2014年5月7日
大分県の由布岳に行ってきました。標高は1583mです。
九州でも別府に次ぐ温泉街である由布院のランドマーク的存在であり、独立してそびえる姿から豊後富士と呼ばれています。古くから信仰があり、その名は日本最古の歴史書である古事記に登場します。
GW九州登山の旅4日目。
大分県、熊本県、宮崎県とぐるっと周回し、再び大分県に戻ってきました。九重山、阿蘇山、祖母山と晴れましたが、最後の由布岳では一番の空気の澄んだ晴れに恵まれました。
独立峰でシンプルな登山道の由布岳を最後に登ることによって、九州登山の旅がぎゅっと引き締まるものになりましたと思います。
登った山それぞれを眺めることができ、今回の九州登山を締めくくるに相応しい旅となりました。
由布岳について
地図
正面登山口コースを歩きました。
最高峰の西峰と東峰をそれぞれ登りました。
由布岳 正面登山口コース
ツツジの咲く新緑の登山道
6時36分 由布岳登山口
由布岳は西峰と東峰の二つの峰しかありません。メニューにラーメンとチャーシューメンしかないラーメン屋と同じようにシンプルな山です。別府から登山口まで車で30分掛かりました。
やまなみハイウェイの序盤に由布岳の登山口があります。
前日の祖母山では登山口まで悪路の山道を30分以上進んだというのに…。
登山口に登山届けを出すポストがあります。
登山者への注意書きの看板がどうみても反政府デモのメッセージプラカードにしか見えない。
登山口が牧歌的な雰囲気をかもし出しています。
阿蘇の牧草地のようだけれど、一切そのような使われ方はしていないようです。
この景観だけでも観に行く要素があります。
草原に火山岩が点々としていて、噴火の名残を感じました。
人の手が加わっていない状態なのでしょうか…。
独立峰らしい均整の取れた形です。
新緑が山体の中間部まで登っていっているのがわかります。5月下旬ともなれば全部緑になるんでしょうね。
左側の丘になっている部分には写真じゃわかりませんが、鹿が3匹ほど歩いていました。
草原地帯を気持ちよく歩きます。ちなみに登山口で竹の杖をゲットできます。
10分ちょっと歩いたら草原地帯から樹林帯へ入ります。
トイレがありました。
登山口のほうが綺麗そうなので、わざわざここを利用しなくてもいいでしょう。
市街地に近い山であるため、登山道はしっかり整備されていました。
早朝の静けさの中、新緑の樹林帯を歩きます。
ミツバツツジが咲いていました。
祖母山のアケボノツツジもそうですが、登山道に花が咲いていると、その季節にしか味わえないものを実感できる。
緩い傾斜の道が続きます。
由布岳の外観を眺めた感じでは、すぐに登らせてくるのかと思いきや、横への移動が続きます。
合野越(ごうやごし)展望所に到着。
由布岳の市街地から伸びている西登山口コースとの合流点でもあります。
ここから山頂への急登になります。
所要時間は1時間15分です。薄くマジックで薄く直されているのが気になりますが…。
新緑の樹林帯を抜けます。
ジグザグの急斜面と湯布院の展望
ジグザクの砂利道に変わります。
徐々に展望が良くなってきます。
背景に見える連峰は九重山(くじゅうさん)です。
山頂はまだまだ遠く、右に登って、左に登っての繰り返し。
富士山と同じように独立峰らしい登山道です。
由布盆地そして由布院(湯布院)の街並みが見えてきました。
前日まで登ってきた山々を眺めます。
右手に九重山、左手に祖母山です。九重山の奥に阿蘇山が見えていたのですが、写真では捕らえることができず。
単調な登りにちょっとづつ飽きつつ、足元を見るとアヤメが咲いていました。
おなじみ馬酔木(あしび)も咲いています。
岩で出来た階段が現れました。足には優しくないです。
由布岳の傾斜は結構えげつない…。
標高が上がると枯れ木が目立ちますが、5月下旬ともなるとミヤマキリシマが由布岳でも咲くようです。
ようやくジグザク道の終点が見えてきました。
枯れ草の下にキスミレが咲いていました。
8時24分マタエ到着。
ここで、西峰と東峰と分かれます。
初日に登った九重山の登山口から見た由布岳です。
二つのピークの中間点がこの「マタエ」です。
最高峰である西峰へ向かいます。
マタエから西峰への道のりは今までとは違い、険しい岩登りに急変します。
独立峰と市街地が近いことから、高度感は抜群です。
4,5mはある鎖場の登場です。
左を向いた小柳ゆ…、あ、違った。ゴリラに見える20mほどの大岩に鎖がかけられている場所。
少し登ったところに「え?どこに足かけるの?」っと思う箇所があり、思った以上に危険でした。もっと、万人受けの山だと思っていましたが…。
基本的にピストンで登るため、登山者がたくさん登っている時間帯だと渋滞しそうです。
ゴールデンウィーク後の平日に来て正解だった(今後、何度も言う)。
あちらは東峰。
岩をよじ登ります。
だいぶ登ってきました。由布盆地の街並みが一望で、遠くの九重山が小さく見える。
男らしいポーズしかとることができない残念な人。
由布岳の山頂からは瀬戸内海の展望
8時55分由布岳山頂。
登山口から2時間20分ほど掛かりました。
眼下には噴煙をあげる鶴見岳(つるみだけ)の火口が見えました。
鶴見岳は別府エリアの山で、ロープウェイもあるため、登山者でなくても楽しめる観光地です。夜景スポットでもあり、冬は霧氷が楽しめるのだとか。
由布岳の外輪の向こうには瀬戸内海と別府湾と大分県の市街地。
由布岳より北西方角(福岡県方面)にある山地。
英彦山(ひこさん)がある山地でしょうか。さっぱりわかりません。
九州最後の最高峰です。
信仰の山ですが、頂上にそれらしい碑などありませんでした。由布院の町には宇奈岐日姫神社(うなぐひめじんじゃ)があります。行っておけばよかったかな。
一等三角点。
薄く延び始めた雲がとてもいい味を出している。
西峰を下山して、東峰を目指します。
火口周回ルートもあるのですが、藪がひどそうだったため、マタエに戻ります。
東峰への登り。
この旅最後の登りです。
東峰に到着。
こちらからの方が瀬戸内海の眺めがより良いです。
4日間登山をし続けましたが、これ以上登る必要がないと思うと寂しさが…微塵もないな。「もう登らなくいいんだ!」という開放感のみ。
ちゃんばらを始める。
「あれ?登ったはいいけど、どうやって降りるの?」
と困ってる図。
湯布院の温泉から由布岳を望み旅の疲れを癒す
下山を開始します。
麓の町は日本を代表する温泉地というだけで下山にわくわく感がプラスされる。
早朝に登った樹林帯と同じ道ですが、光の差し込む量が増え、緑の輝きが強い。
一部だけ紅葉しているみたいに赤い。
二日連続の新緑登山、たまりませんな。
ゴールデンウィークは残雪の真っ白なアルプスを眺めるより、適度な高さの山で新緑を浴びた方が幸せになれる。
太陽に向かって花弁を広げるミツバツツジが美しい。
下山はあっという間で、樹林帯を抜けました。
11時20分下山完了です。
4時間50分ほど掛かりました。写真撮りながらのんびりしたペースだったので、基本的にこのコースタイムに収まると思います。
ゴールデンウィーク明けの平日にも関わらず車が結構停まっていました。
ただ、年配の方が多いですね。平日に悠長に休みを取って登っているのは自分たちくらいなものでしょう。東京から来てね。
駐車場脇の森の中のツツジは満開でした。
温泉に入るために、湯布院へ向かいます。
途中の狭霧台(ききりだい)の売店で、由布岳の山バッチを気まぐれに購入しました。ここで、飲んだサイダーの味は今でも思い出すほどに旨かった。
見上げる由布岳は西峰と東峰がはっきりわかる形になっています。
山シルエットクイズというのがあったら、真っ先に解答できる形です。
由布院の町から少し離れた場所にある温泉にやってきました。
「山のホテル夢想園」
入浴料は700円だったかな。
ごくり…。
氷水が並々入った桶にラムネとか反則じゃないですかッー!
新緑と咲いているツツジが山の気分を引き立たせています。
開放感のある広々とした露天風呂と正面に由布岳の展望。
登山道楽の極地がここにあった。
先程まであの峰の上に立っていたんですよ?登ってきた山を眺めながら露天風呂に入る悦楽の一時。ありそうでなかった入浴スタイルです。
露天風呂の中央にある岩の上で寝っころがっていたのですが、「マジ!!やべーなこの温泉ー!」という甲高い声と品のない感想と共に俗に言うDQN風な連中3人組が入ってきました。
優雅な気分をそがれたのでそそくさと撤退です。
5月の心地よいそよ風を浴びながら、女性陣が出てくるのを待ちました。
時間ってゆっくり流れてるんだなと…。
女性風呂は露天風呂だけど由布岳が見えなかったらしい。ドンマイ。たまたま、メインのお風呂が工事中だったらしいです。
由布院の町は車の中から見学。
セブンイレブンが観光地仕様というのは確認した。
湯布院から移動して別府海浜砂湯で砂蒸し風呂体験
やまなみハイウェイにて再び別府へと移動してきました。
お目当ては砂湯です。
「別府海浜浴場」
確か千円くらいだったかな。浴衣がレンタルされます。
浴衣に着替えたら海岸へ移動します。
本当にただの海岸だ。
外国人観光客が普通に散歩しているし。
砂蒸し風呂スペース。
ゴールデンウィーク期間中は1時間~2時間待ちだったらしいです。平日に休みを取って大正解。
砂場の中に温泉が入っていて、少し掘ると温泉が湧き出します。
砂場にねっころがったら、砂を盛られます。そして、直射日光を避けるための日傘を差してくれます。視線は瀬戸内海を向くような感じで、10分ほど横になります。
サウナとは違う蒸され方。顔からは滝のように汗をかき、きっと砂に隠れている体からも汗が噴出していたと思います。
貴重な砂湯体験でした。
内湯とシャワーがあるので、砂は洗い流せます。
由布院と別府の温泉を梯子して、4日間の旅の疲れが癒えました。25%くらい。
お腹空きました。
しかし、時間にして15時過ぎ。ランチタイムはとっくに過ぎて営業時間外です。営業しているのは関東にもあるチェーン店ばかり。旅先でいつもの牛丼(並)卵付きを食べたくはない。
「旅の最後に相応しい美味しいものはないだろうか…」
別府市街地を彷徨い、この際ジョイフル(西日本のファミレス)でハンバーグでもいいかと諦めかけた瞬間、自分の食指が動きました。
べっぷ駅市場で安く関アジのお寿司を購入する
べっぷ駅市場。
日豊本線(にっぽうほんせん)の高架下にそれはありました。
惣菜店、鮮魚店が連なる市場。平日の15時ですが、店はしっかり営業していました。
どうやら正解だったようです。
高級魚「関アジ」のお寿司が650円で売られていました。安い!!
関アジのお寿司と海鮮散らし寿司を買って2000円以内に収まりました。右に見切れてますが唐揚げ(5食目)を買っています。
海浜公園に移動してピクニックです。
下手に店を探すより、地元市場やスーパーで惣菜を購入するというのは旅のテクニックの一つですね。
ブラックモンブランという九州限定アイス(翌週に都内のスーパーで見かけた)を食べながら、夕暮れの瀬戸内海沿いの国道で大分空港に戻り、無事レンタカーを返却しました。
飛行機は定刻通り成田へ飛び、平日の通勤ラッシュの東京に帰りました。
由布岳の登山を終えて
文句のつけようがない名峰でした。
眺めが良いのは、外観の秀でた形がそうあり、頂上からの眺めもそうです。蒸気が噴出す温泉街の奥にたたずむ姿は、九州を象徴するスナップの一つです。関東から登りに来た自分にとって、普段見ることがない瀬戸内海の展望は特別なものです。
登った山を見ながらの温泉は忘れられない体験でした。この体験のために高い航空券を払って来る価値は十分あります。
標高1700mが連なる九重山の火山群、広大なカルデラと噴煙をあげる阿蘇山、奥深い九州山地とアケボノツツジの祖母山、温泉地にたたずみ展望が素晴らしい由布岳。4日間で4つの山に登りましたが、それぞれ個性が強い粒ぞろいの山々でした。
本州を離れて見知らぬ土地でする登山の素晴らしさを心の底から体感する4泊5日でした。
コメント
いやー素晴らしい山旅でなにより。
おいらは今年の夏はやはり利尻狙ってまする。
>だのんさん
今年の夏は尻を狙っているって、そっちの方に目覚めたかと思いました。
利尻良いですね。特に高山植物を観察して、うに食べたい。
8月23日に由布岳登山をさせてもらいました。今年4月に大分駅に担当するお店を出店し、高速道路が霧で通行止めとなり、しょうがなしに別府インターから湯布院インターへ迂回する際に初めて見た由布岳に感動し、今夏中に登りたいと思い挑戦しました。
久しぶりの登山でしたので、こちらのサイト情報を参考にさせてもらいました。果たして、予想以上に年老いた脚力と由布岳の傾斜に疲労困憊ではありましたが、西峰、東峰ともに登頂できました。
疲労に比例して、登頂後充実感も格別でしたが、やはり眼下に広がる風景は圧倒的でした。下山後、貴サイトを再度見たのですが、登山中撮りまくった写メ見てびっくり、貴サイトに掲載されているものと同じポイントでばかり、撮影しており、レイアウトも似ておりました。
今回は、思いつきの単独登山でしたが、次回は仲間と登ってみたいです。
今後も登山の記録を掲載くださいませ。今回はありがとうございました。
>白骨船長さん
はじめまして、コメントありがとうございます。
富士山もそうですが、由布岳のように街から見える特徴のある山というのは、山頂からはどのような景色が見えるのだろうと日々イメージしてしまいます。
久しぶりの登山ということで無事登頂できて何よりです。
由布岳のコースは一本道なので、抑える景色は皆同じなのかもしれませんね。
由布岳から見える九重山もとても良い山なので是非登ってみてください!
文章、写真、デザイン全て素晴らしい。読んでいて次行く山はこれだと思います。また九州来て下さい。雲仙もよかよ。
>岡本武和さん
はじめまして、コメントありがとうございます。
由布岳素晴らしかったです。是非、登って、温泉から由布岳を眺めてみてください。
雲仙は来年行きたいと思っています。それこそミヤマキリシマの咲く季節に。
はじめまして。
北海道十勝からです。
11月に九州旅行を計画していて、こちらのブログに出会い ました。
とても楽しそうな由布岳登山✨
天気が良ければ行ってみようと思います❤️
>十勝まめさん
初めまして。
コメントありがとうございます。
11月上旬~中旬あたりは紅葉が見れるのではないでしょうか?由布岳からは九重山、祖母山、そして瀬戸内海と九州を一望できます。
登山靴の持ち運びは旅行鞄の嵩を取るとは思いますが是非。
温泉の写真は許可を得て撮られたのでしょうか?
>かーるさん
はい、とりました。