【大分】九重山 日帰り登山 ～ 荒涼とした火山群、牧ノ戸峠から九州本土最高峰の旅

2014年5月4日

大分県の九重山くじゅうさんに行ってきました。標高は1791mあります。

標高1700m級の火山群の総称です。登山コースが豊富で、温泉付きの山小屋、テント場があり、四季を通して見どころがあり、九州で一番バリエーションが豊かな山です。

今回は、牧ノ戸峠から頂上扱いの「久住山」、最高峰の「中岳」の往復コースを歩きました。

ゴールデンウィークに九州の山々を巡ってきました。九州と言えば火山大国、1座目はこの九重山と心に決めていました。

飛行機を利用して、本州以外の登山は初でした。本州では体験できない壮大なスケールの火山を旅してきました。

九重山について

地図

牧ノ戸峠を往復するコースです。星生山、久住山、中岳の三座を巡るコースを歩きました。

九重山 日帰り登山

牧ノ戸登山口～九重山の夜明け

大分県九重山の登山口「牧の戸登山口」にある駐車場にて夜を明かしました。

火の国とは一体なんだったのか。とても寒くて殆ど眠れませんでした。もちろん5月初旬の標高1300m地点なのですから寒いのは当たり前です。

前日の様子は以下を参照してください。

5時15分登山開始。

九重山で一番ポピュラーな登山口である「牧の戸登山口」です。

本当は長者原（ちょうじゃばる）登山口から坊がつるを経由して縦走したかったのですが、後に予定しているスケジュールの都合上無理なので、最短ルートを歩きます。

坊がつるでキャンプするのは次回にお預け。

見晴らしの良い牧ノ戸峠までは、観光客が歩けるようにコンクリート舗装されています。

牧ノ戸峠まで来ると前日の真夜中に通りすぎた由布岳ゆふだけが見えました。左側のデッサンが崩れた双耳峰がとても特徴的です。

4日目に訪れることになる山です。

形が茨城県の筑波山（つくばさん）と相似していますね。双耳峰同士で（とても面白い山ダジャレ）。

九重山の核心部までは高低差の少ない尾根道が続く。まだ暗いので慎重に登ります。

由布岳の反対側の方角に阿蘇山あそさんが見えました。

広大なカルデラに草原地帯、その真中に阿蘇山、「九州にやってきた！」と思える景色です。

徐々に夜が明けてきました。

九重連山の一つの山（名前がわからない）の向こうから太陽が昇り始めました。

明るみになる山体。

1500mの稜線では緑は皆無ですが、低い場所では緑が生い茂っています。

太陽が顔を出し始めました。空が黄金色に輝きます。

ダイアモンド九重山。

果たしてそんな言葉があるのか疑問ですけど。

九重山の夜明け。

太陽が昇ると九州らしい暖かさが復活します。九州らしいって何。

九重山の稜線歩き～星生山

細い岩の尾根道であるため、梯子がところどころに登場します。

岩はしっかり固定されグラつかないので、非常に歩きやすい。

登山道にも光が溢れてきました。

栄養が乏しい火山なので、背の高い木があまり生えていません。

霜柱がサクサクと音を立てます。

5月の山ですが、まだまだ冬山ですね。

尾根道を抜けると道幅が広くなって歩きやすくなります。

登山道には粒上の白い花、アセビがたくさん咲いていました。

九重山といえばミヤマキリシマ(つつじの一種)の群生地が有名です。見頃が6月中旬なので、近い未来に再訪は必至です。

だいぶ歩いてきました。

扇ヶ鼻分岐。

通常は久住山（山頂）を目指すのですが、「星生山ほっしょうさん」という名前の山が気になっているので、そちらを目指します。

地図上は二つのルートがありますが、外輪を行くコースを通ります。

西千里浜と呼ばれる平坦な草原地帯。５月の風が緩やかに通り抜けます。

凍った池が点在して、太陽の光を反射させていました。

鳥瞰すると池が点々としているのがわかります。

九重山の核心部が見えてきました。

道が無数に伸びていて、どのコースを通っても開放感がありそうです。

奥のどっしりとした山が、九重山の久住山です。

息子の息子みたいな表現だな。最高峰ではありませんが、九重連山の山頂といったら久住山なのでしょう。

藪が濃くて登るのが結構大変でした。

西千里浜から延びる直登ルートの方が正しいのかもしれません。定かではありませんが。

そして、若干の苦労を強いられつつ山頂に到着。

7時5分星生山。標高1762mです。

星が生まれる山。なんともロマンチックな名前の山です。ビックバンによって宇宙が作られ、発生した水素とヘリウム等のガスが長い年月をかけて星を作るのではなく、九州の九重山から生まれていたのですね。

星生山から北西部の稜線にある硫黄山からは、火山ガスがもくもくと吐き出されていました。

本州の火山といえば、那須岳、草津白根山、磐梯山、吾妻山、焼岳などを歩きましたが、九重山は一段と大きく感じます。

星生山～阿蘇の大展望～久住山の山頂へ

さて、星生山に続いては久住山へ向かいます。

岩を登ったり降りたりアクロバティックな道です。スタンダードなルートではありませんから。

西千里浜の全景。

九重山の登山道は歩いてみればわかりますが、二車線になっていたりとかなり歩きやすく作られています。

岩の上に謎の器具が設置されていた。

避難小屋まで一旦下ります。

火山だからか向こうに見えている山までの距離が遠くに感じます。

熊本県阿蘇カルデラの大展望。

ぽつんと岩に立っているのが、自分です。大地と一体になっている感じがして、鳥肌が立つほどの高揚感がありました。寝不足で若干ハイになっているのもあります。

「久住分れ避難小屋」

ちょっとボロっちいですが、トイレもある無人小屋です。もう一つの登山コースである「坊がつる」もここに合流します。登り初めはぜんぜん人がいませんでしたが、星生山によっている間に追い抜かれた模様。

ここまで来れば久住山の山頂までは20分です。

岩がガレていて登りにくい。

振り返ると先ほど登った星生山。

白い稜線は噴煙をあげていた硫黄山ですが、ここからだと火山ガスは確認できない。

火山岩の上を進みます。

そして、いよいよ山頂が見えてきました。

8時26分久住山山頂。

山頂は360度の大展望です。

コースタイムは3時間20分かかっています。日の出を待っていたり、星生山に立ち寄っていたりしたので、ストレートに来れば2時間半から3時間で登頂できるのではないでしょうか。

久住山の山頂まで連れてこられたザク豆腐。

というか機内で食べていなかったのかと。

隙を見て集合撮影。

GWの中日、そして風もなく大快晴という条件から登山者がひっきりなしにやってきます。

お昼はローソンで買ったおにぎりと鶏炭火焼（2食目）。

本州のローソンでは売られていない惣菜です。

ゆずこしょうをきかせて頂きました。山頂で食べる鶏炭火焼は一味違う。

ひこにゃんはこの九州の旅をもって引退です。滋賀にまったく縁がないため。

これからは右手に持っているトトロが勤めます。

続々やってくる登山者。

自分たちと同じように連休中に本州から遠征しに来ている人も多いのでしょう。

久住山の山頂～中岳(九州の天井)～御池

久住山を一旦下山。

九重連山3座目である中岳を目指します。

久住山と中岳の中間にある笹原。

岩石帯と緑が融合した不思議な山です。

中岳への登りもなかなか急です。

初日から登りまくりですね。これで残り3日体力が果たして続くのでしょうか。

あと一息で中岳の山頂。

中岳山頂の手前にいい感じに飛び出した岩がありました。

中岳から北西を見ると坊がつるが見えました。

テント場があり、法華院温泉があります。絶対に泊まってみたい宿の一つです。

そして、中岳に到着。

「九州最高峰なのに地味な名前だな」というの心の声は伏せておきます。

この瞬間、九州にいる誰よりも高い場所に立っているという優越感は隠し切れない事実である。

中岳から眺める九重山の核心部全景。

火山というと鋭い山頂があるイメージですが、九重山は全域で緩やかな曲線を描いている山が多い印象です。

中央にある池は「御池みいけ」です。

というわけで、九重山を堪能したので下山を開始します。

御池まで降りてきました。

九重山のランドマーク的な存在でしょうか。冬は完全凍結するらしいです。

緑が生い茂る６月に来ればもっと色鮮やかになりそうです。

登山客で溢れています。

それでも登山道の車線が多いので、渋滞することはありません。

久重山下山

再び避難小屋まで戻ってきました。

家族連れ、山ガール、若者、トレラン、テント泊重装備など様々なタイプの登山者がいます。九州の一大登山テーマパークといったところですね。

西千里浜は牧場を歩いているかのように舗装されていました。

分岐まで戻ってきました。

再び尾根道を通って、駐車場まで帰ります。非常に長く感じる…。気温も上がり、半そででも十分なくらいに。

犬を散歩させている人が非常に多い。九州では犬の散歩に登山をする文化がある様子。

コーギーは登山向きでない車高の低さですが、頑張って歩いていました。

春の芽吹きも垣間見れます。

九重山が一番美しい時期は梅雨に入りますが、６月でしょう。

駐車場が見える位置まで戻ってきました。

駐車場が満車どころか路駐の列が永延と続いています。人気過ぎるだろ九重山…。

11時45分下山。

トータル6時間40分でした。

駐車場で震えて寝ていたのは遠い昔に思える。

高原ミルクソフトがとても美味しく感じられる気温に上昇。2014年のゴールデンウィークは暑いくらいでした。

ジャージー牛のむヨーグルトも頂きました。ジャージー牛というだけで美味しくないわけはありません。

登山はここまで、続きは九重山の麓にあるくじゅう花公園に向かいます。

くじゅう花公園でネモフィラやポピー鑑賞

牧ノ戸登山口から車で熊本県側に抜けます。

途中の公園にて小休止。

スミレが咲いていました。下はなんだろう。

午後になると空気が霞んできました。

うーん、早朝に登ってよかったです。

「くじゅう花公園」

国道442号を竹田市方面に行く途中にある花公園です。標高800mの位置にあり、九重山を背景に季節ごとの花を楽しめます。

くじゅう花公園のホームページ：http://www.hanakoen.com/

ここまで来るのに渋滞していて、睡魔のリミットがぶっ飛びそうでした…。この日は全部自分の運転。

5月初旬はネモフィラと芝桜。

そして、この季節のメインはポピー畑。

オレンジ、赤、黄色などのビタミンカラーが生き生きしています。

温泉に入らぬままなので、九重山で登山してきました状態での観光です。

花の色を合わせた花壇など見所がたくさんあります。

が、山頂でおにぎりと鶏炭火焼を食べただけなのでお腹が空いてきた。

公園内の売店でお昼にすることにしました。

紹介しよう、大分名物の日田焼きそば。

大分県の日田市で食べられている焼きそばです。普通の焼きそばは炒めるのですが、日田焼きそばは生麺を茹でてから焼くのが特徴です。表面はカリッとしています。

そして、安定の名物から揚げ。

そして、鶏炭火焼（まさかの3食目）。

親鶏の歯ごたえのある食感が病み付きです。砂肝より少し柔らかいくらいの食感。

というわけで、花のスナップをしばらくご覧下さい。

花を見ている間に晴天からたちまち曇天に。

明日の予報は雨…。明日の登山は中止になってしまうのか。

芝桜は秩父の羊山公園、ネモフィラはひたち海浜公園で見ていたのですが、ポピー畑は今年初だったので見ることができてよかった。

5月のくじゅう花公園は見頃の花が多いので、是非立ち寄ってみてください。

登山後に無理に来る必要はありませんが。

再び国道442号を熊本方面へ。

名湯の黒川温泉に入浴する

やってきたのは黒川温泉です。

黒川温泉は阿蘇山の北に位置する渓谷沿いにある温泉街です。

温泉宿を点々と巡る湯めぐりの入湯手形などのシステムを導入し、様々な工夫によって全国的人気の温泉地になったそうです。

やまびこ旅館に立ち寄りました。

正面玄関で寝ているのは看板犬のモモ。

温泉玉子が売り切れていて愕然。

旅館の中央に田の原川が流れていて、水の流れる音と新緑がとても風流な宿です。

躊躇なくこういう宿に泊まれる資金力が欲しいところです。

女湯はあるのですが、男風呂はなく混浴でした。

混浴だけども女の人は入っていないだろうと思い入ってみると、30代中盤くらいの女性一人が入っていました。それも旦那連れで。湯巡りで出入り激しいのに全く隠す気がなく、逆にこっちが気を使うほど。微妙な空気が流れる浴場となっており、長湯している人はいませんでした。

旦那連れだから視線にも困るし。

ラッキーなんだかアンラッキーなんだかのイベントもありましたが体はサッパリ。

黒川温泉にしかない牛乳工場で「山吹色のジャージー牛乳」を購入。

今まで飲んだどの牛乳より美味しかったかもしれない…。

何度も県境を越えていますが、いよいよ熊本県に突入です。

ラピュタ道という観光名所に行きたかったのですが、雨も降ってくるし、悪路らしいのでやめました。というか眠気が限界です。

本日の宿は阿蘇ユースホステルです。

70代くらいのおばさんが一人で経営していました。たまに手伝いが入るのでしょう。ほとんどの宿が予約できない中、電話して尋ねたら空いていました。自分たちで一部屋借りることができ、お値段一泊2000円です。ここで2泊することになります。

夕飯の買出しをするつもりでいましたが、二段ベットの上で力尽きて気絶し、起きたら女性陣が夕飯を買ってきてくれていました。

翌日の予報は雨。

阿蘇山の登山はどうなることやら…。

九重山の登山を終えて

離島の透き通るような青色の海を見ると同じような感覚が、この九重山にありました。

本州の火山にはない魅力があり、その一つ一つを並べるのは至難ですが、大地を形成している一つの山というのを歩いて実感できます。

しかし、九重山の魅力の1割しか体験できていません。

山中にある温泉付の山小屋「法華院温泉」、山をピンクに染める「ミヤマキリシマ」が咲く大船山、坊がつるでのキャンプなど、まだまだ自分の知らない魅力をもっと秘めていそうです。海を渡るので易々と来れる山ではありませんが、必ず再訪したい一座です。

ひとまずミヤマキリシマの咲く6月中旬に計画します。

文句のない天気に恵まれ、この九重山だけでも東京から登りに来た価値がありました。

2日目は九重山から見えていた阿蘇山に向かいます。

九重山の地図はこちら

九重山はたくさんのコースがあり、登山地図の購入をお薦めします。