2012年10月8日
北アルプスの奥穂高岳に行ってきました。標高は3190mです。
日本国内の標高第3位の高峰で、北アルプスで一番高い山です。今回は山頂こそ踏みましたが、目的は涸沢の紅葉です。涸沢カールの紅葉は、登山界において最も憧れの対象です。
2012年は、10年に1度の見頃という情報がありました。
「はぁッ!はぁッ!!」
足は既に疲労の極値に達していた。
足裏の皮は硬くなり歩くたびにヤスリをかけられているようだ。そして、膝を曲げるたびに針で指すような痛みを感じる。汗は既に干上がり、喉の渇きが口内を支配している。水がないわけではない、水を飲む行為に余裕がないのだ。1時間ほど前から脳は「休め」と危険信号を送っている。
しかし、止まることはできない。
気にかけてはダメだ。それを認識した瞬間に恐怖が全身を駆け巡るだろう。
僕らはいま追われていた。
奥穂高岳について
地図
上高地から往復するコースです。涸沢でテント泊をしています。
涸沢テント泊(1日目)
新宿駅から夜行バスに乗って上高地へ
去年の7月、焼岳から見た穂高連峰です。
地図上で見る穂高岳へ至る道は、とても遠くそして果てしなく感じていました。登りに3時間以上歩いたことなく、日帰り登山がメインだった自分には、北アルプスの奥地である奥穂高岳はとても到達できないであろう存在でした。
この1年ずいぶん色んな山を歩きました。ある程度、足腰も強くなったつもりです。
そして再び、北アルプスの奥地へ向け、上高地に足を踏み入れたのです---
紅葉シーズンの上高地行きバスはすぐ定員に達してしまいますが、3連休2日目の夜発ということでギリギリ1名空きがありました。
10月の6,7,8日が3連休で、9日に有休を取得しました。
混雑が予想されたので8、9日の1泊2日の計画です。
新宿の都庁の真下にあるバスターミナルへ向かいます。
大都会の摩天楼から大自然の(や)摩天楼に移動するわけですね。
ちょっと早く着きすぎてしまい時間を持て余してしまいました。
3連休を利用して関西方面からディズニーランドに遊びに来ている女子達を眺めていました。
いやだってそれくらいしか見ることないし!?
高速バスが到着しました。
山ガールが隣にならないかなと期待しましたが、既にほろ酔いにできあがった状態のおやじでした。
人生こんなもんか。
エマージェンシー!エマージェンシー!
もの凄く奥歯が痛いです。脂汗が出るくらいの。
お昼に渋谷でスタ丼を食べているときに肉を噛んだ瞬間激痛が走ったんですよね。まさか、深夜に高速バスの中で痛みが蒸し返してくるとは…。
高速バスという閉ざされた監獄で必死に痛みを堪えました。
途中で立ち寄った談合坂SA。
ハロウィンのかぼちゃの野郎が歯を出して笑ってやがる。こっちは必死に痛みに耐えているというのに。
ぬるめのお茶を飲めば治るかなと藁をもすがる思い出試してみましたが、マッチポンプでした。
奥穂に行くのに奥歯がー!
奥穂に行くのに奥歯がッー!!!
…。
日光の華厳の滝で物憂げな顔で滝つぼを眺めている人がいたらそれは僕です。
痛みは深夜3時ごろにひきましたが、結局全く寝れませんでした。
隣のおじさんは前の空いている席に移動していたので、一人で座席を二つ使えたのが幸いでした。
高速バスは5時頃、沢渡に到着しました。
沢渡から低公害バスに乗り換え上高地へ。
約20分の道のりですが、バスからは早朝の神秘的な大正池が…真っ暗で何も見えなかったぜ。
考えて景色が見える席に座ったのに…。
5時39分、寒いそして暗い上高地バスターミナルに到着しました。
上高地までのツアーは腐るほどあると思いますが、どうやら一番手のバスだったみたいです。
上高地から明神池を見ながら横尾まで移動する
バスターミナルのテーブルで朝食のアップルロールを食べながら本日の同行者である「ススム君」を待ちます。
彼は、さわやか信州号ではなく毎日アルペン号で向かっています。
到着時間に誤差があるんですね。
到着するバスがどんどん増えてきました。
外寒すぎるのでインフォメーションセンターに逃げ込みました。
ススム君とも無事合流でき出発です。
ススム君は、槍ヶ岳の縦走や南アルプス白峰三山縦走を難なくこなす新星登山家です。えろいです。
スタート地点の上高地から奥穂岳へと至る分岐点である横尾までのルートです。
- 明神(みょうじん)
- 徳沢(とくさわ)
- 横尾(よこお)
上高地の観光名所の河童橋ですね。
1日目はコースタイムに余裕があり、河童橋を渡ったルートを通ります。
河童橋からは焼岳が綺麗に見えます。朝日を浴びるその姿は焼おにぎりのよう。
朝の上高地の織り成す自然美はとても神聖ですね。
空気は澄み、水は透きとおり、風が揺らす木々の音と鳥達のさえずり…
「前を歩いているお兄さんのロングタイツのデザインまじかっけえな」と思っている自分が恥ずかしいくらいに。
煙草の煙のようにぷかぷか漂う雲がありました。
1時間ほど歩くと明神池の入口があります。
せっかくなので見学していきましょう。300円払うことになりますが。
地図に「静かで神秘的な池」と紹介されている通り、静かで神秘的な池でした。
水が澄んでいて、この日は風が全くなかったので、遠くから見ると水面との境界がわからないほど。
風のない穏やかな日には是非訪れてみてください。
上を見上げるとかなりの高さがあるであろう明神岳がそびえたっています。
地図を見るとルートがないので、クライマー向けなのかな。
明神橋を渡り、本来のルートと合流します。
明神館です。
飲み物の値段は上高地の通常価格と比べて50円アップしました。
3連休最終日と言うこともあって、帰ってくる人が多い多い。7割の人が大型ザックを背負ったテント泊客です。
横尾までの道のりが果てしなく遠い。
上高地から横尾までのコースタイム3時間10分で、標高差は僅か100mちょい。ひたすら平坦な道を歩くことになります。
これは一人で歩いていたらつまんないだろうな…。
上高地から第2のチェックポイントである徳沢に到着です。
ここはキャンプ指定地になっているのですが、ものすごい数のテントが張ってありました…。
おいおい、難民キャンプかよ。疲れた実社会からの。
徳沢ロッジはモダンな木造建築。
名探偵が泊まりに来たら、確実に殺人事件がおきそうな雰囲気のあるロッジですね。
焼岳の時も似たようなことを思っていた気がします。
現代美術館にありそうな標識デザインが北アルプスの山の中とは思えません。
冷えたりんごがとても美味しそうでした。
でもダメ、今歯が痛い。
リンゴを食べると歯茎から血が出ませんか?
このフレーズ知ってる人は少ないのでは。
ザックを背負った登山客がとても違和感のある徳沢ロッジのエントランス。
泊まってみてぇもんだ。
さぁ、ここまで来たら後は横尾を目指すのみです。
全体的に影っているコースなので、汗ほとんどかきませんでした。
だんだん近づいてきた気がする…。
この夏、ススム君はテント泊で南アルプスや北アルプスに出かけているので「何泊くらいしたの?」と尋ねました。
「う~ん、何泊しただろう、結構しましたね~」と返答。
そこで、僕はこう言ったんだ。
「わんぱくしてるんだね!」
……。
富士山麓の森の中で車内でバーベキューをしている人がいたらそれは僕です。
9時30分に横尾に到着しました。どの拠点も賑わっているのはさすが上高地といったところ。
横尾から涸沢は登山者の渋滞が発生
雑誌やメディアで必ず紹介されている横尾大橋です。
さぁ、行くぜ!
横尾大橋を越え北アルプスの奥地へと足を踏み入れます。
横尾から涸沢までは、更に3時間の道のりです。
- 本谷橋
- 涸沢
まだまだ、平坦なので余裕ありますね。
屏風岩が見えてきました。
雅な名前をしていますが、岩がむき出しの切り立った斜面はとてもじゃないけれど登れる気がしません。クライマーの世界ですね。
道が狭くなってくるので、大量の下山客をやり過ごすのが大変です。
下山してくる人数を考えると連休中の涸沢はどんな人口密度だったんだろ。
木々の奥のほうに涸沢っぽいのが見えてきました。
まだまだ遠いですね。
すれ違いにうんざりしながら歩いております。
圧倒的に下山勢力が強いため、登山勢が止まってしまうのが難点ですね。
10時38分 本谷橋---
涸沢までのチェックポイントに到着です。
余裕のダブルピースを決めるススム君。岩の上で朽ち果てる自分。
「ああ、このまま落ち葉になって川の流れにそって海まで行きたい」
女性4人組がつり橋を渡っている。
…。
つり橋効果を狙うも誰も通らない図。
休憩もすんだし涸沢まで登ります。
本谷橋からは傾斜がきつくなってきます。
登るにつれて葉が黄色に色づき始めました。
そして、大渋滞。
おいおい、紅葉時期の日光じゃないだから勘弁してください。
そして、登るにつれて広がる景色。
U字状の谷にびっしりと紅葉した木々が燃えるようです。
歩調に合わせて葉の色づきが変化していく、秋のリズムをお楽しみ下さい。
道行く人は度々足を止めてその美しさに感動の声を散らしていました。
そして、この秋晴れの青空。
最高ではないか。
前回の鹿島槍ヶ岳~五竜岳、雨風に打たれ、震えながら危険な稜線を歩いた縦走は一体なんだったのか…。
野球少年も紅葉を満喫。
そして、紅葉の色づきは黄色から橙そして赤へ。
涸沢直下は石段になっているので歩きやすく、紅葉のトンネルになっていました。
赤と緑と黄色が入り混じっています。
後ちょっと涸沢というところで
「あッー!遂に遂に、上高地から歩いて6時間!涸沢に到着しました!」
と大声で喋りながら勢いよく駆け登る一人の男性。それを追うようにして4~5人がぞろぞろと着いていきます。
名古屋テレビ局の取材でした。
看板を指しているのが案内人(タレント?芸人?)みたいで、ガイドを引き連れての取材みたいでした。
右下のおばさんが空気読めない感じで会話をはさんでしまい、このシーン使われるのかハラハラしました。
ヒュッテと小屋の分岐まで来たら後わずか。
最後の登り!
おばちゃん遅い!
涸沢ヒュッテに到着。
大パノラマの涸沢紅葉、これは間違いなく日本一
12時40分 涸沢 ---
おー!こりゃすげぇや。
登山する人が「涸沢!涸沢!」と宗教じみた感じて行きたがるので、若干引き気味にいた自分ではありましたが、ここに辿り着いて納得しました。
みんな来たがるわけですね。
180度穂高連峰に囲まれた空間の斜面に紅葉が色づき、なんとも抱擁感のある景色です。
まずは重たい荷物を降ろすためにテント場へ移動しました。
横尾からヘリコプターの音が絶え間なく聞こえていたんですよね。
最盛期を迎えて物資の運搬を繰り返しているのでしょう。
乗せて欲しいものです。
13時からテントの受付を開始。
用紙を一人一人書いたりするので時間が掛かります。連休中とか何十分も待ったのでは…。
噂には聞いていたけどとても寝にくそうな地面ですね。
先着ですが、地面に敷く木のパネルやマットをレンタルすることができます。
幸いエアマットだけで寝れるようなスペースが確保できました。
設営完了。
自分と同じ型のテントは一つだけでした。かぶらないって素晴らしい。
さて、本日は行動終了です。寝るまでの時間がたっぷり余るわけです。
要塞のような涸沢ヒュッテに戻ります。この涸沢ヒュッテは売店が営業しています。
飲み物はもちろん、名物のおでんや手作りのカレーライス、ソフトクリームなんかを購入することが出来ます。
ヒュッテの座敷にて、二人でおでんを食らいました。
おでんの価格は各100円、がんもが150円だったかな?大変リーズナブルですね。ちょっと小ぶりではありますが。
ちょっと贅沢すぎるな。
時間はたっぷりあるので、読書の秋ということで本を読んだりして時間を潰します。
涸沢小屋へ探検に出かけます。
先ほどの名古屋テレビとは別の取材クルーがいました。
それもそのはず、今年の涸沢は「10年に1度の紅葉」と言われるくらい素晴らしい出来栄えなのだそうで。
翌日の奥穂高登山に向けてルートの確認をするため視察を開始します。
少し登ると赤い紅葉が目を見張ります。
涸沢を上から眺めるとこれまた美しい。
正面には8月に登った常念岳が見えました。
ちなみに常念岳から撮った穂高方面。雲が覆いかぶさっていてよくわかんないですね。
しばらく写真撮影をして過ごしていましたが、16時になったので陰て冷えこむ前にテント場に戻り夕食準備です。
この日の夕食は、なんとススム君が自分の誕生日(9月17日)プレゼントということで全て用意してくれました。
網焼きから始まり、ヘルシーな野菜鍋、オリジナル創作パスタという感じのフルコースでした。たいへん美味しく満腹になりました。
ありがとうございまーす。
夕暮れを過ぎると穂高連峰に雲が覆いかぶさりました。
2日目は夜明け前から奥穂高へ登り、その足で上高地まで帰るという怒涛の日程です。
奥穂高岳 登山(2日目)
サイデングラードを登り穂高岳山荘を目指す
4:00 起床---
「っ寒い!」
自分の寝袋じゃ、この時期で限界だと感じました。
昨晩は夕食を食べた後テントに入って横になったらばったり寝ていました。その後は2時間おきに起きたり寝たりの繰り返し。
空にオリオン座が輝く満天の星空の中、奥穂高へ向け出発です。
お約束の写真ですがテント場の夜景。
特に集中して撮っていたわけではないのでブレまくり。
涸沢から奥穂高岳を目指します。地図上だと短く感じますが、標高差は約800mもあるので結構大変。
- サイデングラードを登り穂高岳山荘へ
- 奥穂高岳登頂
第2次世界大戦中のドイツとソ連が攻防戦を繰り広げた地名みたいな名前の「サイテングラート」
崩れた岩場を手を使ってよじ登ります。
まだ日が出てないのに暑い。
そして、寝起きなので体が思うようにエンジンかかりません。
荷物は軽いものの息をあげながら登っていきます。
標高3000mなので空気が薄いからかもしれませんが。
ようやく山荘が見えてきました。
6時17分 穂高岳山荘---
よくまあ、こんな標高のところに立派な小屋を建てたもんだ…。
石畳を平らに整備するだけでも相当な労力があったんだと思います。
冒険の夜明け
東の空に雲が掛かっていたため、日の出の時間が少し遅かったです。
険しい岩場を登り、標高3190mの奥穂高岳へ
山荘から奥穂高岳への道のりはいきなり絶壁。
先行のパーティーがいきなり壁をよじ登りだすからびっくりしましたよ。
階段と鎖で登っていきます。
真っ暗闇だとちょっと怖いところですね。
お隣は、涸沢岳(からさわだけ)、奥には北穂高岳(きたほだかだけ)でどちらも標高3100mを越える高峰です。
ちらっと顔を出しているのは例のヤツですね。
ぴっけるが刺さったモニュメントがありました。
これが伝説のピッケルか…。引き抜いたものは勇者になれるとかなれないとか。
最初の絶壁を登ってしまえば後は岩ががらがら転がっている道を登るだけです。
そういえば漫画「岳」でよく滑落死する人が多発するのが、この穂高連峰の縦走コースですね。
誕生日のお祝いとか死亡フラグにならないよな?とちょっとビクビク。
ようやく頂上が見えてきました。
到着です。
山頂が積みあがってるんだけど!
9時7分 奥穂高岳山頂 ---
やりました!
遂に、日本で標高3番目に高い山、北アルプスの頂上に立つことができました(座ってるけど)。
1位は言わずもがな富士山で、2位は南アルプスの北岳ですね。奥穂高岳は3190mで、北岳は3193mと、その差たった3m。どんぐりの背比べですね。4位は南アルプスの間ノ岳で3189m。うまいこと北と南でわかれたもんですね。
3mくらいちょっと頑張れば増やせるんじゃないだろうかとか思ったりしました。
山頂には小さな祠がありました。
北アルプスのてっぺん。
そこからの360度の見渡す限りの山々は、日本が持つ自然の豊かさを象徴してくれる景色でした。
この瞬間、北アルプスの誰よりも高いところにいるという優越感。
富士山と北岳に同時間帯どれくらいの人がいるかはわかりませんが、確実に日本で2桁台の人数の頂点にいますね。
なんて、小さな優越感なんでしょう…。
それでは、恒例の山頂からの動画です。
この山を今年の高山の締め括りに登って本当に良かったです。
高い山に登るとそこから見える山に登りたくなったり、以前に登った山が見えるとその時の記憶が甦ったりと、過去と未来の「つながり」を感じますね。大げさな表現かもしれませんが。
名残惜しいですが滞在時間20分で下山を開始します。
ススム君が山荘でバッチを買いにいったので、一人遊びしてました。
同じ道でテント場まで下山します。
山頂付近は完全に枯れていますね。
初雪は連休中に降っているので、あと1ヶ月もすれば完全に雪に閉ざされるのでしょう。
上等なカメラを持ったおじさん(おじいさん)が多いこと多いこと。
そんな何百枚も風景写真撮らないで、ちゃんと自分の元気な姿も写真に収めるべきですよ。
ほら、年齢も紅葉していることですし。
( バカー!年配の人も見てるかもしれないんだぞッー!!)
こんな感じのルートを歩いてきたんです。
バスに間に合わせるため、激動の上高地へ移動
テント場へ到着。
そして、ここからデスゲームのはじまり。
現在時刻10時ちょうど。ススム君が東京へ向かうバスの出発が14時。
MISSION:4時間で涸沢から上高地へ到達せよ
この美しい景観に後ろ髪を引かれる思いですが、また来年、再来年もこの場所は存在するので一時のお別れです。
行きはだいぶゆっくり登ってきましたが、ここからは軽快に飛ばしてくだります。
まずは、本谷橋で少し足休め。
あ、ちなみに自分はバスの予約はしていないのですが、ここまで一緒に来たからには地獄に付き合うのが男の宿命。
勢いよく歩いていったら、つり橋が思いのほか揺れてビビる。
狭い道では団体客に何度もペースを阻まれました。
横尾大橋まで戻ってきました。
ペースをあげていたのですがコースタイム通り。
この時点で12時ちょうど。横尾から上高地までのコースタイムは3時間10分。タイムリミットは14時!
そして、ご覧のように足はへろへろ。
冒頭の文章からここにリンクするわけです。
時間に追われる戦いがはじまったわけです。1時間10分を短縮するために、競歩に限りなく近い早歩きをします。
それぞれ1時間かかる、徳沢、明神、上高地間を40分間隔で歩きました…。
そして、ほんとにギリギリの14時になる3分前に上高地河童橋前に到着。
頭の中で映画『ロッキー』のファンファーレがなりましたよ…。
ススム君はバスターミナルまでダッシュし、インフォメーションセンターに名前を呼ばれるものの何とかバスに間に合ったそうです。
自分は河童橋前の地面にそのまま崩れ落ちました。
エネルギー切れになったので、売店で野沢菜のおやきとコーラを購入しました。
手に持っているおやきを狙ってくる鴨。
ちょっとおやきを持っている手を下げるだけで襲ってきます。
350円で売っている上高地ソフトクリームを堪能しました。
オプションではちみつ(100円)を掛けれます。甘いものに甘いものをかけるのがナンセンスだと思ったので頼まなかったけど。
20分ほど休みバスターミナルへ移動します。
温泉に入りたかったけれど、15時までに上高地の日帰り入浴は終わってしまうので諦めました。
手ぬぐいで体をふいて、何とか東京まで帰るに耐えうる格好に着替えました。
帰りの新宿直通バスが予約できるのが一番いいのですが、あいにく出発前から満員だったんですよね。
松本まで向かい、電車で帰ることになります。
松本までの路線バスと電車が一緒になったチケットを購入。2700円くらい掛かったかもしれません。
14時50分の路線バスに乗り込み、新島々バスターミナルまで向かいます。所要時間は約1時間ちょっと。
16時にバスターミナルに到着し、そのまま松本電鉄上高地線に乗り換えます。
初めて乗る路線はわくわくしますね。
2両編成の単線。
デザインがアルピコ交通のバスと一緒ですね。
田舎路線で静かでのんびり…。
と思ったら、次々と駅で小学生、中高生、果ては大学生が乗り込んできて騒がしくなりました。
そうだ、今日は平日だった。
40分ほどで松本駅に到着しました。
この駅も初めて降り立ちますね。
駅から見るアルプス方面は雲が覆いかぶさって、隙間から光が差し込んでいる光景が綺麗でした。
松本からさすがに鈍行で帰ろうとは思えず、あずさに乗って東京へ帰りました。
怒涛の1泊2日の涸沢~奥穂高岳の旅が終わりました。
紅葉の涸沢・奥穂高岳を終えて
北アルプスの奥地を訪れるのは初めてでしたが、上高地からのルートであれば1泊を前提にすれば涸沢は難しい場所ではありませんでした。流石に穂高連峰を巡ったりしようと思うと2泊は必要だと思います。
皆が「イイよ」と言うところに行きたがらないメンドクサイ性格をしている自分でしたが、この涸沢と穂高は来てよかったと心から思いました。
例えば、ウン十万円もする高級レンズで著名な写真家が撮影したとしても
例えば、ウン千万円の値がつく絵を描く画家がキャンパスに描いたとしても
この景色の素晴らしさを1割も伝えることはできないでしょう。ましてや素人の自分の写真では、ミドリムシ程にも伝わらないと思います。
今回の涸沢の紅葉だけに限らず、全ての山の景色はそういうものだと思います。目や耳、口、鼻、肌に伝わる感覚をもって自然の素晴らしさは伝わってきます。
なにも難しいことではありません。
足で歩いて辿りつけば、それに出会えるのですから。
---
綺麗に終わるのアレなんで、とっておきのマウンテンジョークを一つ。
登山部の僕は、メンバー二人と共に北アルプスの山を登っていたんだ。
一人は登山部の部長で「隊長」と呼んでいた。もう一人は学校のクラスで「委員長」を務めているやつだ。
僕達は北アルプスの稜線付近を歩いていたんだ。
その時、僕はハイ松の中にがさがさ動く雷鳥を見つけたんだ。
「隊長!隊長!雷鳥がいます!」
「え、どこだ?」
「委員長!委員長!ほらあそこに雷鳥がいるよ!」
「どこどこ?わからないよ」
「ほらあそこですよ、隊長、雷鳥は!」
…
そんな、やり取りを何度も繰り返すうちに雷鳥は姿を消してしまったんだ。
そして、ため息を吐きながら隊長はこう言ったんだ
「これがホントのた・ら・い回しってやつか」ってね。
…。
冬の東尋坊へ鉄道旅行をしている人を見かけたらそれは僕です。
コメント
こんにちわ^^
いやぁ紅葉みごとですね。 いつ頃まで見れるんでしょうか?
veryblueさん言うとおり、この紅葉は自分で見ときたいなと思いました。
そして今回もオツカレサマデス。。
放送事故か?w と思わせる今回の笑い。。 いつもと違った雰囲気を感じましたが、奥穂・奥歯が一番笑えたかもw …笑ってごめんなさい^^;
歯、治しましょうね。。。
小説風な出だしが、最後につながるとは。。文才もなかなかどおでしょ、お上手です。 あとはギャグの精度を…。 おっと失礼w でも私は事故、大好きですよw
>ひでさん
さっそくコメントありがとうございます。
紅葉登山の成功の余韻で変なテンションになって書いてました。なんだかお見苦しく申し訳ございません。
歯治しに行こうと思います…。
もっと文章力を身につけてお届けできればと思います。よろしければお付き合いくださいませ。
読み応えたっぷり、面白かったです!
ほんとうに綺麗な紅葉ですね、次回「10年に一度の美しさ」になるまでに
涸沢に躊躇わず登れる体力作りたいです\(^o^)/
実際目で観ないと分からない、ってことがよく分かるだけに
どうしても行ってみたいって思いました★
>ちかさん
変な勢いで書いたので申し訳ないです。
涸沢は皆がみたくなる紅葉なので是非行ってみてください。
涸沢に行くだけだったら、そんなに体力要らないかなって感じですよ。
ネックは、混雑とテントで行くかどうかだけだと思います。
まぁ体力があることに越したことはないので、鍛えてください!
いつも綺麗な写真ありがとうございます。
そして、いつも面白いけどよりおかしくって
歯痛でりんごとかタイミング良すぎですよ。
楽しかった~ ○^▽^○
>すんこさん
実際の景色は写真以上に綺麗ですよ・p・
歯痛は洒落にならないくらいの痛みでした。
高速バスでずっと体育座りして堪えてました。
体張るもんじゃないですね。
今回も読み応えありました。
紅葉ってこんなに綺麗でしたか?
と思うほど、美しかったです。
実際にこの紅葉をいつか見てみたいと思いました。
そして、何気ない写真や、行く道帰り道のくだり、
疲れた心がちょっと癒されました。
ありがとうございます。
最後に
私が今回選んだ好きな描写は山を焼きおにぎりに例えたところです。
>さつおさん
たぶん、今までのなかで一つの記事に対して一番の枚数の写真を使ったような気がします。
160枚ほど。
紅葉はとても綺麗です。
去年の雪辱を晴らせた気がします。
あれー?焼きおにぎりのくだりは全然頭ひねってないんですが・3・
相棒の「わんぱく」振り最高!
ところで逆立ち、ほんとにしてるの?
>rararaさん
はじめまして?
逆立ちはちゃんとしてますよ・3・
ちなにみ奥に落ちたら死んじゃいます。
初めまして!今年の夏の初めにこのブログに出会い、それから毎回楽しく読ませていただいてます。私も、日々のブログを書いてて、2年前から始めた登山のことも沢山書いてます☆
それにしても、写真の撮り方や構成や文章の書き方、見事ですね!自分のブログが恥ずかしくなっちゃいます。それに、自分を写すには相手のカメラ技術も求められますよね、私の場合は旦那さんなのですが、思った通りのアングルにならず削除ばかりです・・・
1つ質問があります!カメラって何を使ってますか??山に入ると本格的なカメラを持った人が沢山いますが、値段も重さもレンズの使い方も私には躊躇することばかりです。
今まで使ってたデジカメを卒業して、冬のボーナスで一眼を買おうかどうか迷ってます。。。
こういう美しい写真はどんなカメラで撮影したのかなと、気になりました。
ちなみに私はデジカメで撮影して、パソコンで色彩とがぼかしとか加工してます。長々と書いちゃいましたが、これからも楽しみにしてます☆
>shizukaさん
初めまして!
コメントありがとうございます。
カメラはCanon Eos Kiss X4を使用しています。レンズも特別なものではなく標準のレンズと望遠レンズを使っています。
なので、本格的な一眼レフカメラというわけではないですね。
そして、マニュアルすらも読んだことないど素人です…。
綺麗な風景写真を撮るだけなら、高いカメラで撮影すれば誰でも撮れる時代ですからね。
風景写真を綺麗に撮る人はそこらじゅうにゴロゴロいると思うので、山の旅を楽しく撮るってスタンスで撮影しています。
普通のデジカメでも上手だなって思う人もいます。
いいカメラ使ってるだけだなって思う人もいます。
いずれカメラについては記事で書こうと思っています。
紅葉すごいキレイ~感動しました!
冒頭の紅葉写真ももちろんの事、U字状の谷が最高に綺麗ですね!
それは~みんな歓喜の声をあげますでしょう。
涸沢って凄い紅葉がキレイなんですね。知らなかったです。
みんながイイよ!って言うとこには行きたがらないのは何故でしょう。
私はすぐ行きたいと思いますw
夜明けの板ばりを歩くシーンはなんとも感動しました。
しかも後半、何もない所でバック転ならぬ逆立ちなんて!
ますますファンになりました(ハート)w
それでなくても普通に感動する夜明けの前で逆立ちなんて気持ちがいいでしょうね!
最後のマウンテンジョークwは、良く意味が分かりませんがw、今回の特殊な流れが面白かったです。
ヘンピな所へは独りでは行かないで下さいねw
奥歯と奥穂、焼きおにぎり、私も吹きましたw
※丸腰では登れません。も好きですw
>heartyさん
全米興行収入No1、3D映像で実現した美麗な世界、誰もが感動したストーリー。
周りの皆に聞いても、「面白かった!」との声。
そんなわけで見にいった映画ですが、確かにCG技術は素晴らしいけれど…
物語は何度も焼き回し使われているような異民族同士のラブストーリーを無駄に壮大に引き伸ばしただけ。
おっと、ここまでいうと作品がわかってしまう…。
前評判が高すぎてハードルが上がり、実際に自分が体験したときにガッカリしてしまうことってありますよね。
登山も同じで先入観なしに、なるべく自分の足歩き自分の目で確かめたいんですよね。
それは周りが評判であって、自分に対して直接勧めてくるものに対しては、素直に行ってみようという気持ちになります・3・
メンドクサイ性格ですいません。
今回の記事はどうにも変な悪のりが出てしまいました。
いつも通り真面目に書かないといけませんねっ!
なるほど、良く分かります。
私もそういう事多々あります。
特に映画とか食べ物とかに多いのかなぁ~?
必要以上に言われると、そんなにもいいものかともの凄い期待してしまうんでしょうねw
山はまだ去年始めたばかりなので、あまり周りの評判?的なものを聞いてないので、(情報収集した方がいいのかな?w)、そうですね♪私も直接ここの山がいいよ。とか、この旅先が良かったよ。とか、私に直接言ってくれていたので、素直に行きたいと思ったのかもしれませんね♪
でもいつもveryblueさんの記事を見ると「ここいいよ。」って毎回言われてる様な気がするので、どれもこれも行きたくなります♪
>heartyさん
結局、自分で行きたいと思ったところに行って、想像以上に素晴らしかったらより感動すると思いますね。
前情報を頭の中に溜め込みすぎて行くと、その枠の中に捕らわれる可能性がありますからね。
ただ、地図だけはちゃんと見たほうがいいですね!
ルートを事前に確認しないで、その場で決めていたら、なんだかやたら長く険しいルートを通ったことが何度もあるので!
連日のコメント失礼します。twitterでもお話ししましたが(微妙にアカウント名が違いましたが)、屏風の耳に行って参りました。紅葉は大満足だったのですが、やはり奥穂高岳も登ってみたかったですね。
Veryblueさんの記事では登山よりも上高地への帰路のご苦労に焦点が当たっていますが、実際には涸沢からの登りは厳しいのだと思います。レベルを上げて来年挑戦したいと思います。
紅葉シーズンでは、あと1つくらいは山行を楽しみたいと思っていますが、車なしの日帰りだと奥多摩の紅葉を待つしかないかもしれません。
>icyfireさん
連日のコメントありがとうございます。
今年の涸沢の紅葉も去年に引き続き良かったようですね。
涸沢の紅葉を楽しみつつ奥穂高岳を登られるのであれば、テント泊ではなく山荘泊で回ると1泊で行けますね!
上高地→涸沢→奥穂高山荘(泊)→奥穂高岳→前穂高岳→上高地のルートを行ってみたいです。
今年は涸沢には行かず、焼岳の中ノ湯ルートの紅葉を楽しみました。
こんばんにゃ(^ ^)
某登山番組で、初めて(サイテングラート)という単語を知ったので、ここに来てみたら、やっぱり登ってましたー(喜)
私は大正池から明神までをウラウラしただけで、上高地に泊まった不届き者ですが、涸沢まで頑張れたら。。。マムートジョッキの生ビールがあるとか、ないとか?
色々と憧れの地ですねー。また良いものを見せて頂きました((^-^ )
もー、このブログが本になったら5800円でも買いますよー(安過ぎ?)
握手会やって下さいね♩
>さくらのさん
こんにちは。
奥穂高岳はもうだいぶ前になりますねぇ。今度はゆっくり穂高連峰をじっくり登りたいと思っています。
大正池から明神のぶらぶらもいいですね。
あの辺はキャンプ地がたくさんあるので、ゆっくり泊まってみたいと思っております。
横尾までは平坦な道ですが、そこから2時間の登りですね。大変な道ではないですが、時期によっては混雑します!
本になったら是非!
というかオファーが来る気配はまるでないですけど。
いつも楽しく読ませていただいております。
涸沢で使用された装備について教えてください。
寝袋や防寒対策を教えてください。よろしくお願い致します。
>こうさん
ブログを読んで頂きありがとうございます。
9月下旬の涸沢はギリギリ雪は降りませんが、夜はとても冷えます。
夜に外に出て食事を作ったりする場合はダウンジャケットが必要です。
寝袋はモンベル#3を使用していますが、フリースを着込んで寝込んでも寒かったです。
ナルゲン(水筒)を湯たんぽにするなど対策を取れば大丈夫かと思います。
またのコメントお待ちしております。
早速の返信ありがとうございます!
やはりかなり冷えるのですね。参考にして、準備します!
>こうさん
お役に立てたようで良かったです。
紅葉期の涸沢は混雑の方が敵ですけどね!!!