2017年9月24日-25日
南アルプスの塩見岳に行ってきました。標高は3052mです。
鳥倉登山口から入山、山頂に一番近い小屋である塩見小屋に宿泊しました。塩見岳はある距離が長いので、体力に自信がない登山者であれば、1泊2日の行程が通常です。
広範囲の南アルプスの北部と南部の境界にある山で、山頂からは多くの名峰を展望することができます。
標高が3000m以上の名山でありながら、周囲で登った人はあまりおらず、選択候補から「いつか登れたら」というスタンスで塩対応していました。塩見岳だけに。
2017年は2日以上天候が恵まれる機会がなく、ヤキモキした登山者が多かったはずです。南アルプスの登山は2ヶ月以上前から計画があり、決行日の週末がどうなるか不安でした。しかし、候補日が運よく天気に恵まれ、強引な感じに行ってきました。
久しぶりの新しい南アルプスの一座、山荘泊で旅してきました。
塩見岳について
地図
塩見岳の鳥倉ルートを利用しました。
- 1泊2日の行程を推奨
- 全体的に傾斜がなだらかな印象
- 水の確保に若干の難あり(小屋から遠い)
- 三伏山から塩見小屋はアップダウンあり
- 山頂直下は岩場で危険
コースタイム
- 6:42駐車場
- 7:21鳥倉登山口
- 10:03三伏峠
- 11:53本谷山
- 13:59塩見小屋
- 5:18塩見小屋
- 6:14〜7:17塩見岳
- 10:17三伏峠
- 12:36駐車場
行動時間は1日目は7時間17分、2日目は7時間18分でした。
塩見岳登山(1日目)
未明に中央道を突っ走り、林道歩きを経て鳥倉登山口
土曜日の深夜に出発し、不健全なトークで盛り上がりつつ、駒ヶ岳サービスエリアで朝食を取りました。塩見岳の登山口があるのは、南アルプスの西側なので、東京からだと遠いです。
中央道松川ICより1時間強かかります。
登山口の駐車場は50台と言うキャパのため、前日土曜日から山に入っている登山者の車で、満車でした。何とか邪魔にならないスペースに駐車し、仮眠をとってのスタートです。
ちなみに奥にトイレがあります。
駐車場(6:42)
駐車場から約40分から50分の林道歩きです。
林道歩きが序盤にあると言うのは、山の人気を減らす一つの要因だと思ってます。
しばらくすると登山口が見えてきました。
期間限定で夏山登山バスが伊那大島駅から出て、その場合に限り林道歩きがショートカットできるらしいです。
LINK http://www.ibgr.jp/general-route/
自転車が放置されていました。
帰りの時に自転車で登ってくる人を見かけましたが、自転車を押して歩いていました。盗難リスクもあるし、帰りのためだけに持ってくるのも意味がないような。
登山口には仮設トイレが設置されています。
鳥倉登山口から三伏峠小屋は10等分の樹林帯
鳥倉登山口(7:21)
塩見岳の1泊2日の長い長い登山の開幕です。
ちなみに開始2時間くらい、自分のカメラにSDカードが入ってないことに気づいていませんでした。しばらく、くまちゃんの写真でお送りします。
鳥倉登山口から三伏峠小屋まで、距離を10等分にして、現在地を示す看板が設置されています。
1区間の所要時間は15分前後という具合です。
1/10(7:37)
同内容のプリントも設置されています。
街が設置した公式と誰かの手によって作成された非公式。何かしらの思惑を感じずにはいられない。
1/10と2/10の区間は傾斜がありましたが、そこを越えると平坦な登りがしばらく続きます。奥多摩のような樹林帯でなく、洗練されたシラビソなど南アルプスの原生林です。
2/10(7:53)
3/10(8:05)
という時間間隔です。後は省略。
一人分の道幅ですが、傾斜は緩やかで歩きやすいです。
3合目の時点で、後2時間という表記。
4/10
にょろにょろした花(綿毛?)が咲いていました。
5/10ということで半分経過。ここまでずっと傾斜は緩やかに進行しています。
プリントの方はスマイルマークが増殖していきます。これワードかエクセルかオフィスで造ってるよね?
6/10
後1時間で小屋という看板。
だいぶ登ってきました。登っているという感覚は薄いですけど。
6~7の区間に水場である「ほとけの清水」がありました。
三伏峠小屋と塩見小屋にもありますが、ここだけが登山道にある唯一の水場です。
流れている水量は細く、2リットルのプラティパスを満タンにするのに5分程時間が掛かりました。小屋にある水場は往復20分以上かかるらしく、ここでたっぷり汲んで行ったので、補給しませんでした。
徐々に傾斜が出てきました。
木々の隙間からは展望が見えるようになりました。手前の山脈の奥に目立つ山が見えています。
7/10
ここでようやくカメラにSDカードが入っていないことに気づきました…。
8/10まで到達しました。
8割を越えるとゴールまでもう少しの距離ということで、気持ちに余裕が持てるようになってきます。一番つらいのが6~7あたりのまだまだあるなという感じ。
塩川小屋とのルート分岐に差し掛かると、三伏峠小屋までの登りに少しだけ傾斜が加わります。
等高線の間隔は詰まっていますが、つづらに道が整備されているので、それほどきつくはありませんでした。
9/10までやってきました。さあ、後少しです。
登山道の側面は苔に覆われていて、光が射しこむと緑が銀色に輝き、混じりけのない純粋な自然を感じます。
しらびその幹にはとろろ昆布のようなもじゃもじゃが生えています(くっついています)。私はこれを「森の陰毛」と呼んでいます。
樹林帯が途切れている場所があり、周囲の山々をある一定の範囲で眺めることができます。
南アルプスの北部に位置する左が仙丈ヶ岳、右が甲斐駒ヶ岳です。南側から見たことがなかったため、新鮮な風景でした。
足元を見るとシダ類が黄色に紅葉していました。
しらびその隙間に見える空が広くなってきたような気がし、そろそろ峠が近くなってきていることを知らせてくれます。
「あと約200歩です」
あと僅かです。看板がありました。横に記されているピースマーク(平和運動や反戦運動のシンボル)が気になりますが、気にしないことにします。
看板から峠までは平坦な道が続き、小屋が見えてきました。前方を歩く、くまちゃんは歩数をカウントしていました。
日本一の高い峠?の三伏山峠と見晴らし抜群の三伏山
三伏峠(10:03)
今日の行程の中間地点ともいえる三伏峠に到着です。鳥倉登山口から2時間22分かかりました。少し早いペース?
三伏峠は標高2580mにある日本一高い峠です。
関東以北最高峰である栃木県の日光白根山が標高2578mなので、この三伏峠がいかに標高があるのかが、おわかりでしょう。
「ん?」
「日本一高いと言われる」
日本一高い峠、しかし日本一高い峠とは言っていない。そういうことか。
どういうことだ?
こちらは林野庁が設置した看板。
三伏峠小屋は宿泊客が出払い、閑散としていました。食事スペースはありませんが、ジュースや軽食を購入可能です。
小屋の正面にロープで囲われている場所があり、高山植物が自生していました。9月なのでそれほど花を咲かせているものはありませんが、タカネマツムシソウなど紫の花が咲いています。
塩見岳に向かうため、テント場の横を通過します。
三伏峠のテント場は平坦に整地されており、開放的なロケーションでした。テントが残されているので、空身になって、今頃山頂を目指しているのでしょう。
今回は利用しませんでしたが、水場は往復20分と結構遠いのが難点か。
テント場の先には分岐があります。
左に行くと塩見岳へ。右に行くと小河内岳方面、先には赤石岳や荒川岳への縦走路があります。赤石・荒川方面は距離があるので、相当な山好きか変態かしか行かないルートかと。
標高2600m付近から、紅葉が見られます。2017年度の初めての紅葉登山です。
森林限界を越えて、ハイ松帯になりました。
9月下旬ですが、日差しの強さを感じます。気温が夏とは違いヒンヤリしているので適度でした。
振り返ると三伏峠小屋が見えます。
三伏山着(10:36)
標高2615mの三伏山に到着しました。
将棋の駒のような厳格のある標識を久しぶりに見たような気がします。
正面にはターゲットである塩見岳がそびえています。
「今までの道のりは何だった」と思う程に完全に別の山。塩見岳の登山をまだしていなかったということに面を喰らう距離感です。
「仲のいい同級生の友人が、実は地域では有名な名家の子孫で、自分とは生まれも育ちも異なり、別の世界の人間だった」と、気づいてしまった感覚でしょうか。違うか。
ともあれ、本谷山を一度登り返し、そこから塩見小屋を目指していきます。塩見小屋までは、3時間の道のりです。
現実から目を逸らし、駒ヶ岳SAで買った「駒ヶ岳あんぱん」を中央アルプスの方角に向かって食べます。
食事をして少し体力が回復したので先を目指します。
塩見岳への標高差は400mしかありませんが、時計回りに迂回しないといけません。塩見岳に複数回登ろうという人がいない最大の理由は、この間延びしたコースだと思います。
三伏山発(11:06)
三伏山の前後は森林限界で、西側は中央アルプスや北アルプスの展望があります。雲に隠れてしまっていますが。
本谷山から塩見岳はアップダウンの無慈悲な樹林帯
展望のある稜線歩き、しゅーりょー!!
僅か10分ほどの区間でしょうか…。ここから塩見小屋まで森林限界はありません。
日当たりが悪いので、前日に降ったであろう雨のせいで、地面がぐちゃぐちゃになっていました。
三伏山と本谷山の区間は、眠気もあって、あまり記憶がありません。しかし、一度下って、登るので、体力を削ってきます。
鞍部から少し登った場所に展望できるスペースがありましたが、ガスが登ってきてしまいました。
塩見岳本体に到達する頃には雲が届いてしまうのだろうか….。
それほど急ではありませんでしたが、登り続けていると山頂が見えてきました。
本谷山(11:53)
標高2658mの本谷山に到着です。
三伏山より43m高いですが、山頂は樹林に囲まれ、あまり展望はありません。
ここでくまちゃんが力尽きてしまい。睡眠モードへ。
自分もやることがなかったので、横になっているといつの間にか20分程の時間が経っていました。空木岳縦走時の越百山全滅事件の二の舞になるところでした。
気を取り直して、本谷山から塩見小屋を目指します。
山頂はまだまだ遠い、この山を日帰りとか無理ですね。体力に自信のあるハイカーにお任せします。
本谷山からはまた少し下ります。立ち枯れの木が密集しています。
既に2回も下っているので、帰りに登りが2回も待っていることを考えると憂鬱です。
「動くで気をつけるんだに!」
根っこが動くと教えてくれる丁寧な看板が設置されていました。語尾の「だに」が燃えポイントですね。
本谷山からくだり終えると道は、ほぼほぼ平坦になります。塩見岳までの絶望的な距離を埋めてくれるゾーンです。
肝心の塩見岳は残念ながら雲にのまれてしまった模様です。
純白ながら不吉な予感を醸し出している立ち枯れの木。この現象の原因はいまだ解明されていないそうですが、酸性雨などの人的な要因が絡んでいる確率が高いとか。
塩見岳の裾野に入ると植生が変わります。密生したシラビソと地面を覆う苔は、北八ヶ岳と雰囲気が似通っています。
展望は遮られますが、しばらくは平坦な道が続きます。
9月になるとキノコが地面から頭を出しています。
斜度が出てくると塩見岳の本体への取り付きです。眠さに加えて、荷物がちょっと重かったので、思った以上にヘロヘロでした。
今日、最後の踏ん張りどころです。
塩見新道との分岐に差し掛かりました。
塩見岳へは最短ルートのようですが、駐車場までの林道が閉鎖され、20キロ以上もの林道歩きがあるため、使われていないようです。
分岐を過ぎると再び森林限界です。
振り返ると今まで歩いてきた稜線が見えました。とても、樹林帯です。雲が出てきて、青空の面積が少なくなってしまいました。
紅葉する山の位置づけはありませんが、一部はしっかりと黄色に紅葉していました。
「塩見小屋あと少し」
この看板が見えてきたら、文字通りにあと少しです。
テント泊装備でもないのですが、水を多めに持ってきた都合で、肩が悲鳴を上げています。それも、後少しの辛抱です。
塩見岳を遂に間近に捉えました。
先程まで雲に山体を覆われていたので、てっきり見えないものかと思っていたのでビックリです。
塩見小屋(13:59)
今回の宿泊場所である塩見小屋に到着しました。三伏峠から3時間56分かかりました。休憩を一時間くらい挟んでいますが、長かった…。
塩見小屋は2016年にリニューアルオープンしたので新築です。
新築具合が伺えるピカピカな内装です。
運悪く割り当てが2段目になってしまいました。
塩見小屋は管理人がいる営業小屋ですが、寝具類はマットと寝袋です。枕もあります。
塩見小屋のトイレは携帯トイレを使う仕組みになっています。左にあるボックスで回収しています。携帯トイレは購入可能なので、お腹緩い系ハイカーも安心。
臭いもあまりないし、山のトイレの仕組みはこちらのほうが良いかも?まあ、登山者が一定数じゃないと厳しいと思いますが。
男性用の小便器が離れにあります。
夜中に行くのは、難儀するかもしれない。
ハンガーとクロックスが自由に使えるのは嬉しい。
塩見小屋では日の入りは見えますが、日の出は山頂に出ないと見えません。
朝食・夕食のスケジュールを確認しておきましょう。
登山バッチは塩見岳と蝙蝠岳のものが売っていました。気に入ったデザインの方は蝙蝠岳が合併していたので、三伏峠小屋で購入することにしました。
小屋はオーナー一人とお手伝い二人の計三人で運営していました。
- 塩見小屋情報
- 管理人在住の営業小屋
- 予約必須
- 寝具は寝袋とマット
- 携帯トイレを使用(男性のみ小用有)
- DoCoMoの電波あり
- 建設の際に揉めた裁判等の大人の事情はおくびにも出さない
小屋に到着して、正直なところ疲れていましたが、今日中に登ってしまえば、明日の行程は降りるだけになり楽です。
ここは体に鞭を打ち、山頂を目指します。
カンパーイ!!!
!?
5分後に山頂がみるみるうちにガスに覆われ、男らしく諦め、撤退を華麗に決めてやりました。
おつまみにポップコーンを持ってきました。
周囲の人に「なんだなんだ」と思われる香ばしい匂いとコーンの弾ける音を提供しますが、ビールのおつまみにピッタリです。
小屋の横で宴会していると山頂から20人以上の団体が降りてきました…。そのせいもあって、翌日が平日と言うのに山荘がほぼ満員です。
お、おのれ…。
夕食の時間になりました。
メニューは野菜と鶏の唐揚げがのったカレー(おかわり自由)、味噌汁、ポテトサラダです。
しかし、夕飯を食べる気満々で食堂に行ったのですが、カレーを見た瞬間に吐き気を催し、あまり食べれませんでした。高山病なのか…。
くまちゃんと初めて出会った三つ峠では山頂でゲボっているし、食事を戻させる組み合わせなんだろうか。
塩見小屋から見る夕陽
気持ち悪い状態のまましばらく横になっていると何とか回復。日の入りの瞬間に立ち会うことができました。
塩見小屋は西側に位置しているので、小屋からすぐの場所で夕日を見ることができます。
床に臥せている間、雲は何処に行った?
山で夕陽を見るのが凄い久しぶりです。
時間帯の天候と宿泊地がどこにあるかで、夕日が見れる条件は日の出より難しいと思います。
仙丈ヶ岳や北岳がある北側も雲に若干覆われていますが、全体的に下がってきています。翌日の天気は何とかなりそうな予感がします。
夕日を浴びる塩見岳。
頭に手ぬぐいを巻き、ガムテ修繕されたダウンパンツ(甲武信岳で溶かした)で、小屋の管理人風ファッションをキメて黄昏るくまちゃん。
日の入り(17:23)
山脈のない平野部へと太陽が落ちて行きました。塩見岳のプランをこの塩見小屋泊にして良かったと思います。
明日登るので待っていて下さい。
夕日を見たらやることはありません。就寝です。
ほぼ満員だったのでギッチリでしたが、寝不足もあり、すぐに眠りにつくことができました。
塩見岳登山(2日目)
星空の夜から、キレッキレの岩登りが待つ森林限界へ
夜中にこっそり起きて、星空を見に行きました。
塩見岳の奥の街明かりは甲府のものかな?
長野県の伊那地方の夜景を見ることができ、南アルプスの奥地とは言え、市街地からそれほど離れていないことがわかります。
星空撮影を頑張っても良かったのですが、シャッター開放中の待ち時間がかったるいので、早々に切り上げて、再び眠りにつきました。
朝食の時間です。
朝食という感じの朝食で、ご飯が進む系の味が揃っています。夕食の時とは違って、ご飯をお替りさせていただきました。
朝食を食べたら出発です。
外に出るとヘッドライトが必要がないくらいに明るくなっていました。
アタックザックだけで出発します。稜線に出ると中央アルプスが綺麗に見えていました。どうやら快晴のようです。
気温は低いですが、風は微風。コンディションは最良です。
塩見小屋から山頂までコースタイムは1時間20分なので、そこそこの距離があります。
山頂で日の出を見るために早出しようと思いましたが、朝食時間の都合上、それは叶わず。予約時にお弁当にしてもらえば良かった…。
中央アルプスをバックに傾斜のきつい坂を登っていきます。
近くに見えて、なかなか進んで行きません。急峻な岩場が続きます。
山頂が近づくにつれて、浮石が増え、道幅が狭くなってきます。日の出を見るために、闇夜に登るのは無理だったなと言う事実。
3000mという空気の薄さによって息切れしやすいですが、昨日感じた高山病の症状は回復していました。
影塩見岳が雲海に映っていました。
中央と南アルプスに囲まれ、雲海が発生しやすいのか、中央アルプスの木曽駒ヶ岳や空木岳に登った時も伊那地方は雲海になっていました。
一つ登り終えると、もう一つグイッと登らせてきます。足場が狭いので、慎重に進みます。
最後は登りが少しまろやかになってきました。
標高3000mの塩見岳山頂、50m稜線スカイライン
塩見岳山頂着(6:14)
2日をかけてようやく山頂に立つことができました。2017年における唯一の3000m峰だったりします。
塩見小屋から56分掛かりました。
山頂はモヒカンの上に立っているんじゃないかと思うような両サイドが絶壁です。
富士山が正面に鎮座。
道中の一部の場所で富士山が見えるようですが、昨日は雲が多く、この旅はじめての富士山でした。
塩見岳は双耳峰です。
西峰の片割れ、5m程高い東峰へと足を伸ばします。
西峰から東峰に至る僅か50m区間に、塩見岳の魅力が集約されているといって良いでしょう。
3052mの東峰に到着しました。
それでは塩見岳から見える展望を見て行きます。
西側に雲海に浮かぶ富士山。小さく富士外輪の山々も見えます。
北側には塩見岳から農鳥岳へと続く稜線が見えます。農鳥岳へは7時間強の道のりだとか。人生の路頭に迷って、山に生きようと人生の方向転換をはかったのであれば、この道を歩こうと思います。
北岳、間ノ岳、甲斐駒ヶ岳、仙丈ヶ岳が見え、更に奥に八ヶ岳の蓼科山が見えていました。
東側は先程までいた東峰。
中央アルプス、御嶽山、乗鞍岳、北アルプスの山々が見渡せます。
南側はいわゆる南ア南部の赤石岳と荒川岳。
自分にとっては未知の領域で、毎年のように日程が確保できずに行けていないエリアです。山頂付近まで緑になっているのを見ると「楽しい樹林帯歩きが待ってるよ!!!」と歓迎されています(溜息)
塩見岳の山頂で記念撮影。
人生最高の山かはさておき、苦労の甲斐があった展望です。小屋は団体含めて宿泊客がたくさんいましたが、みんな下山してしまったので、山頂に来たのは自分達含めて7~8人くらいでした。
塩見岳のために持ってきたポテトチップのうすしお味です。塩レモン、塩キャラメルなど塩○○が世間では浸透していますが、昔からある、ポテトチップスの代表作を持ってきました。標高3000mなので復路がパンパンです。
塩見岳で食べるうすしお味は、達成感というスパイスが加わって濃厚です(矛盾)
ベーシックなうすしお、のりしお、コンソメだったら当然うすしお味が好きです。友だちがのりしおとコンソメ食べた指で、ゲームコントローラーを触ったら、セーブデータ全消しですよ。
塩見岳の先には蝙蝠岳という山があります。
より近くに富士山が見えそうで魅力的ですが、地図上だとバリエーションルートなので大変そうです…。
東峰は岩がゴロゴロして狭いので、西峰に戻ります。
南アルプスの3000m級の山から見る富士山は、今の位置より不思議と下にあるように感じました。
塩見岳の三角点をしっかり踏んでおきます。
塩見岳は長野県と静岡県の県境ですが、静岡県民の何%がこの山の存在を知っているんでしょうか…。
結局、1時間もグダグダと山頂に居座ってしまいました。山頂で過ごす時間って、本を読んだり、映画を見ている時間より、あっという間に過ぎる気がする。
最後にぐるりと動画を撮って下山します。
下山は2回の登り返しが憂鬱
塩見岳山頂発(7:17)
登りと全て同じ道を辿って帰ります。縦走でない限り、同じ道を引き返す運命。
下山途中に気づいたのですが、東側の斜面が緑から黄色に紅葉していました。
塩見小屋(7:48)
下山は登りの半分でした。小屋の中に置いてあった荷物を回収しました。
塩見小屋から下山を開始します。
このまま、すんなりと降りれればいいのですが、本谷山と三伏山、2回の登りが待っていると思うと憂鬱です。
塩見小屋から本谷山は樹林帯歩き。
昨日は見えませんでしたが、塩見岳の右に小さく富士山が隠れていました。
紅葉がところどころしていて、目を楽しませてくれます。
本谷山(9:20)
登りと比べるとだいぶ早いペースで降りてこれましたが、やはり下山時の登りはキツイです。
本谷山から三伏山へ。
あんなに登り返すの…と少し絶望感がある。
徐々に日差しも強くなってきて、最後の登りは応えました。
夏場はより暑いことを考えるとゾッとします。塩見岳は夏のピークを外した方がいいんじゃないでしょうか。水の確保も大変ですし。
三伏山(10:05)
本谷山から45分掛かりました。ここまで来るともう登り返しはありません。
山頂から3時間以内なので、やはり下山は早いです。塩見岳の本体からだいぶ離れたことを実感します。
中央アルプス方面もばっちり見え、全山域で秋晴れの登山日和。
平日なわけですけど。
三伏峠(10:17)
三伏峠まで戻ってきました。
小屋まで緩い登りがあり、ちょっと辛かったのは内緒です。
小屋で登山バッチを購入し、小屋スタンプもちゃっかりゲットです。
小屋でコーラを買って一気に飲み干し、登山口を目指し、下山を開始します。
途中の「ほとけの水」は前日より出が細かったです。汲み切るのに相当時間が掛かりそう。
三伏峠からは傾斜が緩やかでサクサク足が進みます。
登山時は光が射していませんでしたが、今日は緑がまぶしくなっており陰鬱とした雰囲気は皆無。こういう樹林帯は好きです。
登り返しがなければこっちのもの。ガンガン下っていき、樹林の奥に林道が見えてきました。
鳥倉登山口(12:03)
三伏峠から2時間以内に下山しました。山頂から5時間を要しました。
と、終わったわけではなく、林道歩きが待っています。
標高1000m以上ある場所ですが、ここまで降りてくると夏の暑さです。アスファルトの照り返しを浴び、汗をかきながら駐車場を目指します。
駐車場(12:36)
林道を30分弱の時間で歩き、駐車場に戻ってきました。
昨日は50台のキャパを持つ駐車場が満車でしたが、10数台を残すのみでした。
大鹿村の鹿の焼肉定食と塩湯荘の温泉に入って東京へ
塩見岳の麓にある大鹿村へと降りてきました。
10年後の2027年に開業予定の東京大阪を結ぶリニアは、大鹿村を通るらしいです。塩見岳の真下あたりをぶち抜くため、リニア反対の看板が目立ってました。三伏峠小屋にもポスターがありました。
大鹿村は「日本で最も美しい村」としてPRしているようですが、開発マネーも重要なのか、工事車両をたくさん見た…。
色々問題がありそうなリニアと自然環境問題はさて置き、お昼を食べてないので、温泉の前に食事をとることにしました。
やってきたのは大鹿村が運営する道の駅「塩の里」です。食堂が併設しています。
定番の定食類が並びますが、大鹿村ということでやはり選択は鹿肉でしょう。
店内に見覚えがあるなと思いました。
店員のおばちゃんに聞いてみたところ、「タモリ俱楽部」のロケがあったことを聞き、思い出しました。
中央構造線博物館というマニアックな場所を特集していました。ちなみにビックリするくらい旧時代のホームページです。
LINK http://www.osk.janis.or.jp/~mtl-muse/
注文した「鹿肉の焼き肉定食」(950円)です。
豆腐はこの村の手作りです。味噌が赤みそなのが中部圏っぽい。くまちゃんは鹿肉ハンバーグを注文していました。
鹿肉は牛の赤身っぽいのですが、味わいが濃厚で、味付けも濃くされて、ご飯と共に登山後の空腹を満たしてくれました。
食事を終えた後は温泉へ。
本来行きたかった鹿塩温泉は営業時間外だったので、塩湯荘という宿にやって来ました。
LINK 塩湯荘
宿の正面に清流があり、木造でとても風情を感じる宿です。
しかしながら、日帰りできる温泉は4人入ったら一杯、少し大きいバスタブと言った感じです。内湯だけで外湯なし。
宿の外見倒し感がありましたがサッパリさせて貰いました。
平日なのでETC割りがなく、少しケチるため国道152号で山梨の茅野まで向かいます。
大鹿村から南アルプス北部の登山拠点がある仙流荘までは山道なので正直お勧めしない…。疲れてしまったので、道の駅「南アルプス村」に立ち寄りました。ここで個人的に持っていなかった仙丈ヶ岳と甲斐駒ヶ岳の登山バッチをゲット。
ちなみにこの道の駅はパン屋が入っていて、試食にクロワッサン丸々1個貰えます。太っ腹。
茅野出たら中央道に乗り、東京へと帰りました。平日ということもあり、週末のような渋滞がなく、ストレスフリーで呆気なく帰ることができました。月曜日に休みをとって行くのが良いですね…。
塩見岳の登山を終えて
昔の映画を見るのって少し躊躇います。
モノクロだったり、俳優がわからないというのもありますが、上映時間の長さが一つの要因になっていると思います。例えば77年に大ヒットした「八甲田山」は上映時間が169分もあります。映画館の枠に自由があったため、全体的に上映時間が長かった。今は90分から120分が普通です。そのため、今現代の感覚では削られるだろう余分とも呼べるシーンが長いのです。
塩見岳はその間隔に当てはまる山と言う感想です。
三伏山から本谷山の区間はアップダウンがあり樹林帯で間延びします。塩見岳が北岳や仙丈ヶ岳、甲斐駒ヶ岳など他の南アルプス山と比較して、リピートする登山者が極端に少ない原因はそこにあると思います。
また、ルート全体で見ると水場に難があり、気温の上がる夏場はかなり苦戦すると思います。
マイナス面こそあるものの、南アルプスの中央部に位置する塩見岳の山頂から見える景色は新鮮でした。塩見小屋に1泊することにより見れた夕日、早朝の静かな山頂から見える大展望は思い出に強く刻まれる旅でした。
塩見岳は体力に任せて日帰り可能ですが、是非とも一泊して登ってみて下さい。
コメント
えっ!カレーですか?
すみません
久しぶりなのに、いきなり食べ物に食いついてしまって。
私も今年の夏に塩見岳へ登りました。
小屋の晩御飯はハンバーグ(たぶんレトルト)だったので
カレーが食べたかったなと思いまして……
「塩見岳から眺める富士山が一番」と、深田久弥氏も絶賛されているのに
……… 見えなかった(泣)
鳥倉登山口から三伏峠までは鼻歌だったんですが、そこからの登り下りは
ボッチなので泣きそうでした。ちょっと辛かった。
Veryblueさんのガツガツ日帰り登山が好きです。
また楽しみにしています。
私は、塩見岳から農鳥岳、間の岳、北岳と縦走したんですが、
一度も富士山は見えませんでした。
>やま子さん
えっ?ハンバーグですか?
すいません
ハンバーグも好物なもので。
今年、塩見岳に登られたのですね~。天気に恵まれなかったのですか…残念です。
それにしても、北岳まで縦走するとは凄いですね。自分には考え付いてもやろうと思わないルートです。
地図を再び見たら、3泊くらいかければ行けるんですかね~?
最近は時間にゆとりをもって、日帰りで満足している人より満足してやろうという思いが強いです。
一座一座丁寧に登っていく所存です。
またのコメントお待ちしております!!!
塩見岳、楽しかったですね。
カレーを食べるとゲボる体質なのか、僕と登るとゲボるのか。
また一緒に登って検証したいと思います。
>くまさん
AND条件なのかOR条件なのか…
空木岳やトムラウシ山でもカレー食べたけど、ゲボらなかったけどねえ。
ただ、調子は悪かったけど。