2015年6月14-15日
北海道の羊蹄山に行ってきました。標高は1898mです。
富士山に似た姿形から蝦夷富士と呼ばれています。旧名は後方羊蹄山で、かつての地名を冠しています。道央地方の象徴的な山として親しまれています。
今回は開山直後で、真狩コースを使用し、羊蹄山避難小屋で1泊してきました。
「ひつじ年に羊の名がつく山でジンギスカン(羊肉)を食べる」
発想自体は単純かつ稚拙ですが、2015年の最重要な位置づけの旅でした。
干支の名が付く山は登山業界ではホットな話題になります。「未年」という命題対する解答は当然の如く、羊蹄山と言うことになります。コンセプトを思い付いたとしても内地に住む登山者は、隔てる海が邪魔をし、気軽に北海道に行くことは叶いません。
構想自体は2014年の秋頃からあり、2015年の年初から根回しを進めてきました。稀に見る計画性のある旅となったのです。
羊蹄山について
地図
6月中旬の山開き直後のレポートを見ると、「真狩コース」を選択する人が多かったので、それに倣うことにしました。
コースタイム
- 12:03羊蹄山登山口(真狩コース)
- 14:135合目
- 16:29羊蹄山避難小屋
- 17:21羊蹄山外輪分岐
- 18:07羊蹄山の山頂
1日目の行動時間は、6時間4分です。
- 07:25羊蹄山の山頂
- 11:37羊蹄山登山口(真狩コース)
2日目の行動時間は、4時間12分です。
羊蹄山登山
プロローグ
冒頭の内容にに解説を付け加えます。
今回の羊蹄山の旅プランに用意された日程は2泊3日です。6月に連休は存在しないので、メンバ各自で有休を取得しました。北海道遠征となるといろいろな山を巡りたくなるのですが、今回は羊蹄山の一本勝負です。
羊蹄山の開山日は例年6月中旬です。北海道の人間より「最速でジンギスカンを食べたい」という欲望から、開山日の6/13(土)に狙いを定めました。
羊蹄山の最寄りの空港は新千歳空港になり、そこから車で2時間弱かかります。
始発便でも新千歳に到着しても空港での荷物受け取り、レンタカーの手配、食料や道具の買い出しを済ませる、登山開始は正午前後になります。羊蹄山のコースタイムは長く、8時間から10時間となり、土曜日中の日帰り登山は不可能です。
山頂付近にある避難小屋(蝦夷富士小屋)を利用することで、時間的な都合を解決しました。
1日目:移動日~羊蹄山登山(避難小屋泊)
2日目:羊蹄山下山~観光
3日目:観光orもうひと山行っちゃう?
というのが、無駄のなく組まれた当初の2泊3日の羊蹄山登山プランでした。
成田空港から北海道へ
というわけで、新千歳空港行きの始発便に乗るためやってきたのは成田空港。
2015年に開業した成田空港の第3ターミナルです。
第3ターミナルは格安航空会社(LCC)専用のターミナルです。今回の航空会社はジェットスターで、九州に行ったときにも利用しました。前回は第2ターミナルの端っこにあったのですが、移動してからは初めての利用です。
新築で綺麗なのですが、内装が剥き出しになっていたりとコストカット策が随所に施されている感じです。空港と言うより、展示場みたい。
LCCは電車やバスが運行する時間に来れない早朝に出る便が多いため、第3ターミナルは宿泊(野宿)出来るように24時間営業です。フードコートは早朝4時から営業しており、客層をうまく把握しているなと。登山者もチラホラ見かけました。
最低限のサービスは確保されていますが、他ターミナルへの移動に野ざらしの歩道があったりと、所得が低い人の隔離施設感は否めない。
横から吹き付ける様な雨が降っていたら、搭乗前にびしょびしょになるなという通路で、飛行機に乗り込みます。
とか何とか文句を言いつつも、新千歳空港まで一万円を切る値段は安いです。
離陸。
ジメッとした梅雨の内地とはおさらばだぜ!!!
日本の象徴たる富士山は、頭一つ顔を出していました。
新千歳空港に到着したのが8時前でした。
そして、北海道の天気は雨。ジメジメした内地とおさらばしたはずなのに…。
北海道に到着と同時にプランは大きく変更となりました。1日目に登る予定だった羊蹄山は2日目~3日目となり、1日目は札幌と旭川の観光になりました。
計画性のある旅とは…一体…。
羊蹄山1日目
羊蹄山登山口(真狩コース)
というわけで、北海道2日目から再びスタート。
前日の観光記事は上記になります。
前日までの雨は上がり、気持ちの良い青空が広がっています。雲は多いけど。
前日は旭川に宿泊。早朝位に移動を開始し、道央自動車道で札幌へ。札幌市内から国道230号線で、羊蹄山を目指します。
中山峠は札幌市内と羊蹄山の中間地点にある峠で、標高825mあります。道央と道南を結ぶ主要路線であり、観光路線も兼ねているため、売店の規模は大きめです。
積極的に顔ハメパネルに行くスタイル。
羊蹄山の眺めが良いらしいですが、看板右に見えるはずの羊蹄山は裾野だけを出していました。
中山峠の名物「あげいも」のキャラクター「あげポン」。
じゃがいもに衣をつけて、そのまま揚げたやつが揚げイモの正体。とても…高カロリーです。スケールが違うぜ北海道。
喜茂別(きもべつ)という街にある「キノコ王国」とかいう昭和センスの店で昼食を頂きました。
羊蹄山から出る湧き水によって、名水の里としても有名。この辺は富士山に通じるところがあります。
北海道でイチゴというのは、内地の人間からするとクエッションマークが浮かぶ。作ってるんだ…。
食事と買い出しを済ませ、羊蹄山へ。
富士山に限りなく近い見た目と話題の羊蹄山ですが、雲が纏わりついており、その全景は拝めず。山頂はガスっているのか不安になりましたが、ニセコにあるライブカメラだと山頂までしっかりと見えていました。
羊蹄山の南側にある真狩と言う小さな町で、飲み物などの最後の買い物をしました。
富士山と同じように周囲に道路が走っています。5合目あたりまで、スカイラインがあればいいのに…。
付近の小学校では運動会の賑やかなアナウンスが響いていました。北海道は6月に運動会をやるんだろうか…。
羊蹄山自然公園真狩キャンプ場に到着。
「真狩コース」の登山口があります。
山開き直後だし、賑わっているのかなと思いきや、十数台しか車が泊まっていませんでした。羊蹄山は各方面から4つの登山道が伸びているので、登山客が分散されているのでしょうか。
セブンイレブンで「よさこいソーラン祭り応援ぼうしパン」なるものが売っていたので、登る前のエネルギー補給です。
山頂には大量の雲が掛かり不安です。
羊蹄山一本勝負で内地からやってきたので、晴れてもらわねば困ります。
気温は20度弱でしたが、セミの鳴き声が響き、夏の様相でした。梅雨がないと言われている北海道は確かにジメッとした湿気を感じず、過ごしやすそうです。
無慈悲な樹林帯が続く登山道
12時3分 羊蹄山登山口
正午過ぎ、旭川から250キロを経て登山口にやって来ました。内地であれば250キロも走れば、2~3県は通過しているというのに…。
避難小屋泊でありますが、皆の荷物は大きめです。例の如く、必要のないものがたくさん詰まっていたりします。一番右のSaku兄のザックにはスイカが詰め込まれています。
登山口は針葉樹林帯と熊笹が茂っています。
北海道と言えばヒグマが脅威ですが、羊蹄山にはヒグマが生息していないと言われています。
12時20分 1合目
羊蹄山は独立峰で山頂までは一直線。そのため、「合目」の区切りのある山です。20分歩いての1合目があり、「登山口が1合目じゃないんかい」と。
シャワシャワセミの鳴き声が轟く緑の濃い樹林帯歩きです。
北海道の樹林帯は杉や竹が存在しないので、内地とは違う植生を楽しめます。
12時42分 2合目
はい、樹林帯に飽きました。
北海道の山だから北にあるし、森林限界が低いんだろうと思っていましたが、そうは問屋が卸さない。
12時51分 2合目半
半の区切りは要るんだろうか。
白樺の新緑が青々しく、太陽の光が降り注ぎます。
行く手を遮る倒木。
荷物が無駄に重いので、乗り越えるだけでも難儀します。
熊笹の中を縫うように登山道が伸びています。
富士山、男体山、磐梯山、岩手山などの独立峰を登ってきましたが、一番に変化を感じません。
盛り上がりに欠けていた登山道でしたが、4合目に差し掛かろうとする直前、空の面積を大きく感じられるポイントがあります。
そして、広がるのは北海道の大地。
パッチワークのような穀倉地帯の道央の風景は、南アルプスの樹林帯ではなく、北海道の山を登っているという実感を高めてくれます。
ノウゴウイチゴ
福井県の山である能郷白山に咲くことから名付けられたそうです。この花は福井にある山の名前が付けられてるとは夢にも思うまい。
ほぼ、隈笹で締められている斜面は高山植物は少ないです。
13時32分 4合目
アイヌ人が登山をしていたのかは歴史に詳しくないので語れませんが、北海道の開拓は1700年頃から開始され、屯田兵による開拓がされたのは明治時代。登山の歴史が浅いのです。
夏が極端に短く、自然が深いということもあり、登山口の標高は低く、どの山もコースタイムが長いです。
羊蹄山みたいな山はスカイラインを通して、5合目にレストハウスを建てて、2時間くらいで山頂に登れるようにすればいいんだ。
と、自然保護の意識がまるでない会話をしながら、前日の夜に凍らせておいた夕張メロンのゼリーを口に流し込みます。
14時13分 5合目
スタートから2時間。ようやく半分まで来ました。
70リットルザックを背負うたつ兄はまだまだ余裕そうです。九州とか四国の山は登っているようですが、北海道は今回が初。
山頂を常にガスらせる「ガス兄」の異名を持ちますが、果たして今回はどうなることやら。
堪え性の無い我々は、下界で買った冷えたコーラを早速飲み始める。
5合目付近から残雪が登場しました。
そして、登山道から上を見上げると峰桜が咲いていました。
これで北海道でお花見をしたことがあると言えます。
進んでいくと雪渓を横切る場所があり、慎重に足を進めます。
頭上にはぬっと雲があり、景色的な面でテンションが今ひとつ上がらない状況が続きます。
14時45分 6合目
通常の登山であれば、下山していておかしくない時間帯ですが、まだ6合目です。降りてくる登山者に今日は泊まりですかと尋ねられます。
サンヨウカ
白い花ですが、朝露に濡れると透明になる花です。
九十九折の登りが永延と繰り返されます。
「辛い登りがあったからこそ、山頂の景色は最高の御褒美」とか某SNSで見る前向きな言葉を使ってみたいものです。
15時16分 7合目
アーチになっている倒木に羊蹄山の形?をした看板は、多少なりの演出なのだろうか。
7合目からは完全にガスられましたが、時折見せる青空は松山千春が歌うソレだった。
ドレだった?
ガス兄が先頭を歩くことで、ガスが発生し続けているのではないかという疑念が生まれる。
標高1600mの8合目に差し掛かると高山植物が増え始めます。
森林限界を抜ける8合目、道央の大地が広がる
雲の上に出ました。
原理はわかりませんが、羊蹄山の斜面に雲が滞留し続けているようでした。Saku兄は疲労のため、下を向いて歩いているため、気づいていない様子。
「晴れてんじゃん」とようやく気付いた様子。
ガス兄と青空。
念願の雲一つない北海道の空が広がりました。
独立峰であるが故、足元に広がる人の営みの絶景。
羊蹄山の真狩コースは南側に位置しているため、目立つ山などはないので、平地がずっと続きます。
16時15分 9合目
駐車場から4時間20分経過で、ようやく初めての分岐です。山頂と避難小屋の分岐になっています。
避難小屋泊の我々は左手の避難小屋方面へと足を運びます。登山バッチが避難小屋に売っているので、日帰りの人はザックをデポして向かいましょう。
距離的に5~10分です。
9合目より上部は残雪がたくさんあり、ザーザーと勢いよく流れる沢の音が響いていました。
今回は水を大量に下界から組み上げたので利用しませんでしたが、初夏の間は水に困ることはなさそうです。
登山道に水が流れ込んでいるので、靴の中を濡らさないように歩きます。
キバナシャクナゲ
通常のシャクナゲより寒冷地に咲くため、北海道から中部山岳地帯の高山帯にしか見られない花です。クリーム色の花弁が目立ちます。
16時27分 羊蹄山避難小屋
スタートから4時間半にしてようやく到着です。重いザックを降ろし、ホッと一息です。
羊蹄山避難小屋は管理人が常駐している避難小屋です。
羊蹄山避難小屋:http://www.town.kutchan.hokkaido.jp/tourism/yoteizan/hinangoya/
ちなみに利用料金1000円。貸し出しのシュラフと毛布は合わせて、500円で利用できます。至れり尽くせりの避難小屋です。
オレンジ色のダウンを着ている人が管理人さん。黄色のおじいさんは、泊まっている階にはいなかったけど、どこに泊まっていたんだろう…。
誰もいない夕暮れの羊蹄山の山頂火口
宿泊手続きを済ませ、必要最低限の物だけをサブザックに詰めて、山頂を目指します。
メンバの一人「さみえもん」が体調不良。それをたつ兄が付き添い、3人で目指すことになりました。
9合目とは言え、山頂の往復は2時間以上かかるため、日没との戦いです。
9合目分岐に戻り、頂上へと舵を取ります。
山頂まではかなり骨太な登りが待っていました。羊蹄山に纏わりついていた雲は完全にどこかへと行き、ピーカンな青空が広がります。
羊蹄山避難小屋は素晴らしいロケーションにあり、たつ兄達は雲海ラウンジで優雅な時を過ごしているに違いない。
山頂直下に大きめの雪渓があり、慎重にツボ足で登りました。
積雪の状況によっては結構危険な場所になるので、山開き直後に登るのであれば、軽アイゼンを持ってきても良いかと思います。
ハイ松のトンネルを潜り抜け、山頂はまだかまだかと登り続けます。
む、遂に山頂だろうか。
あ、Saku兄がバンザイした。
羊蹄山の外輪に到着です。
自慢の広角レンズ10mmでも入りきらない程、大火口がありました。比較するのもなんですが、限りなく富士山と似ています。
真狩コースから登るとお鉢の反対側に山頂碑があります。山頂碑までは30分ほどの道のり。
山頂への到着が速いので、反時計回りを選択。
後で気づいた点ですが、真狩コースから反時計周りは岩場の多い少し危険なコース、時計回りは緩やかな砂利道が続くコースでした。
反時計周りのコースは岩礫の登山道で、非常に歩きにくかった…。
積みあがって見える岩場は基本的には横にずれて巻いて歩けますが、先行するSaku兄が目印を見つける努力を怠り、難易度をHARDにしていた。
道央の象徴たる羊蹄山を内地からやってきた連中が独占しているという感覚が素晴らしい。
火口の中心に輪っかが出来ています。
何となく蹄に見えるので、羊蹄山の名前の由来は火口の雪解けが羊の蹄に見えるからと言う嘘をついてみたら簡単に信じてくれた。
太陽が西に傾き始めると影羊蹄山が東側に出現していました。危険な岩場ですが、反時計回りに歩いて正解でした。
羊蹄山はそもそも地名から来ているので、羊由来でもなんでもないのです。
遮るものがないので、徐々に風が強まってきました。6月に吹き付ける北海道の風は、身を切るように寒いです。
険しい外輪のアップダウンを繰り返し続け、ようやく山頂碑が近づいてきました。
イワベンケイが生えていました。
乾燥させると薔薇のような香りがするのだとか。
山頂碑はもっと広い場所に立っているかと思った…。
羊蹄山山頂と穏やか過ぎる夕暮れ
18時7分 羊蹄山山頂
未年に羊の山に来ることが出来ました。感無量です。
次回の未年は平成39年の2027年です。元号はたぶん変わっているでしょう…。
山を登ること自体は簡単です。
しかし、働き盛りの社会人5人のスケジュールを調整し、晴れた日に登るという壁の高さは羊蹄山5個分くらいに難しいです。
蝦夷富士というくらいですから、山頂には祠があったり、山頂碑は重厚感のあるものだと思っていましたが、山頂碑は木製の簡素なものでした。
羊蹄山の標高は1898mと内地の山々と比べると劣る高さではありますが、その差は感じないくらいの高低差があります。どこまでも広がる大地が錯覚を起こしているんでしょうか。
山頂の喜びを表現するため、札幌で開催中であった「YOSAKOIソーラン祭り」からインスピレーションを得て、「どっこいしょ!どっこいしょ!」と、踊る一幕もあった。
北海道の広い大地で、間違いなく最高の踊りをしていたに違いない。高さ的な意味で。
踊るといっても、直前にユーチューブで見ただけの付け焼刃。
そろそろ日没が怖くなってくる時間なので、さっさと引き上げます。6月の北海道の日の入り時刻は19:15と遅い。
山頂に咲き乱れるキバナシャクナゲは夕陽を浴び、オレンジ色に輝いていました。
凄い風景です。
日没を数十分後に控えた時間帯に誰もいない北海道の山の上を歩いています。
子供の頃、母親に「暗くなる前に帰って来なさい」と誰もが言われたであろうセリフ。
深層心理に刻まれた記憶によって、悪いことをしているんじゃないかという背徳感と夜が来る恐怖感が一気に押し寄せます。
帰らなきゃッ!!!
羊蹄山避難小屋は西側の斜面にあります。
というわけで、日の入りの絶好のロケーションです。
西側の空は大雲海が広がっていました。
雲海の下は冬のスキーリゾートでおなじみのニセコがあるはずです。標高1308mのニセコアンヌプリと言う山があるわけですが、それは雲の下ということか。
初めてスノーボードを滑ったゲレンデで、滑った翌日は全身筋肉痛、コースから思いっきり飛び出して遭難しかけたり、レンタルウェアが破れていて携帯を紛失など散々な目にあった思い出をぶり返す。
海に沈む直前、太陽が朱色に変わる。
北海道の山の上で夕陽を眺めるなんて経験、この先にないんじゃないだろうか…。
羊蹄山の一日が終わりました。
ジンギスカンパーティと星空の夕べ
避難小屋に戻ると正面のテーブルで、待機していた「たつ兄」と「さみえもん」が夕飯の準備をしてくれていました。
カチョカバロという噛みそうな名前は、チーズの一種らしい。
フライパンで焼くと外はカリカリ、中はもっちりと美味しかった。未知との遭遇、なんだこの食べ物は。
カニ缶を贅沢に使用したアボガドサラダ。
レモン味のドレッシングがポイントなようで、これまた美味な仕上がり。
北海道はアスパラの産地。
産直で買った朝取れのものをスパムと炒めました。味付けは塩をちょっと。美味しさが約束されている。北海道のアスパラは凄く大きい。
「ひつじ年の羊蹄山でジンギスカンを焼く」という壮大な企画がここに完成されることになった。
道民は至る所でジンギスカンパーティ略してジンパを行うらしいです。なので、真空パックされたジンギスカンは、どこでも売っているので入手は容易です。
山開き直後の羊蹄山で、最速のジンパをやってやりました。
普通は余ったタレでうどんを焼いたりするらしいです。そんなルールを知らなかったので、まだまだジンパレベルは低いです。
宴も終わると星が綺麗に見え始めました。
いつの間にか雲は消え、うっすら空気の層になっていました。
自分は星空を撮影する堪え性がないので、あまり力を入れてません。
たつ兄、さく兄は頑張ってました。二人ともPentaxを使っており、星空撮影も出来る男のたつ兄が、さく兄にレクチャーしていました。
当然ですが、6月の羊蹄山山頂の夜はダウン等の防寒が必要です。ニット帽は要らないかな…。
というわけで、たつ兄が撮影し、自分はライトアートの黒子役になります。「羊」のたった一文字ですが、点の位置に苦労し、何度もリテイクがありました。
たつ兄ともう一つ共作を作りました。
ライトを借りていたよし子さんには「あまりにもバカ」と怒られションボリ。そう、羊たちの沈黙です。
羊蹄山2日目
早朝の外輪はエゾシマリスのモーニングタイム
羊蹄山2日目になります。
避難小屋の2階。自分たち以外には外人さん一人が宿泊しているだけで、幅広にスペースを使えました。
予定出発時刻より30分オーバーの5時半に行動開始です。誰も積極的に起きようとしなかったのは、登山疲れの他に移動疲れが、きっとあった。
2日目も羊蹄山の山頂を目指し下山します。
山頂で日の出を見ようという案も出ましたが、この時期の北海道の日の出時刻はとても早く3:55。避難小屋からは外輪まで行き、そこから反対側の山頂側に行かないと日の出は見れません。逆算すると2時起き、3時出発なので、ちょっと無理だった。
山頂に登る途中にダイアモンド羊蹄山となったので、これはこれで良かった。
シラネアオイ。
前日は夕方だったので、あまり高山植物に目が行っていませんが、ところどころに花が咲いています。
今回利用したコースではありませんが、半月湖から山頂に至る登山道周辺は「後方羊蹄山の高山植物帯」として、国の天然記念物に指定されています。
それほど群落している感じではなかったので、ピーク期はやはり7月でしょうか。
お鉢、再び。
お鉢の中に雲が発生しているという不思議な現象を見ることが出来ました。二日目も天気に恵まれ、快晴です。
比較的に安全な左回りで山頂を目指します。
本日、登頂を果たす「ガス兄」ことたつ兄も初めての北海道の山頂で満足なようである。
かつて、山頂にあったと思われる小屋跡がありました。
ここに小屋があったら山頂にも行きやすいなと思ったけど、なぜ撤収してしまったのだろうか…。
羊蹄山の山頂では、朝ご飯を探す住人が徘徊していました。
エゾシマリスです。
ハイ松の下を移動し、登山道をちょろちょろと動き回っています。
エゾシマリスは北海道にしか生息しない種で、本州以南の「シマリス」は「チョウセンシマリス」などのは外来種です。
北海道の長い冬、10月から4月まで200日間冬眠するとか。
同じ北海道の羅臼岳でも見ましたが、ピーナッツみたいな背中が可愛らしいです。
おいしそうに木の実を食べるエゾシマリス。頬袋がパンパンに詰まった状態を見てみたい。
太陽が昇るにつれて、火口にある雲も徐々に上がってきました。
下界は大雲海。
昨日の夜は消えていたはずなのに、いつの間に生成されたのでしょうか…。
「メアカンキンバイ」
北海道の固有種で、雌阿寒岳の名前がついています。砂礫に咲く多年草。
メアカンキンバイごしのたつ兄。不要なカットか。
圧倒的なガスが襲い掛かる羊蹄山山頂
避難小屋から登ってきた分岐から半周し、いい具合に飛び出した岩があったので登る。いわゆる「登るべき岩」というやつです。
あ?あれ?
堤防が決壊するかのように雲が流れ混んできた。ま、まさか雲がこっちまで来るんじゃ。
いち早く危機を察知したSaku兄は山頂に向かってダッシュ。晴れた状態の集合写真を撮るために三脚を設置しに行きました。
可及的速やかな障害対応能力は社蓄ゆえか。
7時22分 羊蹄山山頂
というわけで、山頂です。
外輪の壁を越えてから雲が山頂側へと達する速度は、僅か数分と言う驚異的なスピード。あっという間に山頂に雲がかかり、あたり一面真っ白に…。
確実に晴れが続くと思うような天気だったのに…。
我々は完全にガス兄の能力(チカラ)を侮っていた…。
集合写真は景気よくYOSAKOIとなる。
集合写真を踊りながら撮ることができるのも、日帰り可能な山での宿泊ならではです。
山頂はガスってしまったが、山頂アクティビティを充実させるという意味でスイカ割りを敢行。
これも日帰りできる(以下略
北海道の北竜産スイカだったかな。中が黄色。
小玉スイカですが、スイカは水分そのものなので重量は結構なものです。それを運んだSaku兄を評価する。甘さみ強く、北海道産スイカの底力を知った。
山でスイカと言えば、燕岳の合戦小屋が有名ですが、無ければ担げば良い。
と言うわけで、視界不良の山頂を後にします。
山頂を後にしたというイベントをクリアしたという達成感からか急に便意が…。
旅先ではお通じが出なくなってしまう体質で、北海道に来る前日が最後でした。北海道に到着したからの暴飲暴食がたまりにたまって、最悪のタイミングでノッキング・オン・ザ・ヘブンズ・ドアーです。
それが故、避難小屋のトイレがユートピアに思えました。羊蹄山に2度登頂したように、2度の登頂がありました。
羊蹄山避難小屋とても良いところです。
羊蹄山下山~名水の里
下山は同じコースで、天候不良で展望もないことから無心で降りました。
平日と言うこともあり、そこまで登ってくる人はいませんでした、5~6人のパーティとすれ違いました。
確実に言えることは山開き直後、晴れた羊蹄山に登れたのは我々だけと言うことになります。1日目の日中は視界がなかったらしいですし。
11時37分 羊蹄山下山
元の登山口に戻ってきました。一刻も早く温泉に入りたい。
温泉の前に羊蹄山の湧き水が組めるポイントに立ち寄りました。
平日にもかかわらず多くの人が水を汲みに来ていました。北海道の生水はエキノコックスの混入の可能性があるため煮沸が推奨されていますが、湧き水は大丈夫らしい。
豆腐工場が隣接して、試食をガバガバしました。
一番近い温泉施設は「真狩温泉」に入りたかったのですが、あいにくの定休日。倶知安(くっちゃん)まで移動し、倶知安温泉ホテル「ようてい」の温泉に入りました。
北海道遠征を終えて、東京へ
東京へ帰るため、倶知安の街から新千歳空港に向かいます。
国道393号線で小樽に行き、小樽ICから札幌自動車道に乗ります。昼ご飯を食いぱぐれており、畑と牧草地しかない国道で、ようやく食料が売っていそうな牧場を発見しました。
赤井川村の山中牧場。
ソフトクリームブロガーとして著名なRed Sugarさんに負けじと新鮮なソフトクリームを頂きます。まるで天使の滴をなめるかの如く、牧場ソフトクリームが美味しくないわけありません。
ソフトクリームだけではお腹にたまらないので、搾りたての牛乳とウィンナーを購入。ガス缶が余っていたので、フライパンをザックから取り出して駐車場で焼きました。美味かった。
毛無山は小樽市街地の展望台になっています。
今まで小樽を訪れたことがなく、今回も運河やレンガ倉庫などの小樽らしい観光地に寄る時間はありませんでした。しかし、展望台ですが小樽観光の実績は作れました。
小樽の街並みと日本海を眺めることができます。夜景を見るには良さそう。
ブルーの作業着を着た頭髪が薄いおじさん3人組が展望台の駐車場で雑談していましたが、突っ込み待ちだったのでしょうか…。
千歳ICで下車。
レンタカーを手配したときにもらった「ルタオ」のお土産引換券を空港近くの直営店で引き換え、レンタカーを返却しました。
新千歳空港は大型ショッピングモール並みの規模があり、全道のお土産と有名店の味を楽しむことができます。
北海道の最後はやはりラーメンで締めたいところです。
すすきのに本店をかまえる「けやき」の札幌味噌ラーメンを食べました。ベタに味噌バターコーンラーメンは美味しいですな。北海道の食材がなせる味わいです。
お土産を物色。
北海道はオリジナリティー溢れる商品が多くて楽しいです。
成田空港に戻ってきたのは夜の22時。
たつ兄のアテンザにて都内に帰ってきたのは、24時の日付変更線を過ぎた頃でした。有休を使っての3連休をフルに燃焼させた旅は、たっぷりの疲労感と共に幕を閉じるのでした。
羊蹄山の登山を終えて
沈むゆく穏やかな夕暮れ、天上と下界を隔絶する雲海、山の住人が徘徊する外輪は、刻一刻と変化し続ける山の時間を有意義に五感で体験しました。
山で一泊することで行程にゆとりができ、人間が設定した時間から解放されました。
山の地図に記載されているコースタイムを測り、この山は日帰りする山だという思考を改め、「日帰りできる山だからこそ泊まってみる」と一考し、これからは選択の幅を広げたいと思いました。
大きく仕様変更されたまとめになってしまっていますが「ひつじ年の羊蹄山でジンギスカン食べる!」という12年に1度のひつじ年のビックイベントを無事終えることが出来ました。
次のひつじ年である2027年、羊蹄山の登山を予定してみてはいかがでしょうか。
あ、羊羹食べるの忘れたな…。
リンク
登山前日の観光記事になります。旭川で食べたジンギスカンは本当に美味しかった…。