
2013年2月10日
栃木県日光にある女峰山の麓、雲竜渓谷に行ってきました。
冬の1月下旬から2月の中旬の期間だけ出現する氷瀑を見ることができます。氷瀑は滝が凍り付いたしまったもので、渓谷にびっしりと形成される氷瀑は、「氷の神殿」の呼ばれていたりします。東武日光駅からアクセスしやすいこともあり、冬にもかかわらず、氷瀑を目的に多くの登山客が訪れます。

雲竜渓谷の存在はそれほど知られていませんでしたが、山雑誌に取り上げられ、徐々に登山者の間で認知されるようになってきました。休日ともなれば、狭い林道にたくさんの路駐ができるほどの混雑っぷり。ツアーが開催されるほどの人気になっています。
まだ、それほど盛り上がっていなかった2013年、雲竜渓谷を旅してきました。
雲竜渓谷について
雲竜渓谷の地図

雲竜渓谷の地図です。
山と高原地図にはコースの記載はありません(2013年時点の地図)。
滝尾神社からゲート付近に駐車して、コースの8割は林道を歩き、最後は渓谷を川に沿って歩きます。週末ともなれば、人が多く歩いているはずですが、若干間違いやすいルートもあります。
危険個所は最後の雲竜瀑手前くらいで、人も歩いているので基本的に難しいコースじゃないです。
死亡事故も発生していますが、コースを守っていれば発生するようなところはないかと…。ただ、レポートをいくつか読むと道に迷うケースがいくつかあるので、「あれ?」と思ったら引き返した方がよいとおもいます。
タクシーでアクセスする方法
東武日光駅から林道ゲートまでタクシーを利用。
林道ゲートまで行ってくれるのは三英自動車だけ(他の3社は滝尾神社まで、そこから片道1時間ほど歩く)。所要時間は15~20分程度で、料金は2600円~2800円くらいかと思います。3人くらいで行くと、お財布に優しい。
帰りはDoCoMoの電波で、連絡は入れられるらしいです。
雲竜渓谷トレッキング
東武線に乗って、日光へ

先週の奥日光に行ったときは、スカイツリーに雲が掛かっていましたが、本日の天気は晴れで全体を見渡せました。昔からある浅草の謎の金のオブジェですが、どうやって掃除してるのか疑問に思う。費用も掛かってそうだな…。

東武浅草駅は朝から小学校ご一行様で賑わっていました。
日光か鬼怒川か相変わらず観光客が耐えないです。

朝焼けと隅田川。

朝ごはんはパンプディング。ボックス席なので、皆で食べようと思いまして持ってきました。
手作りとかじゃないです。

浅草駅を出発した東武線はスカイツリーの真下を通過します。
昔は東京タワーの外の柱伝いに無断で登る人がいたそうですが、このスカイツリーに登る人が現れるのはいつの日になるのか。

相変わらずの硬い座席に悩まされつつも、2時間ちょっとで東武日光駅に到着です。

JRで来た毎度おなじみみず君と合流します。
赤がテーマカラーで赤いジャケットが特徴です。写真は裸のものしか用意できませんでした…。

駅前の噴水になんと氷瀑がッ!
目的を達成した僕たちはここで帰ることに。

嘘です。
ひでさんが車で迎えに来てくれたので、そのまま入口のある駐車場へ。
駅から車で10分少々、世界遺産の東照宮の横を進みます。

本日は自分を含めて5人です。
序盤はひたすら車道歩きです。凍結箇所はないので、アイゼン不要でした。

序盤で二手に別れます。
普通に車道を進むか渓谷沿いに歩くかです。渓谷沿いは非常に危険でパスしました。

山に登るわけじゃないので天気はあまり気にしませんでしたが、青空が広がっていて気持ちいいです。

しばらく行くと望遠鏡のある展望スポットにやってきました。

女峰山のどっしりとした山容が惚れ惚れする迫力です。
独立峰で鋭角な斜面の男体山と違い横に広がるなだらかな斜面を持つ女峰山ですが、山頂付近の稜線はガレた岩場で、危険箇所が多い山だそうです。

少し開けたところに到着。
ポイントの名称がないのでよくわかりませんが駐車場のようでした。
ここから渓谷沿いに歩いていきます。

渓谷らしく直径50センチ~80センチ台の岩がごろごろしています。

しっかり踏み後があるので安心です。
というかシーズン中の週末は人でごった返しますね。

イソギンチャクのように凍る岩。

しばらく雪道を進みます。

沢沿いに降り道幅が狭まってくるとついに氷瀑が出現しはじめました。

ここからは歩くのが大変になってきます。一部凍結した川を渡りながら進んでいくことになります。

アイゼンで川の中にある岩を頼りに乗り越えなければならないので慎重に進みます。

進むのをためらうような難所も。

ここは思い切って川に飛び込んだほうが笑いをとれるんじゃないかと思いましたが、その後のことが心配なのでやめておきました。

奥へ進むにつれて、氷瀑はその大きさを増していきます。

人を置いてみるとその大きさがわかります。

さらに遠くから。
人間の背丈を軽く超え3m弱の高さはありました。


こんな感じに氷瀑のなかに進入できるところもあります。
この瞬間地震が起き、つららが全部落ちてきたら、中世ヨーロッパの人間の体に合わせて針がびっしりついた処刑道具のように体を穴だらけにして死んでしまいますね。

RPGの中盤以降に出てくる雪の地方の街にあるダンジョンに迷い込んだ気分です。

ある程度進むとダムの壁面にぶつかりました。
ここで一度引き返し、登りなおします。

ツアーの人がいっぱい。

また、舗装道に出てから雲竜渓谷の最奥部を目指します。
手前の展望スポットには人が沢山いました。

階段を降りるとそこには雄大な雲竜渓谷の景色が広がります。

北アルプスの涸沢のような渓谷とは、また違った雰囲気がありますね。

川をまた何度も渡り最奥を目指します。

そして、現れる壁一面の氷瀑。
ここはまさに…

「竜の巣だッー!」


「天空の城ラピュタ」より。

幾多の竜がいるようです。

そして、歩道から10分少々で最奥部に到着しました。
広い空間になっておりそこには巨大な氷の竜の棲家になっていました。

人を並べてみるとその圧倒的な大きさがお解かりになると思います。


自然のアイスクライミングを楽しんでいる人たちがいました。

見かねて真似し始めるみず君。
アイスクライミング経験は八ヶ岳にある赤岳鉱泉のアイスキャンディでかじった程度。

ど素人の自分。
おかしい。映画で氷の壁を登っていたのは簡単そうなのに。全然、怖くて登れません。

2年前の山と渓谷の表紙を飾ったのは、こんな感じの構図だったらしい。
ちょっと違うと思うけど。

広い空間から更に奥、最深部には雲竜氷爆が待ち構えています。

最深部を目指すには、所々凍っている傾斜のきつい坂道を登ります。
本当に安全に行くには12本爪のアイゼンが必要です。

慎重に最後の道を登り終えると見えてきました。
とてつもなく巨大な雲竜氷瀑。

芸術は爆発だと言わんばかりの大きさです。
凍結した滝が巨大な竜のように曲線を描きながら天に向かって続いている光景は凄まじい迫力です。

お昼休憩をこの氷瀑の真下でとりました。
栃木といえば苺、「とちおとめ」です。
とちおとめの前身の品種である女峰(にょほう)は、この雲竜渓谷の山である女峰山から付けられたものです。


徐々に薄暗くなってきたので、お昼を食べ終えたら来た道を引き返します。

自然にできる氷はとても綺麗な青色をしているので、思わずかじりつきたくなります。

人気のなくなった雲竜渓谷は、氷の下を流れる水の音と枯れた木を揺らす風の音だけが響きます。
たまに、「ぴきき…」とか細い氷の音が渓谷を包み込みます。


最後は、ひっぷそりで下山しました。
ちょっと傾斜が足らず、無理やり体勢を作らないといけないので疲れました。

イモ洗いのように混んでいた日光市営温泉やしおの湯で温泉に入り、前回同様に宇都宮へ。
何度も登場していますが、氷瀑といったら爆弾ハンバーグだろということでやってきました。
自分たちのテーブルにいきなりおじさんが割引券をくれました。このおじさんこのレストランの役員の人らしく、お忍びで来ていたそうです。
「うちの店に食べに来てくれてありがとう!」と栃木訛りで各テーブルを回って、愛想良く客に話しかけていました。
しかし、僕は見てしまった。この店の店長が微妙な表情で役員の人を注意深く見ていたのを…。
雲竜渓谷 氷爆トレッキングを終えて
2週に渡り栃木からお届けしました。
正直、メンバもほぼ同じなので泊りがけで行っていれば交通費的によろしかったのは後の祭りですね。

流れる水が完全に凍りつかない微妙なさじ加減の環境だから、この雲竜渓谷に氷瀑の巣が生まれるのでしょうか。素人の見解ですが。ここまで成長する過程が気になるところです。
宇都宮に家がある自分としては、アクセスがしやすいのでまた来年か再来年にでもきてもいいかなと思っております。

氷が造る自然の芸術を見るには栃木県の日光までお越し下さい。
栃木県のスノートレッキングを楽しむなら、奥日光の戦場ヶ原(せんじょうがはら)もお勧めです。
コメント
すごいです。すごいです。
あんなに広範囲にあるとは思いませんでした。
間近で見るともっとビックリなんでしょうね。
最近は、ボッチ登山じゃなくて華やかで楽しそうですね。
>すんこさん

あまり人望のない僕ですが、最近は賑やかに登山に行けて嬉しいです。
ぼっち登山はもうしたくないですね。
雑誌とかだと一部しか紹介されていませんが、奥まで進んでいくと最深部までずっと氷爆が続きます。
ほんとに何かのダンジョンに迷い込んだような気になりますよ。
こんばんは、初めまして。
悠と申します。
以前から楽しませていただいております。
まず、氷爆。
すごいですね!
確かに龍のようです(笑)
実物を見てみたいですが、雪山には行くことができませんので、皆さんのレポートで我慢してます。
これからも、わくわくするような話を、楽しみにしています。
追伸1 以前、柵を飛び越えるパンダの写真がありましたが、あれはどのようにして作られたのですか? ずっと疑問でして(^^;
追伸2 …あの、出発駅は浅草ですよね…!?(^^; 私、常磐線と東武スカイツリーラインを使っているので、気になって気になって…些細なことにつっこんで、すみません!!(汗)
>悠さん
はじめまして。
コメントありがとうございます!
柵を飛び越えるパンダ…。果たしてどの記事だったか思い出せません…。
お菓子のサクサクパンダは美味しいと聞いています。
浅草ですね!上野に東武線なんか通ってませんね!
東京の下町を一くくりにしてしまいました。
こっそり記事を直すので、内緒にしてください。
雲竜渓谷は雪山とは違うので、ちょっとした道具さえあれば見に行くことができますよ!
実際に、ほとんどがスキー用の格好できてる人ばかりでした。
大きな氷爆で見ごたえがあります。
仲間と一緒のツアーは楽しそうで良いですね。
冬の川苔山・百尋の滝でも見ようと思ったのですが、
友人に振られ続け、行けませんでした(T_T)/~~~
凍った滝をおなかいっぱいかじってみたいです。
>マメミさん

今年は暖冬で百尋の滝はあまり凍らなかったみたいなので、来年に期待ですね!
去年の冬はあまりまわりに冬でも登るぞって人がいなくて、一人で行くようなことがしばしばありました。今年はみんな進んで雪の中に突撃してくれるので頼もしいです。
日光では冬の間に凍らせた天然の氷で、かき氷を食べられる店があります。普通のカキ氷と比べると断然歯ざわりがよく、美味しかったです。
こんばんは、VERYBLUEさん。
まず、余計な指摘で気を悪くされていないか心配でした(^^;
ちゃんと内緒にしておきます(笑)
それから、柵を飛び越えるパンダの写真は、八溝山に行かれた時の話の中にありました。
「焼きそば食ってる場合じゃねぇ!」の台詞とともに。
本当に、ずいぶん前から拝見しておりますが、いつも楽しませていただいてます。
コメントも、何度かしようと思いつつ、ついつい出来ずにおりました(苦笑)
また、栃木の方は年に数回足を延ばしていて、以前とびやま歴史体験館という城跡から見た、宇都宮市街地と山々が綺麗だったことを、覚えています。
鬼怒川を眼下におさめる景色は、機会があればぜひ一度、ご覧になってください(^^
(でももう、ご存知かもしれませんね!)
それでは、失礼します。
>悠さん

こんばんはー。
いえ、このブログの間違いを治してくれる更新権限を与えたいくらいです。
とびやま城に行かれたのですね。
実家から車で10分掛からない距離にあります。子供の頃行っていると思いますが、今ではさっぱり覚えていません。
今度帰ったときにでも足を伸ばして見てこようと思います。
鬼怒川も夏の暑い日も冬の寒い日も自転車で走っていました。
あのパンダの画像はネットで拾った有名なモノなので、自分で撮ったものじゃないのです@@;
「笹食ってる場合じゃねえ」
というのが元ネタになっております。
コメントを頂くとだらけきった性格の僕でもブログを続ける気になるのでありがたいです!
>つららが全部落ちてきたら、中世ヨーロッパの人間の体に合わせて針がびっしりついた処刑道具
それは鋼鉄の処女、アイアンメイデンですね!(キラーン☆
昔、先生に連れられて拷問博物館に見に行きました。
もしかしたら、スノーシューに続き、アイゼンデビュー出来るかもしれないんですよ!
無駄かどうかはわかりませんが、ちょっとづつ筋トレしてます。
>エリカさん

平野部では春が訪れているというのに、アイゼンデビューですか。
なかなかロックですね!
本数にもよりますが、6本くらいあると便利ですよ!
アイアンメイデン聞いたことあります。
この拷問器具は、金田一少年の事件簿かなんかで見たことがあります。
いつも楽しく拝見しております\(^o^)/
私も、ここに行ったことがあります!
しかし装備が貧弱なこともあり、最後の上までは登れませんでした・・・。
また来年、リベンジしたいと思います!(・×・)b
>adaさん

安全に行くなら、10本爪以上のアイゼンとピッケルが必要ですね。
来年は是非、ピッケル2本で氷瀑を直登してください!
暖かい目で見守っています。
氷瀑!スゴイですね!!
初めて見ました!大きい~!迫力満点ですね!
見てみたい♪
ブルーに透けてて綺麗ですね~♪
アイスクライミングは怖過ぎます(笑)
ラピュタのシーン見たら、タララッタッタッタ♪ってすぐバックの曲が頭の中で流れました(笑)
あのシーンかっこいいですよね~☆
>hearty
氷瀑を間近で見ると圧巻ですよ!
特に雲竜渓谷の氷瀑は限定された時期に徒歩でしか見ることができません。
晴れていたので太陽の光を浴びた氷瀑がいっそう青く見ることができました。
アイスクライミングは道具が高いので手を出せません…。
ラピュタはどのカットを切り取っても名シーンですね!
なんだか、ラピュタパン(目玉焼きを食パンに乗せたもの)食べたくなってきました。