2013年8月6日
山形県と秋田県の県境にある鳥海山に行ってきました。標高は2236mあります。
日本海に突き出た富士山のような形をしていて、山形は出羽富士、秋田は秋田富士と呼ばれています。夏は高山植物に恵まれていて、ハクサンイチゲ、チングルマなどの小さな花の群生、黄色いニッコウキスゲの群生が見られます。
7月下旬に行った白山がどんな手を使ってでも行きたい山でしたが、この鳥海山は今年行けなければ舌を噛み切って死んでやる程の意気込みを持った山でした。
東京から遥か遠く日本海側の山形県庄内平野に位置し、山頂までの行程が長いため日帰りは厳しく、1泊2日の登山旅行になりました。
白山、白馬岳に続き日本海に面する山の最終章に相応しい旅となりました。
鳥海山 日帰り登山
プロローグ
それは、東北の山とのはじめての出会い。
月山(がっさん)。
待ち合わせの時間まで時間があったので、気まぐれに入った映画館で観た作品が人生を大きく揺らがせる内容だった。そんな突然降り掛かったような感動を与えてくれたのが、この山形県の月山でした。
2011年の東日本大震災後に配布された被災証明によって、東北自動車道が全面無料開放されました。その無料期間を利用し、栃木の宇都宮から真夜中に発ち日帰り登山をするのに適当な山。それだけの理由で決めた、初めての東北の旅でした。
東北の山はアルプス、八ヶ岳、関東近郊の山とは全く違う山容を持ち、開放感と高山植物に溢れていました。
世界的に見れば小さい国である日本の山。
東西でこれ程まで変化があるということに衝撃を受け、登山の旅にまた大きな広がりを見出すことができました。
月山の南側からの登山口から登り、稜線に出て、北側に見えた風景。
緑の平地が広がる風景の奥に、孤高に存在感を放つ山がありました。
鳥海山。
鳥と海の山。濁点のない言葉の響きが美しい山。
裾野を海にまで拡げ、鋭角でありながら暖かみのある傾斜を持つその姿を見れば、誰しもがあの山に登りたいと思うことでしょう。
自分はその姿に見蕩れ、いつかこの鳥海山に登りたいという密かな熱を胸に秘めていました。
そして、2年後の2013年夏―――
鳥海山登山口。
雨。
大雨。
ガス。
視界10mほど。
俺たちの夏は終わった…
都内深夜発~鳥海山登山口
会社を終えるとコインロッカーに預けてあるザックを取り出し、上野駅へ。
上野駅は複数の路線の始発になっているため、進行方向に続く線路を見ると旅情を増幅させてくれる気がします。
宇都宮線ホーム内にあるラーメン屋。
濃厚スープとメニューに書いてありましたが、白菜スープとしか思えません。ホーム内で手早く客を捌く必要がある店としては及第点といったところか…。
今回同行してくれるマミさんと合流し、宇都宮へ移動しました。宇都宮でたちと合流し、いざ東北へ。
福島県の安達太良サービスエリアは深夜営業の売店があり、いつ訪れても活気があります。
小腹が空いた時は、「北上京ずんだ団子」を頬張るに限ります。
初めて食べましたけど。
蔵王付近はアップダウンとカーブが連続するので運転テクニックが必要です。
宮城県に入り、村田JCTから山形道へと入ります。東京を出発して、栃木、福島、宮城と移動しています。あれ?一つ忘れているような気が…。
山形道に入ると外灯がなくなり、山間部を通る道はガスに包まれています。野生動物が左右からいつ飛び出してきてもおかしくない状況です。
寒河江サービスエリア。
山形自動車道で一番大きなサービスエリアです(たぶん)。交通量の多い東北道のサービスエリアと比べると、深夜営業の売店はありません。
いつも読み方を忘れますが「さがえ」と読みます。
月山ICと湯殿山ICの区間は高速道路が途切れています。国道112号の月山道路で結ばれています。
恐ろしく真っ暗。
長い区間でトンネル工事を行っているらしく、無人の工事用信号で10分以上停止させられました。厳しい気候環境にあるため、通年の補強が必要みたいです。
白山に行ったときと同じように始めて訪れる土地に興奮を隠しきれません。
月山の山間部を抜けると山形県の日本海側、庄内地方に入ります。
鶴岡JCTで日本海東北自動車道に入り、酒田にある終点で一般道に降りました。
東北のインター周辺はコンビニがないことが結構あります。事前に地図で検索をしておきましょう!雪国使用の入口があるセブンイレブンで食料と飲み物の買い物を済ませました。
コンビニで売っている海水浴グッツを見て、ふと思いつく。
「ちょっと海を見てから、山に登ろうぜ」
と思いつきで訪れた、北港緑地展望台。さすがに早朝からこの展望台は開いていませんでした。
なにやらカッコいい監視船?が停泊していたので見学。
米どころでおなじみ庄内平野は、見渡す限りに緑の水田が広がっていました。そして、上空にはどんよりと広がっていなくていい灰色の雲が…。
庄内平野の風景にあるはずの鳥海山の姿は分厚い雲に隠されていました…。しかし、雲の隙間から太陽の光りが差し込み、光の柱を作っていました。
鳥海ブルーライン入口。
太陽の光りは下界に届いているし、雲の位置が低いように感じたので、上に行けばきっと晴れ間が広がるはずです。
6時30分鳥海山登山口駐車場。
冒頭に戻る。
2年間熱望した山だっただけに絶望です。
分厚いガスにつつまれていて、雨は降りしきっていました。
車内で天候の回復を待とうということになり、2時間ほど駐車場で仮眠しました。
2時間後天候は変わらず、気持ち雨が少し弱まったくらいに。
もう、鳥海山の砂を拾って帰るか…。
無慈悲な雨の登山開始
8時26分登山口出発。
いや、やっぱりこのまま夏を終わらせることなんてできない!
俺たちの夏ははじまったばかりなんだ!!
雨対策道具をフルセットで登山開始です。
鳥海山の一般的なコースです。
鉾立(ほこたて)駐車場からスタートします。ちなみにこの鉾立駐車場は秋田県です。歩いて30分少々で山形県に入りますが。
山頂までは西から東へと一本道となります。
登山口を入ってすぐの場所に東雲荘がありました。
電機メーカーTDKの保養所らしいです。調べてみたところTDK創設者が秋田県にかほ市出身だからっぽい?
登山道は雨で塗れて、田んぼの如くぐちゃぐちゃしています。
アザミが咲いていました。
しかし、このアザミは目的のアザミではない気がする。
植物は雨に濡れて生き生きしているというのに、自分は暑さで蒸れ蒸れです。
ニッコウキスゲが登山道に咲き始めました。東北の山は高山植物帯への突入が非常に早いです。
そして、登山口から背の高い樹木がほとんど生えていないではありませんか。
「イワイチョウ」
星型をしていて、お気に入りの花の一つです。
登山口の本降りから小雨になってきました。
暑さで濡れるくらいなら、小雨に打たれて濡れる方がマシという結論になり、レインウェアは脱ぎ捨てました。
そして、雪の斜面。
ひゃっはー!8月の雪だッー!
雪の上を歩くのは実に6日ぶり、7月に入ってから4度目。
「チングルマ」
ラーメン屋のカウンターにコショウが置いてある確立と同じくらい、高山に生えている定番の花です。
アルプスや秩父などの連峰と違い、東北の名峰はそれぞれ離れた場所に点在しています。
自治体や山岳会の目が行き届くため、一つ一つの山がとても整備されている印象があります。
「コバイケソウ」
高く少し水気の良い場所になら、どこにでも咲いています。
登山口からずっと石畳が続いています。
ちなみに鳥海山は国定公園に属しているので、山形県が管理をしているみたいです。
小学生のグループとすれ違いました。昨日から頂上にある山荘に宿泊したみたいでした。
小学生の格好を見ると全員学校指定のジャージにホームセンターもしくは100円ショップで買った合羽を着ています。そして、ザックはイオンで1000円程度で売ってそうリュック、登山靴ではなくスニーカー。夏山を登るのに何万もする登山用品が必要なのかと思う瞬間です。
リュックのスペースには、防寒着や非常食より優先して携帯ゲーム機を入れているに違いありません。頂上でプレイするポケモンは格別なことでしょう。
「賽の河原」に到着しました。
賽の河原の名の通りに雪解け水が流れており、岩の隙間は湿原になっています。チングルマ等の小さい花が所狭しと咲いていました。
相変わらずガスガスですが、雨はここで完全に止みました。
ところどころ枯れている花も。
10時11分御浜に到着。
登り始めて90分経っていましたが、急斜面らしい場所はありません。鉾立コースはひたすら横に長い登山道なのです。
「ハクサンシャジン」
登山道にはこの紫色の花がよく咲いていました。釣鐘型の見て面白い花です。
雨は上がったけど完全なガスの世界
御浜小屋。
売店が営業していましたが、ちょっと値段が高いような…。ジュースが一本500円です。
登山バッチは特別な山でしか買わないと決めていて、もちろんこの鳥海山のバッチは即購入。
小屋の手前にはミニチュアの神社がありました。
狛犬の像がちゃんと左右対称で、真ん中にクルマユリが咲いているのがニクイ演出。
一瞬、雲が流れて青空が広がりました。
ガスがなければ、日本海を一望できるのに…。
下山してくる人に今日は山頂に泊まるのかいと声をかけられます。
「日帰りですよ」
と言うと驚かれて、まだまだ先は長いよと言われます。3時間掛かるとか…。
「チョウカイアザミ」
鳥海山の名前を冠した固有種の花です。普通のアザミと比べると頭を垂れるようにして咲き、紅色をしているのが特徴です。
ガスで展望がない道でも花が咲いているからこそ楽しめるようなものです。
御浜小屋を通過すると右手に鳥海湖(鳥ノ海)が見えるはずですが、そんな気配は全くありません。
20分ほどコースタイムが余計に掛かりますが、鳥海湖の周りを歩くこともできるようです。
御浜小屋から小田ヶ原分岐までは、花咲きすぎ。
御田ヶ原。
鳥海山は登山口周辺だけ少し背が高い木が生えているくらいで、全行程通して見晴らしが良さそうです。
御田ヶ原(高山植物が無数に咲く登山道)
ガスがなければなー!
コバイケソウの群生です。
この花は繁殖力が高くて、それに目立ちますね。
「ハクサンイチゲ」
小屋を過ぎるとあまり緩やかなアップダウンがあるくらいで、ひたすら真っ直ぐ歩きます。
同じような風景でごめんなさい。
鳥海山は夏場でも快晴ということが珍しいそうです。
徐々に舗装された岩畳がなくなり、険しい道になってきました。
御苗代という谷を越えると、七五三掛に到着です。
「しめかけ」と読むらしいです。にわかに信じられない。
広いスペースになっていて、これからの急な道に備えての休憩どころです。
自分たちもしばし休憩をし、おにぎりを一個パクつきました。
七五三掛を過ぎると鳥海山の本体とも呼べる、外輪山に入ります。
今までの穏やかな優しい道とは違い、険しい道に急変します。
ここで重要な分岐点です。
千蛇谷と外輪コースの分岐で、どちらを行っても頂上に辿り着きます。
ここで気になることが一つ。山頂付近だけ切り取られかのように山形県に属しています。普通、頂上に県境があるものですが、過去に何かしらの経緯があるのでしょうか?秋田は山形に逆らえない弱みでもあるのでしょうか…。
それはさて置き、雪渓が残る千蛇谷コースを選択しました。
どちらのコースも地図上には危険マークがあります。
千蛇谷コースは分岐してすぐの場所に危険マークがあり、落石の多いポイントのようです。
梯子がいくつか立てかけてありました。
露のおかげで滑る滑る。
今までの道からは考えられないほどの険しい道になってきました。下山してくる人とのすれ違いが大変です。
そして、目の前に突然白い斜面が現われました。
大雪渓です。
鳥海山の大雪渓を登る
まさか、これほどの規模の雪渓があるとは思いませんでした。
標高2000mの鳥海山。これだけの規模の雪渓が残っているのは驚きです。白馬の大雪渓とはなんだったのでしょうか。
雪渓に浮かれる自分と冷静なたち。
雪渓を横切り、草の生い茂る道を平行に登っていきます。
結構でかいなこの雪渓。
相当でかいなこの雪渓…。
6月あたりだと雪の斜面がずっと続くのでしょうか…。
時折、青空がのぞいて緑の斜面が萌えます。
先ほどは雪渓を横切りましたが、今度は雪渓を直登します。
白馬岳のようにペンキの目印はありませんが、細いロープが張ってありました。
100mほどの距離をアイゼンは着用せず登ります。というかアイゼンは東京の部屋で冬を待っています。
それにしても夏の雪渓登りは、ヒンヤリして良いですね。ビーチでカキ氷を食べている気分と同じ…とは言えない。
雪渓登りは僅か10分で終了。
でも、このコンパクトさが魅力的です。
鳥海山の広大なスケールにうっとり。
空が青い。
ガスが掛かっていて見えませんが、外輪山が壁のように立ちはだかっていました。
雪渓を登りきったら急斜面のじぐざぐ道になります。
「頂上へ」
の標識を見つけました。かなりの時間が掛かっているので、さっさと頂上に辿り着きたいです。
緑の斜面から火山岩の斜面に変わりました。ここまで来れば山頂が近づいているのを感じます。
山頂らしき岩山が頭上に見えてきました。
そして…
大物忌神社~シーチキンの昼食
12時56分大物忌神社に到着です。
登山口から4時間20分かかりました。
多くの登山者が昼食をとっていました。ガスは結局晴れず残念な感じです。
大物忌神社は日本海側の厳しい気候環境に耐えられるように強固な岩壁によって囲われています。
手前の青い建物は宿泊施設になっています。地図に「御室」としか書いていなかったので、宿泊できるとは知りませんでした。
御朱印コレクターのマミさんは、到着するや否やザックを投げ捨て、御朱印を貰いに走りました。
このブログを長い間お付き合いいただいている方は、もうおわかりですね?
海の鳥ということで「シーチキン」です。
出発が8時30分と遅かったので、とっくにお昼を過ぎてしまいお腹はペコペコです。
チキン尽くしBLTサンド(BL抜き)を作りました。
トーストはきちんと網で香ばしく焼いています。
生ビールを購入できるとはなかなかやりますね。
鳥居の向こうが大物忌神社の奥宮です。
食事の締めはもちろんチキンラーメンで。
鳥づくしの昼食となりました。まぁ、鳥海山に登るなら当然のマナーだと思います。
さて、この場所にはなんと無料開放されている美術館があるのです。
内部はこのようになっていて、鳥海山の風景や花などの絵画が展示されていました。
鳥海山で食べるチキンラーメンは格別です。
お昼を食べ終えると先ほどまで休憩していた大勢の人たちは、下山を始めたようでまばらになっていました。
鳥海山山頂へ、そして奇跡の展開が
さて、自分たちは今から頂上へ向けて登ります。ザックはデポ。
鳥海山と言う名前の山は存在せず、文殊岳、伏拝岳、行者岳、七高山の外輪山と新山、荒神ヶ岳の中央火口丘で形成されています。
標高2236mの鳥海山最高峰は新山(しんざん)になります。
御室からは小高い丘にしか見えない新山ですが、山頂まで20分と見た目以上に距離があります。
今までの花が咲き乱れる優雅な登山道とはうって変わって、荒々しい岩が登山道です。
というか登山道なんてないようなものです。
新山を登りだして、先ほどまでガスの掛かっていた天候が目まぐるしく変化し始めました。雪渓を歩いた千蛇谷から急速にガスが湧き上がってきます。
まさか…。
岩に描かれた目印を頼りによじ登っていきます。
しっかり固定された岩とぐらぐらと揺れる岩が混在しているため、見た目以上に難易度は高いです。
眺望と呼べるものがほとんどなかったのですが、千蛇谷のガスが登り切り、外輪の姿が見えてきました。
いや、まさかな…?
山頂までの最後の難関「胎内くぐり」
巨大な岩壁に挟まれた空間をくだり、そして登り返します。
某スパイダーマンのように手足を使って岩と岩を登る必要はありません。
なぜ首にレイをつけているのか、それは僕にもわかりません。
さて、胎内くぐりを越えると山頂はもうすぐです。
そして…
晴れたー!!!
代打逆転サヨナラ満塁ホームラン!!!
鳥海山には魔物が棲んでいるのか!!!!
ほぼ諦めかけていたのに、一瞬にして現われた晴れ間。朝の曇天ぶりからは想像つきません…。
鳥海山の山頂は鳥の世界
そして、念願の鳥海山山頂に到着です。
長かったけれど、そこまで疲労感がないのは急斜面と呼べるものが長く続かないからでしょうか。山頂は積みあがった大きな岩の上で狭く、5,6人が限界でしょう。
水平線に変って「雲平線」という言葉を作ってもいいのではないかと思うくらいに、下層と上層の雲が一本の線で仕切られていました。
今までに見たことのない雄大な光景に鳥肌が立ちました。
鳥海山だけに。
ずっしりとした山頂の標識。
岩の積みあがった山頂なので、背の高い看板は立てれないのでしょう。
岩の亀裂に咲く花の生命力。
この景色を見ながら白飯5杯はイケる。
小屋にまた戻る道中、先ほどまではガスに覆われていた外輪がくっきり見えました。
ガス缶に見えてしまったあなたは登山プロ。
下山ルートはもちろん見晴らしの良い外輪山ルートを選択です。
外輪に出るには壁のように塞がる斜面を登らなくてはなりません。
山頂直下にまだまだたくさんの雪が残っています。
外輪に出たらこの景色。
高山植物の花が咲き緑の絨毯、その下に広がる雲の絨毯。
外輪コースは行者岳、伏拝岳、文殊岳を通過し、七五三掛に戻ります。
時間があれば、少しはずれた場所にある七高山にも登りたかったのですが…。
上空にある雲は風に流され尾をひき、鳥が飛んでいるかのよう。
登ってきた道が外輪の向こうに見えました。
登ってきたときとは全く違うであろう景色があることは明白で、こんなに期待を昂ぶらせる下山も早々ない。
きっと下界からは、曇り空で山頂は見えていないことでしょう。
日本海に海水浴に来てる人はこの晴天を味わえていないのです。
山頂にいる自分たちは晴れてるけどなー!
心が曇っているようです。
狭い道が弧を描くようにコースが伸びています。
見晴らしの良いこちらのコースを帰りに選択したのも運が良かったです。
外輪にもたくさんの花が咲いています。
外輪コースをぐるっと回って新山と御室が正面に来る場所まで来ました。
露に濡れていた花も青空を浴びています。
独立峰なのでまるで雲の海に浮かぶ島のよう。
上空1200m付近に広がる雲の海。
真夏にも関わらず、湧き上がらない雲は珍しいのではないでしょうか。
陽のあたる南側の斜面を覆いつくさんばかりのニッコウキスゲ。
午後2時を回っているにも関わらず登ってくるパーティーが3,4組いました。そのほとんどは御室泊まりでしょう。
その中には、こんなわんちゃんまで。
自分の荷物をきちんと背負い、梯子の多い外輪コースを頑張って登っていました。
鳥海山を正面から。
再び七五三掛に戻ってきました。
なるほど、こういう景色だったのか…。
天国の景色かこれは。
やはり青空は必要不可欠な要素。花に元気がみなぎっているようです。
美しい花と緑の登山道
こんな道を歩いていたのかとしみじみ。
行きと帰りの風景がまるで違うので、大変お得な気分です。
登り始めてだいぶ時間が経っていますが、足取は軽快です。
秋田県側の景色ですが、完全に雲に覆われていて何も見えないのがちょっと残念。秋田県はまだまだ未開の地なので、憧れが強まるばかりです。
考えて見ると登山口からずっと稜線上を歩いているのか…。
登山中はガスに覆われ、全くその姿を現さなかった鳥海湖。
綺麗な正円を描いているではありませんか。
御浜小屋に戻ってきました。
御浜小屋から見える鳥海山はとても雄大。
雲海の向こう南側に独立して目立つ山があります。
そう、この鳥海山を憧れの山にしてくれた月山(がっさん)です。時を同じくして月山の山頂にいる人達は、この鳥海山を眺めていることでしょう。
御浜小屋に宿泊する人たちは、みんな外の岩壁に座り夕焼けに染まりつつある雲海を眺めていました。
うーん、本日宿泊できる人は幸運でしょうね。
つい、数時間前の登るときの景色は何も見えなかったのに雲泥の差です。
出発が遅かったので日没が近づき、下山を焦り始める。
たぶん、この日一番遅くに下山を開始したと思います。だからこそ素晴らしい光景を見れたのですが。
賽の河原付近で男1女2同じくらいの年齢のパーティを追い越し、最終下山者は免れる。
雲の中に沈む夕陽。
正直なところ日本海に沈む夕陽が見たかったのですが、次に来たときの楽しみとします。
そして、再び雲の中に入りました。
ここに来てどっと疲労感。
18時27分に下山完了です。
おっそ!
駐車場は朝見たときと同じ風景です。朝方天候の悪さにきっと諦めた人も多かったことでしょう。
日没とともに下山~酒田市の花火大会
ブルーラインをくだっていると辛うじて日本海を見下ろすことができました。
ブルーラインを降りて、ちょっと車を進めたところにある鳥海温泉「湯楽里(ゆらり)」で汗まみれの体を綺麗にしました。
たった、300円で入れた気がします。山形は入浴料が安くて良いですね。
そして、本日宿泊する宿がある羽黒山へ移動します。
鳥海山の麓ではなく、月山に近く、山奥にある宿をなぜ予約したかというと、2週間前にも関わらず酒田や鶴岡市の宿が全く予約が取れなかったからです。
お盆休み前、余裕で宿が取れるだろうと思っていたのが大間違いでした。
太平洋側は放射能問題があるため、日本海側に海水浴客が流れてきている影響のようです。
しかし、粋な酒田市が我々一行の鳥海山登頂を祝い、花火を用意してくれていました。
国道を走っていたときにたまたま酒田市の花火大会の終盤に差し掛かっただけですけど。
宿が取れなかったのはこれが一番の原因じゃないか?
ちょうどフィナーレの時に会場に近い場所を通り過ぎるという幸運。
こうして鳥海山の旅は感動の幕引きを迎えました。
翌日は羽黒山を観光しました。
鳥海山の登山を終えて
「全米が泣いた」
「衝撃の結末が待っている!」
「興行収入ナンバーワン!」
そんな煽り文句を映画を観る前に聞かされると、自分の中で作品に対する期待値を大きく上げてしまい、見終わったあとで「そんなこともなかったな…」と評価が低くなってしまうことがあります。俗に「ハードルを上げる」と言うやつです。
「登山道から見える眺めが最高」
「夏まで残る雪渓登りが楽しい」
「高山植物が咲き乱れて色鮮やか」
鳥海山はいくら自分がこの場において、どんな賛辞を書いたとしても、期待以上の自然が待っていてくれることでしょう。
月山に登り2年。
念願叶った鳥海山登山は後半の盛り返しにより、とてもとても素晴らしいものとなりました。鳥海山のこの夏一番の景色を見せてくれたに違いないと思っています。
何度でも訪れたい山です。
コメント
鳥海山を登られてたんですね!次はどちらを登られたのだろうと気になっていたのですが、まさか私の母方の実家があり良く遊びに行っていた山形とは!私も車で行ける最高地点までは何度か行っているので、鳥海山を登っていただき良い感想を書いていただきとても嬉しく思います♪東北の山って普通地味にとらえられがちですし(笑)もし機会があるなら次登られるときは日本一と言われる日本海に沈む美しい夕陽が観れると良いですね(^_^)/あ、そうそう次の登山から私も黄緑色のザックにぐんまちゃんを付けて登ろうと思ってますのでもしお会いした際は是非ひこにゃんと共演させて貰いたいですヽ(^o^)丿
>あっきーさん
白馬岳に引き続きコメントありがとうございます。
ご実家が山形ですか。
山形は鳥海山、月山、朝日岳、蔵王などなど東北の名山が集まっていますね。
ブルーラインの展望は皆無に等しかったので、今度行くときは晴れて欲しいです!
標高差1000m以上の場所から見る落陽は絶景なのでしょうね…。
ひこにゃんを連れていますが、全く滋賀とは無縁なのが最近の悩みではあります…。
群馬や栃木にはしょっちゅう行くので、その時は是非ー。
後半晴れてよかったですね。
一見変態に見える「裸の舞」で山の神のご機嫌をとっておいた成果が出ましたね。
最初、何という山への冒涜と思いましたが、すぐに「山よ我々を守ってくれ、そしてありがとう」という安全祈願と感謝の奉納の舞と気づきました。(笑)
7月、8月、9月中旬まで、休日に下から見上げる鳥海山は上半分雲の中で、登るのを躊躇してましたが、もしかしたら上の方は晴れてた日もあったのかもしれませんね。
地元の者でも予定の日と鳥海山の晴れが一致することはなかなかありません。
それを思えばかなりラッキーな一日といえるでしょう。
早朝に出発して午後2時頃には駐車場に帰ってくるのかな、と思っていたら、天気のせいで8時半出発でしたか。 やはり駐車場で待ち合わせなどしなくてよかったと思います。
登りはガスの中でしたが、花に出会えて何よりでした。 ホント癒されますよね。
またおいでください。 そして、いつかこの山で会いたいですね。
>climbfanさん
コメントありがとうございます。
2013年の夏全ての山はガスっていても鳥海山だけは晴れて欲しいと思っていただけに、後半の天気の回復ぶりには心のそこから震えました。
麓から見ると曇っていると思っていても、遠くから見ると山頂付近だけが見えているということはありそうですね。
この翌日の日曜日、鶴岡の海岸から鳥海山を眺めましたがそんな感じでした。
鳥海山は本当に何度でも行きたくなる山ですね。
東京の電車内にて秋口から秋田県のPRが盛んで、紅葉した鳥海山の写真をよく目にしています。
鳥海山が身近にあるなんて羨ましいです。
裸の舞が効いていたのかもしれませんね…。自分はしていませんが@x@;
序盤にある滝と日本海に沈む夕陽を見れるまでは、長距離もなんのそので行ってみたいと思います。
その時はよろしくお願いします。
あらゆる山の要素が詰め込まれた素晴らしい山旅でしたね。
写真集として見ても存分に楽しめました。
前に「鳥海山はええよ~」って聞いたことはありましたが、
関西からは時間もお金もたっぷりかかるので、
登りたいという気持ちは希薄でした。
でも、来年か再来年には是非とも登ってみたいと思います。
>elmonteさん
未知の土地で登山をするのは、すべてが新鮮で1分1秒が楽しいです。
標高は2236mの鳥海山。
海抜0mから裾野が延びているので、高度感はアルプスに引けを取りませんでした。
関西からは確かに遠いですが、山形県は魅力的な山があります。
是非、鳥海山と一緒に月山も登られてみてはいかがでしょうか。
はじめまして!今年登山を始めたのですが、関東 初心者 おすすめの検索から知り、ずっと楽しみにしてます!写真の美しさもさることながら、山行がどれも楽しそうで、全記事を読んでしまいました、それと次どこいこーかなーと考えるも真っ先に来てしまいますw
かなり憧れの存在になりつつあります(爆
鳥海山もずっと行きたかったんですよね、東北出身だとどうしても耳に入りますので、駅の広告とかでもかなりプッシュされてますよね、遠くから見るだけでも美しいのに…来年には行きたいと思っております…!
veryblueさんの好天率の高さに驚きを隠せません・・・(
ツイッターの方もフォローさせていただきました!
>みんみんさん
はじめまして。
コメントありがとうございます。
本ブログを参考にして頂き、ありがとうございます!
憧れ@x@;
日常では社会の底辺に這いつくばっているような人間なので、そんなお言葉は勿体無いと思います。
登山をより親しみやすく、そして旅として紹介できればと思っています。
東北の山は良いですよ!
まだまだ行きたい山は尽きません。そして、どの山もリピートしたい山ばかりです。
7月はあまり好天に恵まれなかったので、鳥海山は晴れてよかったです!
天気予報を当日まで凝視しているから、たまたまですねきっと。
ツイッターのフォローありがとうございます。ちょっとこれから探してみます・x・b
すばらしい写真、素敵な心の持ち主だとわかるような優しい文章を楽しませていただきました。ありがとうございます。
そして、大変おせっかいで申し訳ないのですが、秋田県民の方がご覧になったら「怒」となるような気がするので、ひとつお知らせを。鳥海湖の写真の上の文章中、「秋田は未開の地」とありますが、未開=文明が発達していないとなりますので、ここは「未踏」=また行ったことがない、の意味かと思いまして・・・。もし違っていたらごめんなさい。
>とおりすがりさん
コメントありがとうございます。
鳥海山はとてもいい山でしたので、毎年行きたいと思っているくらいです。
文章中の未開の地は、自身のフロンティアという意味で使っています。
観光で小学生の頃に竿燈祭り、数年前に角館の花見、登山で他県との県境上の八幡平と栗駒山に行きました。
秋田を存分に楽しめる山に登りたいです。
いつも楽しく拝見させていただいてます。そして次の山はどこにしようかと参考にさせていただいてます。
鳥海山は去年のお盆休みに登りました。ニアでした。
鳥海山は高山植物と沢と雪を楽しめて、登っていて本当に楽しい山でした。
昨年を思い出しながら読みました^^
そして、苦い思い出として、沢の中を下り中に思いっきり転んだこと、そして携帯も落としていたことも思いだしました。
次の日の栗駒山からまた舞い戻り、滝の小屋
途中で切れてしまいました。
veryblueさんの花の名前の博識ぶり、黄色い花とか、わかないけど花とかだったから、久々に拝見して驚きました。
小学生のくだり、面白かったです。
ブログがたまっているとは思いますが楽しみにしてます。
>さつおさん
コメントありがとうございます。
鳥海山はとても良い山ですよね。毎年でも登りたいくらいに花に緑に岩に素敵な山です。
高山植物の知識はまだまだです。なんせ一年経って結構忘れてしまっていますからね…。
雲海に阻まれて、肝心の日本海の絶景は見られなかったので、また晴天を狙って行きたいと思います。
なんとか2013年の記事を終わらせて、2014年の記録をタイムリーに更新したいところです…。
はじめして。鳥海山景色とてもきれいですね(^ ^)登る前はあんなに天候悪かったのに山の天気は本当わからないですね。私も7月初旬に東京を金曜日夜でて鳥海山、月山を登って日曜日に帰ってこようと思ってます。
憧れの鳥海山に今月いきます!山行く前は必ずベリーさんのブロクみて色々参考にさせていただいてます。雪渓が苦手なのですが~写真みてテンションUPです。
>エリクさん
鳥海山行かれるのですね!
長梅雨で天気とにらめっこすることになりそうですね@x@;
是非、シーチキンを頂いてください。
このブログに掲載されている画像が、フレンドカフェというSNSで使われていますが、ご本人ですか?
コメントありがとうございます。
どのが増加は良く割りませんでしたが、このサイトは初めて見ました。自分ではないですねー。