【中央アルプス】夏の木曽駒ヶ岳 テント泊 ～ ロープウェイで千畳敷カールへ、静かな山頂の旅

2012年8月25日～26日

中央アルプスの木曽駒ヶ岳きそこまがたけにテント泊で行ってきました。標高は2956mです。

木曽川と天竜川に挟まれる中央アルプスこと木曽山脈、規模と標高こそ北と南の二つのアルプスに劣りますが、日本の天井を支える大山脈の一つです。

日本最高所に通じる駒ヶ岳ロープウェイが開通しているため、登山経験がない人でも高山の景色を味わうことができます。

中央アルプスの山は初訪問です。

八月最後の週に新宿から高速バスを利用し、誰でも簡単に楽しめる木曽駒ヶ岳を時間をかけて優雅にテント泊で旅してきました。

木曽駒ヶ岳について

地図

駒ヶ岳頂上山荘のテント場で宿泊しました。2日目に宝剣岳に登っています。

木曽駒ヶ岳 テント泊(1日目)

新宿駅バスターミナルから高速バスで、駒ヶ岳ロープウェイへ

木曽駒ヶ岳へのアクセスは中央高速バスを利用します。

土曜日朝6時50分発のバスを事前にネット予約しておきました。2日前に予約したのですが、臨時便がギリギリ埋まってしまうので理想は5日前までに予約しておくべきでしょう。

ハイウェイバスドットコム:https://www.highwaybus.com/gp/index

早朝の新宿駅西口。

高速バスターミナルは西口出てすぐです。登山客が都庁方面に歩いていくのは、さわやか信州号を利用するのかな。

中央高速バスの「新宿～伊那・飯田線」、行き先のバス停は駒ヶ根ICです。

ネット予約しておくと携帯の画面を運転手に見せるだけなので楽です。高速バスの窓口はとても混みあっていて、慣れないバックパッカーの外人さんが列を生んでいたりするので。

夏休み最後の週末、混むだろうなと思っていたら案の定です。

首都高から神奈川県の相模湖あたりまでのろのろと渋滞。1時間半遅れです。

山梨県の甲府を過ぎたあたりの双葉サービスエリアで休憩。

高速路線バスで、休憩ってはじめてかも。

展望台があってそこから見えた富士山。

会社の人が富士山登っていたようでした。

駒ヶ根ICに到着したのが11時50分。

予定より2時間遅れ。

OK。想定の範囲内だ。

今日の登山行程は2時間程度なので、ぜんぜん余裕なのです。

高速バス利用者専用の道を進んで、一般道に出ます。

ああ、真夏のアスファルトはとても暑い。

道路を挟んですぐのところに駒ヶ岳ロープウェイへ向かうバスの停留所「女体入口」があります。

女体の入口…だと…？

田舎なのに（とても失礼）30分間隔でバスがやってくるため、それほど待つことはありません。

途中の「菅の台バスセンター」でマイカーで来ている人を拾い、バスはマイカー規制されている山道へ。

みやじゅんは相変わらずバス酔いが酷いらしい。

40分程度で駒ヶ岳ロープウェイ「しらび平駅」に到着です。

例年、語雑具合が増していると噂に聞いていましたがとんでもない人の数です。

バスを降りると同時に整理券をもらいます。

なんと脅威の90分待ち。

混んでるとは聞いていたけどここまでとは。

それでも、千葉にある某ランドの新アトラクションの行列が500分待ちのそれよりだいぶマシですね。

往復券2200円を購入しました。

これで、整理券番号のアナウンスがあるまでその辺で待機。

暇だなーとお昼のおにぎりをもしゃもしゃ食べていると何やら看板を発見。

しらび平周辺に周回コースがあるみたいです。

RPGのダンジョンにある宝箱はしらみつぶしに開けないと気がすまないタイプの僕達は、暇つぶしにザックを降ろしてさっそく遊歩にでかけます。

まずは、日暮（ひぐらし）の滝へ。

遊歩道の最後に梯子があったりします。

なかなか見ごたえのある滝です。

水の透明度が、っぱない。

ロープウェイ付近は混雑しているので、こちらに避暑にきてもいいかも。

後はなんのためにあるのかわからない広場を巡ったりしながら、はじめのロープウェイ乗り場まで戻ります。

３０～４０分程度の周回なのでちょうどいい時間つぶしですね。

やっとこさ順番が呼ばれてロープウェイに乗車。

後の方に乗車したのでロープウェイの真ん中に位置してしまい景色がろくに見えない。

前方にいた家族連れのテンションがとにかく異常でした。

「うぉぉぉぉぉ、すげーーー」

「きゃぁぁぁあ、こわーーーーい!! 岩にぶつかるッ!!?」

君達はどこか遠い島から来たのかい？と疑問になるくらいのテンションでした。

14時半過ぎに日本最高所2600mのロープウェイ駅に到着です。標高差がかなりあるので、下界の気温差に驚いている人多数。

同じザック背負ってやがる。ぷぷ。

そして、建物を迂回すると目に飛び込んでくるのはこの「千畳敷せんじょうじきカール」の素晴らしい景色。

古代、2万年以上前に氷河によって削られた地形の迫力は圧巻です。

長野県を代表する古くからの信仰の山です。

古くからの信仰ルートはロープウェイがある伊那からではなく、山深い木曽側から登るルートみたいですね。

夏でも涼しい千畳敷カール

ルートはとくに説明不要ではありますが簡単に。

1. 千畳敷カールを登る
2. 中央アルプス唯一のテント場がある駒ヶ岳頂上山荘

所要時間は多く見積もっても2時間以内！普通は、日帰りするところを贅沢にテント泊です。

まあ、高速バス利用だと泊まらないと帰りのロープウェイには間に合いませんね。

一般観光客が巡っている周回コースを抜け、登山開始です。

この遊歩道上は、水が豊富なため初夏の時期は高山植物が咲き乱れるみたいです。

どう見ても重装備です。本当にありがとうございました。

さぁ、2日間の行程の中で一番急な登り坂です。

登山客がたくさんやってくる山なので、登山道はしっかり整備されています。

ということで登りなれていない人も多く、木曽駒ヶ岳に向かうメインルートのため渋滞が発生。

高速もロープウェイも含めて時間が掛かる山ですね。

けっこう勾配がきついので、週末ごろごろして運動不足のお父様方は気をつけてください。

荒々しい岩山なので、浮石にも注意ですね。

落石事故なんかもあるようですよ。

千畳敷カールを抜け「乗越浄土」に出れば一安心です。

ここからは高低差のある道は少なくなります。

ここまで来れば、木曽駒ヶ岳は近いです。

青い屋根が特徴の「宝剣山荘」

左に行くと宝剣岳があり右へ行くと木曽駒ヶ岳です。天空のソフトクリーム400円が売ってました。ちょっと食べたかったけれど我慢。

この靴下買うかすごく迷ったり。

宝剣山荘のすぐお隣は、赤い屋根の「天狗荘」

テント場のある駒ヶ岳頂上山荘まで、まず中岳（なかだけ）を登ります。

10分掛かりません。

中岳山頂到着。

そしたら、夕方になり気温が下がったためか雲が取り払われてきました。

そして、テント場も見えてきました。

すでに結構な数のテントが設営されてますね。

木曽駒ケ岳のテント場でチェックイン

特に疲れもなく、山荘に到着しました。

受付を済ませます。

幕営料800円と少し高いですが、トイレと水場の利用料を含んでいるので安いもんですね。

頂上付近なのに水が普通に使えるってなかなかないですね。

テント場は岩がごろごろしていますが。

岩で囲まれてブースみたいになっているので、張りやすかったです。

んで、木曽駒ヶ岳の山頂へ向かいます。

山頂まで僅か10分で到着します。

とても楽でいい。この前の常念岳みたいに世話しなくていい。

木曽駒ヶ岳の山頂はとても広い。

人気のない木曽駒ヶ岳の山頂

17時00分 木曽駒ヶ岳山頂 －－－

東京からたった10時間掛けて、中央アルプス主峰の木曽駒ヶ岳に到着ですッ！たった？

17時はロープウェイの最終の時間なので、昼間は大勢いたであろう山頂は10人もいません。テント場にいた人達も既に登り終えたのでしょう。

とても静かです。

山頂には立派な神社がありました。

山頂神社にしては立派な狛犬。

そして、雲が下界に沈み込み始めました。

晴れたッー！

通りかかった時には全く見えなかった宝剣岳ほうけんだけも姿を現しました。

岩が積み上がったような荒々しい山ですね。明日登る予定です。

さらに奥、中央アルプスのもう一つの名峰「空木岳ううぎだけ」が見えました。

シンプルでいい名前の山ですね。来年あたり機会があれば登ってみたいです。

みやじゅんは猿を見つけて必死に追いかけてました。

山頂まできて餌があるのかな？

山頂で40分程のんびり夕陽と夏雲が織り成す悠久の自然を堪能。

普段は人で混みあっている山頂で、これだけ静かに時を過ごせるのは何と贅沢なことなのか。

単独であろう山ガールさんも感慨深そうに山頂で景色を眺めていました。

日が暮れてしまうと一気に気温が下がってしまうので、下山してディナーの準備に取り掛かります。

バーベキュー！

フライパンだけど。

全ての肉と野菜を美味しくしてしまう「宮のたれ」で頂きます。

これを掛ければ無限にご飯食べれますよ。マジで。

自家製秘伝のスパイスと塩麹で漬け込んだ「塩ロース生姜焼き」も食らう。下味にウィスキーを混ぜるのが自己流。

最近は、ばら肉よりもロースで生姜焼きを食べるのにはまっています。

野外で食事をしている時ってイーグルスのカントリーロックが個人的にはまるんですよね。

「Take It Easy」 気楽に行こうぜって意味です。ウェスタンな早引きの曲調が肉を美味しくしてくれるような気がする。

デザートの梨で口をさっぱりして宴は終了。

太陽が完全に隠れると一気に気温は下がり半袖じゃ外にいることができませんね。早めにトイレに行き就寝です。

小屋付近にテント張っていた人は、炭をたいて本格的にBBQやってて驚いた。途中、炭がなくなって暗くなるまで外に出ていて悲惨なことになってたけど。

静かに就寝…が、うるさい。

遠くでドーンドーンと音がする。

どうやら花火大会やってるみたいですね。夜の早い頂上で何と迷惑なことか。

そして、見上げると満天の星空。

標高が2900mなので、星との距離感がとても短いです。ロマンチシズムを身をゆだねて、うっとりと一人流れ星の観察をしていました。

短パンで。トイレに駆け込んだ。

木曽駒ヶ岳 テント泊(2日目)

木曽駒ヶ岳より朝日を浴びて

朝5時前。

南アルプスの山々を境界線に、空がオレンジ色に輝き始めました。

日の出を見るためにダウンを内側に着込みヘッドライトを装備し、中岳へと向かいます。

昨日、あれだけ山頂にまとわりついていた雲は、昨日の夜中に下界に収まり綺麗な雲海に。

御来光を見るのは久しぶりです。

奥秩父の南側から朝日が上がりはじめました。

日常的に繰り返されている光景がこうも美しいと感じさせてくれる瞬間です。

中央アルプスより西、独立峰である御嶽山おんたけさん の存在感がすごい。

北アルプスも綺麗に見えました。

8月最後の週末、この瞬間に山の上からどれだけの人が日の出を見ていたんでしょう。

駒ヶ岳山頂はすごい人です。

逆にこっちは寂しいくらい人がいなかった。

影木曽駒。

雲に浮かぶ八ヶ岳のロケーションが素敵なテント場に戻ります。

朝食はパンを頂きました。

今回のテント泊最高ッー！

撤収作業が大変なのはいつものことです。

詰め込むの苦手なんだよね。

2日目は宝剣岳に登ります。

来た道を戻るわけですが、中岳には登らずちょっと危険な巻き道で。

危険な足場の宝剣岳登山

宝剣岳が見えてきました。

まだまだ、ロープウェイが動き出す前なのでさっさと登っちゃいましょう。

地図上だと点線になっている通り、危険なルートです。

足を踏み外したら奈落の底って事はないのですが、まぁ致命傷になりかねない道なので慎重に登りましょう。

そして、宝剣岳山頂に到着です。剣の台座になりそうな岩があります。

当然、登ります。

注意してくださいかなりの恐怖感があります。足を開脚しないと登れません。

2900mのお立ち台。

降りるときすごい怖いから覚悟してください。

千畳敷とロープウェイ駅が見渡せます。

宝剣岳殺人事件。

ロープウェイが動き出す密室の山頂で起きた悲劇。凶器と思われる消えた宝剣は一体どこにッ!?

さぁ、千畳敷ホテルから日の出を見てから登ってくる人達で続々登ってくるので撤退します。

クライミングですね、もう。

後は、ロープウェイ駅に戻るだけです。

わお。すごい人です。

テント泊の大きいザックで、すれ違いに骨が折れます。

昨日とは違って快晴の空の下、緑に萌える千畳敷カール。

ロープウェイは通年営業なので春夏秋冬と高山の景色を楽しめるので、今度は夏ではない時に訪れたいですね。

遊歩道でロープウェイ駅まで。

あばよ、千畳敷カール。

木曽駒ヶ岳の下山～こまくさの湯

9時半のくだりのロープウェイはすっかすかでした。

早朝のロープウェイから1時間も待ちが発生しているようでした。始発に乗る勢いで出かけたほうが無難そうですね。何よりくだりのロープウェイも相当待つみたいなので。

ひゃっはー。

進行方向正面の窓を陣取ったぜー。

ロープウェイのチケットを購入したところでバスのチケットも買えます。

乗り換えはスムーズに出来ました。

バスの乗車中に野生のカモシカが路上側で悠々と草を食んでいました。

帰り際のサービスですね。

このカモシカ商売というものがわかっていますね。

「ビューホテル四季前」で下車。

公共交通機関利用だと寄りにくい登山後の温泉ですが、途中にあるので助かります。

早太郎温泉「こまくさの湯」です。

比較的に新し目の施設で、料金は大人600円です。お風呂が露天風呂と内湯が数種類、サウナがあります。露天風呂は川沿いに面していて、壁が南アルプスの形になっているので是非訪れてみてください。

入浴後のラムネ。やっぱり夏に飲むと格別ですね。

なんだかどこかで見たようなネーミングですね。

併設している食堂で駒ヶ根名物のソースカツ丼を食べました。ソースカツ丼を名物にしているとこ多くないですかね。会津もそうだったし。ここの食堂はパーキングエリアレベルの美味しさかな…。他で食べた方がいいかもしれません。

こういうとこの美味しさの見分け方は、付け合せのお新香が手作りかそうでないかで大体わかります。合成着色料の色したお新香出すとこは、それなりの味なんですよ。

予約した帰りの高速バスの時刻まで、3時間も時間に余裕があります。

さぁ、夏らしく冒険に出かけましょう。

「こまくさの湯」の隣に大田切川が流れているので川遊びをしました。

冷たくて気持ちいいです。

河原の砂が金色にキラキラ光ってるのですが、まさか砂金ですか。そんなわけないか。

川岸に散歩コースがあったのでなんとなく南下。

こまくさ橋と名づけられた吊橋を発見しました。キャンプ場があって、子供達は川で遊び、大人達はビールにバーベキューと夏を楽しんでいました。

うん、登山じゃなくてこういうのんびりとしたこともやりたい。

つり橋からすぐ近くに何やらレンガ造り風の施設を発見しました。

JAが経営する農作物加工所「すずらんハウス」です。

ホースの先に着いたプロペラで水を放出したり、霧状に噴射させる扇風機が外に置かれていて涼しげなギミックが面白い。

駒ヶ根特産のすずらん牛乳を使用したヨーグルトやアイスなどの加工物を製造販売しています。

「すずらんソフト」を頼みました。

バターを舐めたかのような濃厚さなのに口当たりはよく後味爽やか。マイカーでお越しの方も駐車場から歩いてすぐなので是非立ち寄ってみてください。

個人的な偏見ですがソフトクリームをミックスで頼む人って、貧乏性か味オンチだと思うの。

男は黙って白いの一本だ。

さて、ぷち冒険を終えて温泉に置いておいたザックを回収し、炎天下の中バスを待ちます。

ちょっと早めの路線バスに乗ったため、高速バス来るまで50分も待ちました。

周辺を探索できるようなところないので、「しゅわしゅわ」と響く蝉の声をBGMに待ちぼうけ。

14時50分のバスに乗り込みました。

まず、駒ヶ根ICからちょっと行ったところで事故渋滞に巻き込まれる。

双葉SAに1時間半遅れで到着。運転手さんはこの後、事故渋滞があって大きく時間を遅れて到着する見込みですとのアナウンス。

「しっかり、出しとけよ」って事ですね。

大渋滞。

よく覚えていませんが大月あたりからずっとのろのろ動いていた気がしました。眠りつくした上に持ってきた本も読み終えてしまい、こうなってくると座り地獄。

新宿に到着したのが21時50分。

予定運行時間3時間半のところ、7時間と倍です。運転手がぼやいていたけれど、この夏一番の混雑具合だとか。夏休み最後でみんな駆け込みレジャーしていたんですね。

夕方に帰り始めた人は日付回る前に帰れなかったんじゃないの？

移動時間がとんでもなく掛かった旅になりました。

木曽駒ヶ岳の登山を終えて

半日以上移動時間に費やした1泊2日のテント泊の旅になりましたけれど、結果として初中央アルプス登山は充実したものになりました。

のんびりと静かな山頂で一日の終わりと始まりを優雅に迎えることができたのが、今回最大の目玉でしょう。ロープウェイを利用し、日帰りで登ったとしても十分価値のある山ですが、テントを持っている人は練習がてらに行ってみてはいかがでしょうか。

木曽駒ヶ岳はなだらかでいわゆる女性的な山容、宝剣岳は岩々しく男性的な山容。最近、一つで二度美味しい山が続いてる気がします。偶然でしょうか。

中央アルプスはまだまだ魅力的な山が詰まってますね。来年は空木岳や恵那山にも登ってみたいです。

さぁ、8月も終わりですがもうちょっと夏山に挑戦して行こうと思っています。

某アニメ風タイトルでお別れです！

木曽駒ヶ岳の地図はこちら