズボンの中に雪が入り込むのが嫌です。
八方池があるらしいところ。
八方池があるらしいところから白馬岳を眺める。
くだり終えてくる頃には風は凪といってもいい状態に。
昨日のゴンドラの件といい、風に恵まれない二日間でした。
八方池山荘に戻ってきました。
冬のゲレンデでお金を払い降りるって…。
すごい無駄な気がしてなりませんが、人が多いゲレンデを徒歩でくだる気にはなれません。
本日もイベントをやっていて賑わっていました。
リフト2本とゴンドラ1つを乗り継ぎ下界へ。
初日に朝早く来れる人はスキー板を持って初日は滑べり、次の日の登山中は山荘に置いておけば効率が良さそうです。
お昼の時間でお腹はぺこぺこ。ゴンドラを降りたところにあるレストランに入りました。
ゲレンデといったら誰が何を言おうとカレーです。冷たい空気で満たされていた胃袋に、熱々のカレーを収めて大満足。
白馬付近の良い温泉って知らないんですけど、前回の後立山連峰縦走の帰りにも寄った十郎の湯に立ち寄りました。露天風呂はありますが、白馬連峰が見えないのが残念です。
さようなら北アルプス、そして唐松岳!!!
帰りの高速は渋滞にはまるも、90年代のJPOP縛りのカラオケ大会に突入しました。大一番の登山を終えて、皆が変なテンションになっていたのか、長野の佐久あたりから東京の青梅までずっと歌い続けていました。
唐松岳登山を終えて
唐松岳は雪山の最終目標だったんです。
八ヶ岳の編笠山に始まり、北アルプスの穂高連峰の丸山、中部地方へ遠征し伊吹山と御在所岳、最後に唐松岳。
いい具合にステップアップすることができました。
今年から雪山をはじめたメンバばかりだったので楽しかったです。
一般登山者が行ける雪山は限られているので、その範囲内で今後も楽しもうと思っています。個人的には西穂高の独標あたりまでが行ける範囲の限界かと思っています。
長くなってしまいましたけど、唐松岳は雪山一年生の4人で無事登頂、そして下山することができました。風が強敵でしたけれど、天気に恵まれ最高の展望でした。達成感と合わせて、これ以上に感動する山があるのかそれだけが心配です。
今年度の集大成となった最高の登山でした。
でも、雪山一年生のままでいいかもしれない。
コメント
風が強いのは本当に厳しいですよね
愛鷹山に行った際尾根で強風に会ったときは死ぬかと思いました笑
冬となると冷たさも加わってさらにキツそうです
ただ冬は空気が澄んでて景色がいいですね
>DahWahさん
どうも、再びのコメントありがとうございます。
雪山の敵は雪でも氷でもなく風ですね。
風が吹くと体感温度はぐっと下がります。雪山で晴れてかつ無風であれば、Tシャツ短パンで歩けるくらいに暑いです。
この唐松岳でも下山する頃には無風状態になり、レインウェアの中が蒸れて汗だくになりました。
冬のメリットは空気の綺麗さですね。
日本海側の北アルプスから富士山が見れましたからね。
しかし、今年の春は特に空気が悪く展望がきかないので残念です。
薄紅色に染まる山はとても綺麗ですね。
いつも美しい写真をありがとうございます。
前回の梅林はおとなしくて別人のようでしたが、
らしさが戻ってましたね。
山頂の裸族は楽しいです。
つまりみんな変態ですかね?=^^=
>すんこさん
朝焼けに染まる山のことを登山用語でモルゲンロートと言うらしいです。
唐松岳は人によっては日帰りで登る人がほとんどですが、山荘に宿泊した人にしかこの光景は見れません!
まぁ、みんな変態ですね。
春の山は慎ましく登ろうと思ってます!
こんばんは、beryblueさん。
実は先日、秋の紅葉が始まりだした唐松岳に、行ってきました(^^
beryblueさんの写真を見ながら、こんな景色だったなぁとか、冬はやっぱり厳しいな、と思いました。
唐松岳の話はまだアップしていませんが、アルプスの景色と空の色を思い出しながら、おいおいアップしていくので、また是非いらしてください(^^
なお、今回山頂で半裸になった方はいませんでしたが、崖っぷちの岩の上に立った方はいて、見ているだけで怖かったです(^^;
>悠さん
こんばんはー。
コメントありがとうございます。
冬に登っている身の自分としては、雪のない唐松岳が想像つかないので楽しみにアップされるのを待ちます。
山頂で半裸になる人なんて普通いませんよね!
自分も記事のストックがありすぎるので、なんとか消化したいのですが、めんど…
いや、時間が空いたら書こうと思っています!
今晩は。
週末唐松登ろうとしたら台風19号が勢力拡大。
テンション・ダウンです。
>Royalさん
こんにちは。
台風19号は今年最強みたいですね。連休中に押しかけるなんて…。
今年は本当に恵まれません。
台風が憎い。