2015年7月25日-26日
北アルプスの白馬岳に行ってきました。標高は2932mです。
北アルプスでもより日本海側に位置し、冬は豪雪、夏は水量が豊富な白馬岳は、高山植物の宝庫になっています。白馬連山高山植物帯として、特別天然記念物に指定されています。
白馬岳の人気縦走ルート、大雪渓から白馬大池をテント泊で縦走しました。
白馬岳に来るのは2年ぶり、前回は日帰りで悪天候の白馬三山を周回する無謀で、ローストされた豆をさらに焦がして抽出したコーヒーのようにブラックな旅でした。
白馬岳は時間をかけて優雅に登るという教訓を得て、たまたま登山の前日に誘いを受け、旅立ってきました。
白馬岳について
地図
大雪渓~白馬岳~栂池の縦走コースです。ロープウェイの下山後は、タクシーで猿倉登山口の駐車場に戻っています。
コースタイム
- 5:08猿倉登山口
- 6:04白馬尻小屋~大雪渓
- 8:30岩室跡~小雪渓~高山植物帯
- 10:40白馬岳頂上宿舎(テント場)
- 6:52白馬岳頂上宿舎(テント場)
- 7:28白馬岳
- 8:19三国境
- 9:21小蓮華岳
- 10:40白馬大池
- 13:38栂池平
白馬岳テント泊(1日目)
夜通しの移動、猿倉登山口から縦走開始
関越自動車道~上信越自動車道を走り、長野ICを降りて、国道404号線で長野県の白馬村に入りました。
白馬大雪渓のある登山口「猿倉登山口」の駐車場に到着したのは4時ちょっと過ぎでした。
夏の癖に寒いし、眠いし、登山装備は重いしで、朝の気怠い雰囲気を奮い立たせ出発の準備を開始。
朝の猿倉荘は出発準備をする登山者で賑わっています。小屋の中ではこれから給仕する山荘の人があわただしく動いていました。
猿倉想の正面には、登山者用のトイレが設置されています。
これから待ち受ける大雪渓のため、軽アイゼンが売っています。
5時16分 登山開始
白馬岳1泊2日の縦走のはじまりはじまりです。
白馬岳を前回歩いた時は、「テント泊装備なんかで来たくねえ」とぼやいていた気がしますが、果たして無事に白馬大池まで歩ききることができるのでしょうか。
今回初登場となるSTRONGさんは、テント泊が初めてと言うことらしいです。
しかし、日本全国各地の山を踏み潰しており、キャリアは今回のメンバではぴか一。立ち姿にさえ、プロフェッショナルの風格を感じさせます。
妙に背が高く、無駄なものが詰まっているザックを背負う私。
1泊2日なのに3日分くらいの食料を持ってきてしまい、家に帰って捨てる羽目になるっていうのは、また後の話。
登山口から大雪渓までは1時間の道のりです。
白馬岳から流れ出す川の音が轟き、少し騒々しい道です。山頂方面の天気、曇っていますね…。
北アルプスでもトップクラスの積雪量がある白馬岳の麓は、水量は豊富です。登山道をぶった切るように容赦なく沢水が流れ込んでいます。
高山植物の山である白馬岳の最初の花はキヌガサソウです。見切れていますが、サンカヨウも咲いていました。
6時4分 白馬尻小屋
「おつかれさん!ようこそ大雪渓へ」
岩に書かれたメッセージが見えてきたら、大雪渓のスタート地点にある白馬尻小屋に到着です。登山口から1時間も掛からないところにある小屋は、どいういう目的で利用するのか未だに理解できません。
土用の丑の日を記念して、大雪渓の前でお祝いです。
前日の2015年7月24日が土用の丑の日だったので、全く関係のない1日でしたけど。
土用の丑の日団扇を持ってきたゆうちゃんは、大して意味もなく持ってきたに違いない。
いよいよ、大雪渓に取り掛かります。
といっても2回目なので、「わー8月になろうとしているのにこんなに雪があるー」みたいな新鮮さはない模様。
雪渓直前のスペースで、アイゼンを装着します。
軽アイゼンもしくはチェーンスパイクで十分です。装備に慎重にする人は12本爪アイゼンとピッケルを持っている人がいました。
どこまでも続く雪の廊下、白馬大雪渓
白馬大雪渓スタート
死体が引きずられた様な赤いペンキの後を辿り、頂上を目指すことになります。
幅50m以上はありそうな大雪渓は足を踏み入れると雪から放たれる冷気を感じます。頂上付近には雲がかかっていて、何とも思わしくない天候でのスタートとなりました。
真夏に雪の上を歩けるなんて登山者だけに許された特権です。
とはいうものの、2時間半のコースをずっと登っているわけで、どうにもこうにも飽きが来ます。歩いている間に数回、落石が転がっていくのを見ました。大雪渓での音楽を聴きながらの登山は止めましょう。
頂上には以前として雲が掛かっていますが、後ろの頚城山塊は晴れているというパターン。これは2年前の再来ではないか…。
雲は稜線の向こう側(立山連峰側)から絶え間なく、生産され続けているようです。
初テント泊装備で大雪渓を登るSTRONGさんの雄姿をご覧ください。全然、きつそうな素振りを見せず、余裕しゃくしゃくのようでした。
ご覧のように雪渓にたくさんの落石が転がっています。
両サイドの崖から「ガランガラン」と音を立て、それが雪渓を転がります。雪渓を転がっている間は、雪がクッションになり、音がしないので目と耳を常に集中している必要があります。
8時30分 岩室跡
途方にも感じる長く白い一本道の大雪渓を90分かけて登り終えました。何度歩いても楽しめる人はいるとは思いますが、私は一度歩けばいいですよ派です。
雲で太陽が遮られていましたが、そうでないと照り付けるギラギラな夏の日差し+雪渓の照り返しで、気分は焼き餃子でしょう。
大雪渓を登る登山者の列は、路上に落ちたバニラアイスに群がる蟻のようでした。
登山者としての主を誇示するSTRONGさん。
ピラミッド建設に従事する奴隷達を高台から見下ろす、古代の王と重なって見えたのは自分だけだろうか。
数多くの高山植物が咲く、華々しい登山道
大雪渓の終点でアイゼンを外し、緑の濃い急斜面を登ることになります。このへんが初日の一番キツイ登りと言っても良いでしょう。
テント泊装備だと足を上げるのがとても大変です。
大雪渓から上部は高山植物の群生地が登場します。
こちらの黄色い花はシナノキンバイです。雪渓が解けた湿り気のある草原に咲きます。
オタカラコウは1mほどの茎の長さと派手に咲き開く黄色い花が、様々な花が咲く中で目立ちます。
ハクサンシャジンは個人的に好きな花で、至る所に咲いていました。
クルマユリの陽気なビタミンカラーオレンジは、山にありながら常夏の南国ムードを放っています。
ハクサンフウロは群生するような花ではありませんが、薄い紫色の落ち着いた色合いが純和風の雰囲気を纏っています。
ゆっくり時間をかけて登りたいところですが、テント場の取り合いが怖く、悠長に時間をかけている暇がないため、先へ先へと進みます。
徐々に晴れ間も出てきました。
可憐な高山植物が彩る美しい風景が続きますが、登山者に対して優しさがありません。地図を見ると岩室跡からは等高線の間隔がギュッと詰まっています。
登山道より左方に鋭い岩峰が見えてきました。天狗菱です。角度にして60度くらいありそうな鋭角な姿は、お花畑エリアのシンボル的な景観です。
お花畑が広がる一方で、登山者はガレた道を歩かされます。
2度目の雪渓が現れました。
小雪渓を横断します。道幅は1mほどあるので、安心ですが、滑り落ちたらとても危険です。
晴れ間が出て眩しいのでサングラスを装着します。
漢を見せるSTRONGさんは生粋の江戸っ子なので、一度装着したアイゼンはしゃらくせえという感じにノーアイゼンで登ります。
ここでもう一度装着する人は半分くらいだった印象。
中間地点にすれ違いポイントの窪みが設計されていました。雪渓だけにね。
横断した先に道すがらの登山者に「アイゼンつけて登んないとだめだよ!!」と怒鳴っているおじさんがいました。登山道を整備している風な感じでしたが、怒鳴られてごめんなさいを言う道理もないので、都会的な対応として聞き流しました。
小雪渓を横切ると避難小屋があります。
小雪渓から見る白馬三山の一角である杓子岳は、木曽駒ヶ岳にあるカールのような地形をしていました。
天狗菱は北アルプスの象徴である槍ヶ岳のような存在感がありながら、表立って白馬岳のシンボルとは紹介されませんね。
ここまで来ると白馬岳頂上宿舎が見えてきました。
白馬岳は一つの花が群生しているわけではなく、たくさんの花が共存しながら咲いています。どの花もナンバーワンじゃなく、もっともっと特別なオンリーワンです。
過酷な環境に咲く花は生命力が強く、他の種を食いつぶすこともあると言いますが、白馬岳では植物同士の平和的な環境を見ることができます。
稜線に近づいても、尚枯れることのない水量は白馬岳が豊富に水資源を保存しているからことだと思います。
途切れることのない登山者の列は、いかに白馬岳が人気なのかを伺えます。
STRONGさんは初めてのテント泊をものともせずぐいぐい登っています。自分は雲取山でテント泊をデビューしましたが、開始1時間でへばっていたんですけど。
標高2533m地点にやって来ました。
ここの植物群落は特別天然記念物に指定されています(威圧)
久々のテント泊装備が足に来て、ペースががた落ちで、若い連中にテント場を頼むと先に行かせ、植物を撮ってるからという言い訳をしながらゆっくり歩いていました。
共存していると言いましたが、こちらはシナノキンバイの群生エリアで、ひまわり畑のように黄色一色に染めていました。
緑の斜面に雪渓の白のコントラストがとても良いです。
青空に咲き乱れる花に元気をもらいながら歩き続けます。あれやこれや余計なものを持ってくるもんじゃないです…。
暴風吹き荒れる、白馬岳頂上キャンプ場
10時39分 村営白馬岳頂上宿舎
登山口を出発して5時間20分掛かりました。今日はこれ以上テント泊装備でいなくていいという開放感が堪らない。
この宿舎より白馬山荘の方がより頂上に近いという事実は気にしないってこと。
宿舎の裏手にテント場はあります。
テント場の混雑を懸念していた割に全然スペースがありました。隣同士4つテントが張れました。人気のテント場の混雑緩和を避けるため、テントに複数人寝ると言う風潮はなんのその。
登山中に結構テント泊の重装備の人たちに抜かされましたが、その人たちは天狗山荘や白馬大池に今日中に目指すのでしょうか…。
白馬岳の花として有名なウルップソウが咲いていました。7月上旬が適齢期であるため、ほとんどは枯れて、半分ほど枯れていない花がありました。下から枯れてくってのが面白い。
日本国内では北海道の礼文島と八ヶ岳と白馬岳でしか見ることができない貴重な花です。
テント設営を終えた後は宿舎の喫茶スペースに移動して昼食にしました。豊富なメニューの数々は標高2500mを越えた世界とは思えません。
カレーのメニューが豊富。
本日のカレーを注文。
ネタ的には白馬三山カレーを食べて、その量に圧倒されて散々というのをやっとおけばと後悔。山で食す、提供されるカレーは美味しい。
おぼっちゃま君の頭みたいな形をしたランプが欲しくなった。
山に自販機があることに興味深そうに様子を眺めるSTRONGさん。
昼食を終えてテントの受付を済ませました。
徐々に稜線の風が強くなり、風速17~20mはあったろうと思える強風が吹き荒れ、テントはバッサバッサと音を立てていました。
1時間後に杓子岳くらい登りに行こうとなり、テントで荷物を整理していたら、いつの間にやら眠りについていました。
14時に散歩を開始し、杓子岳を目指します。
ダウンを着ているように、7月とは思えないくらいに寒かったです。
稜線の斜面はお花畑になっており見事。
テント場も徐々に数を増やしていましたが、まだまだ余裕のスペースがありました。
晴れているようにも見えますが、山頂にだけ雲が掛かるといった状況です。立山連峰方面からの風が厳しく吹き付けます。
自分と後立山連峰との相性は悪く、ことごとく立山連峰から吹きつけられる風に悩まされています。
晴れるんじゃないのかなという期待を込めて歩き続けますが、一向に晴れません。
晴れそうで晴れない。
一瞬だけ晴れて杓子岳の全貌が見えました。白い岩肌が露出した箇所が多いのは、北アルプスの北部にあり、森林限界が低い白馬岳ならではです。
杓子岳に登ろうと一度下って、鞍部まで差し掛かる頃はまだ晴れていましたが。
完全にガスまみれになってしまい、この状態で行ってもしょうがないということで杓子岳の登山は無事敗退です。
小雨も舞うようになったので散歩は終了です。
テントに戻ってきて、また一睡した後に夕食。
強風吹き荒れるテントの中で、20時ごろに眠りにつきました。
白馬岳の縦走一日目は、大雪渓を登っただけで終了です。
早朝から登れば、昼過ぎには行動終了するので、適度に体を休めることができました。夕陽を眺めたかったのですが、それは叶わずでした。
白馬岳縦走1日目は無事終了です。
白馬岳テント泊(2日目)
白馬岳の御来光、日本海から富士山までの大展望
白馬岳縦走2日目がスタートです。
真夜中には山頂の雲が全部飛ばされ、綺麗に晴れ渡った星空が広がっていました。
2日目は白馬岳の山頂を登り、下山しながら白馬大池への稜線を下ります。
早朝4時に目を覚まし、テントを撤収しない状態で、御来光を眺めに行きます。
白馬岳頂上宿舎よりもさらに上にある白馬山荘の少し上部のポイントで日の出を見ます。
昨日から引き続きの強風と早朝の極寒の中、多くの登山客が日の出が見えるポイントで待機していました。100人以上はいたと思います。
東の空の地平線が徐々に明るみはじめました。
太陽のオレンジが弱い開け始めのブルーアワーを好きな人がいますが、自分はそんな朝から根性出して待っていたくないので、日の出15分前くらいにしか待てない短気。
4時35分。
太陽の光を受け、ブラッドオレンジのような色合いになる雲が美しかった。山のラッセン画のようです。上京したての頃に秋葉原の画商(通称:エウリアン)で、買わされそうになったことがあったな。
エウリアンとは綺麗な絵のポストカードを配り、手に取った人を「画を見て行きませんか?」と画廊に引き込む手口の売り子女性のこと。
4時37分。
遠くの雲の境界線にオレンジのラインが発生し始めました。日の出はもうすぐです。風がものすごいので、早く出てほしい。
4時44分。
太陽の上辺が出現しました。ここからは目まぐるしく、太陽の動きと風景が変わっていく時間帯です。
4時50分。
太陽の全てが、この1日に姿を現しました。
白馬岳に住む花も一斉に太陽を浴び、光合成を開始します。
高山と言う過酷な環境にあるため、栄養素を過不足なく取れる様な構造をしているなと高山植物を眺めると思います。
あったけぇ。
ウルトラ最高の朝日ですね。
東側の崖下に渦を巻くように雲が滞留していました。
杓子岳と鑓ヶ岳は暴風の無いこんな快晴の日に歩いてみたいです。右奥には立山連峰がそびえ、剱岳(つるぎだけ)が威風堂々と鎮座しています。
鑓ヶ岳の斜面の奥には、北アルプスのシンボルである槍ヶ岳が見えました。ややこしいな。
白馬岳の山頂を手前から眺めると市街地方面に切り立っています。
む?
よく見るシルエットが。
八ヶ岳連峰の右端にこっそりと富士山が見えていました。直線距離にして300キロはあると思いますが、空気が澄んでいたから見えたのかなと。
後立山連峰に遮られ、立山連峰は日の出が少し遅いようです。立山三山はどれがどれだか把握できませんが、剱岳はしっかりと形が分かります。
西の奥に北陸の名峰である白山連峰が見えました。孤高に浮かぶ白山連峰は見るたびに再度訪れたくなる山です。
クリアな朝の展望でしたが、強風によるものなので、非常に寒く張り放しのテントに撤収です。朝食は各自簡単なもので済ませました。
北アルプス北端、白馬岳の山頂
テントを撤収し、白馬大池に向けて出発します。
風の強さでとても一人ではテントの撤収が困難だったので、4人で1張ずつ片づけるというチームプレイで凌ぎました。
太陽も昇り、青と白と緑の世界になりました。
以前として西風が強く、空気抵抗面積が広がったテント泊装備を煽り、足がよろけそうになります。
北アルプスの稜線は決まって岩砂利の道なので、足が取られます。しかし、STRONGさんはそんな道をストック未使用でぐいぐいと登っていきます。
ウサギギクとミヤマシオガマ。
白馬山荘のレストラン。
前回は山頂がガスガスだったので、山頂が晴れるまでケーキとコーヒーを頼みながら待ちました。結局、晴れることはなかったのですが。
ウェイターがいて、水を注いでくれるのにはビックリした。
ゆうちゃんは体調が悪く熱があり、この絶景と好天に対して、テンションがいつもより低めでした。
九十九折りの斜面を登り続けます。
7:15 白馬岳山頂
白馬岳の山頂に到着です。山頂碑の周辺はひっきりなしに登山客で溢れていました。強風吹き荒れているため、ほとんどの人が防風アウターを着用。
この黄色い看板が後立山連峰って感じです。
2年越しに晴れたという喜びを体現。
基本的に山頂で晴れなかった山に関しては登り直す方針です。同じ後立山連峰に属する鹿島槍ヶ岳と五竜岳もいつか…。
方位版に記載されている山が見える。
何でもないようなことが幸せだったと思う。
山頂は広く見えますが、ハイシーズン中の登山客が、腰を据えて休憩するには面積的に狭く感じます。
白馬岳山頂の市街地方面は断崖絶壁になっています。谷川岳のように氷河によって削られて出来た山頂なのでしょう。
山頂より北側には日本海が見えました。
海を眺めることができる山はやはり爽快です。海を見ると高揚するのは、生物の起源である「母なる海」が、DNAに刻まれているのでしょうか。
山頂からは周囲の山々が一望です。
白馬岳は北アルプスに属していますが、北端に飛び出ているので、身近に感じるのは立山連峰くらいだったりします。
※赤枠が北アルプス
岩の殿堂である剱岳はやはり目立ちます。
日本最後の秘境であった剱岳は白馬岳の優雅な稜線歩きとは違い、ストイックな岩稜歩きでした。
山頂の奥に「登るべき岩」を発見。
風が強ぎて、ストックはポージングのためではなく、体を預ける保険。
山頂の動画です。
爆風の音がうるさいので、音量に注意して再生してください。
山頂の石の隙間からはイワギキョウが咲き。麓から山頂までずっと花が咲いているということに感心します。
巨大な犬も登っていました。
背負っているポーチは自分の糞を運んでいるようでした。雪渓をどうやって登ってきたのか、日帰りにするには早すぎる山頂着なので泊まったのか、非常に気になるところです。
白馬岳の山頂から白馬大池に続く縦走路。
日本海を目の前に、白馬大池への縦走路
山頂より下山を開始します。
緩やかながら細かなアップダウンが見て取れます。
途中の三国境から分岐し、雪倉岳、朝日岳を経由、栂海新道(つがみしんどう)で海抜0mまで歩くという記録好きには堪らないルートがあるようです。
自分は親不知の海岸線に行き、日本海に触れているので、実質的に白馬岳から日本海に行ったと言えるので、このルートを歩いたと同じようなものです。
登山道から離れてコマクサが群生していました。
登山を始め、高山に登るようになった頃は、コマクサは貴重な高山植物という印象がありましたが、目新しさがなくなっていまいました…。
ウルップソウはやはり終わりかけ。根元から全部紫に染まっているのは7月上旬から中旬にかけてなのでしょう。
8時19分 三国境
名前の通り長野県、富山県、新潟県の県境になります。三県県境を巡る趣味を持っている自分としては、訪れたかったポイントです。
三国境から小蓮華岳に向かう稜線は、白い砂礫で形成されています。
進行方向に日本海、左手に立山連峰、右手に白馬村や頚城山塊と質の高い稜線歩きをすることができます。アップダウン多いし、疲れるし、見るのはいいが歩きたくはない、アンチ稜線の自分でもこれにはウットリ。
田舎にあるコンクリート化されていないラーメン屋の駐車場を思わせる様な石砂利です。青空の下で輝くような稜線が白馬の背のようだということからつけられています。
というのは、自分が考えた嘘です。
春になると中腹に馬の形をした岩肌が現れ、それを春の農作業を始める時期の目やすとし、また、田おこしの代かき馬の形に似るということからきている
山に特定の雪形が出現すると田植えを開始するという伝承は日本各地にあります。東北の鳥海山では「種まき爺さん」の出現が田植えの知らせだとか。
白馬岳からの槍ヶ岳は距離があるので、同じ北アルプスって気がしません。なんだかんだで登れていない山です。
白馬岳からずいぶん歩いてきました。
早朝は痛いほどの爆風でしたが、陽が高くなってくると汗を抑えてくれるので心地よいくらいです。
9時21分 小蓮華岳
三国境から1時間ほど歩くと小蓮華岳に到着しました。長野県と新潟県に跨っており、標高2766mあります。
この山は新潟県の最高峰と言う事実があります。東北から上信越そして北アルプスに分布する新潟県の最高峰が、ここにあるというのは少し違和感。「小」だし。
標高2799mの蓮華岳は、こことは別にあります。
鉄剣が突き刺さっており、山岳信仰の名残があります。枝分かれした刃が武器として非常に扱い難そうです。
男体山、高千穂峰、大峰山(八経ヶ岳)に続き、山頂に武器が突き刺さっている系の山の一座。
小蓮華岳は白馬三山の絶好ビューポイントになっていて、白く雪渓が残る雄大かつ優雅な山脈を眺めることができます。
こちら側から白馬岳の山頂を目指すのも爽快だと思います。
剣の中心に刺さっている球が気になる。
大休憩を挟んだ小蓮華岳から白馬大池へと下山します。太陽の高さが変わり、温められた地面によって雲が湧きはじめます。
ゴルフコースのように穴が空いている光景が不思議です。
ゆっくりしたいけど、また重い荷物を背負って歩き出ださねばならいのか…。
途中、コバイケソウの群生がありました。
チングルマの群生とその後ろに白馬岳という雑誌にありがちな構図を撮影。微妙に枯れかけだし、ハクサンイチゲが混じっているのが微妙か。
無駄に重い荷物のせいで、瀕死状態ですが、体に鞭を打って歩きます。
少しの登り返しでもきつく感じます。
小蓮華岳より登り返すと船越ノ頭という場所に到着です。
これから白馬岳の山頂を目指す人、下山する人がたくさん休憩しています。
登山道にコマクサが飛び出して生えていました。
ここまで来れば、白馬岳の稜線歩きはほぼ終了です。
雷鳥坂と名付けられた坂では雷鳥を一切見ることができなかった。雷鳥は天敵がいる晴れた日にエンカウントしないため、当然と言えば当然ですが…。
夏雲映す標高2400mの白馬大池
尾根の東側にある白馬大池は、西風の影響を受けず、湖面に空の色を映し出していました。
大池周辺もまた高山植物の群生になっており、チングルマが所狭しと咲いています。
チングルマに混じるようにして、ハクサンコザクラも咲いています。この二つの花はよくセットで見かけます。
稜線から外れ、白馬大池へと下ります。
風が遮られるので、暑いのなんのって…。
10時40分 白馬大池
山頂から3時間ほど掛かりました。白馬大池山荘の食堂で何か食べようと思っていましたが、営業時間外で食べれず…。すごくカレーが食べたかった。
缶で売っていたコーラを飲み干しました。
白馬大池キャンプ場は平らに整地され、広々としていました。次に泊まるならこっちだと思う次第です。
その場合は、新潟県の蓮華温泉から入山するとロープウェイ代が掛からず良さそうです。アクセスは遠いんだろうけど。
標高2400mに位置する白馬大池と雪が残る山の組み合わせは、思い描く夏のアルプスの風景そのものでした。
成長し続ける夏雲。
歩いている間は太陽を遮ってくれる時間がありがたかったりします。
白馬大池で昼食込の大休憩をとり、再出発します。
大池の水辺に沿って登山道が整備されています。
しかし、大渋滞が発生したのは想定外でした。
ツアーらしき団体が後ろの列を気にせずマイペースに進んでおり、誰も道を譲ってとも言わないものだから、長い列ができていました。日本人のあるべき行列の姿か。
白馬大池からは若干の登り返しが待っています。
乗鞍岳に到着。
北アルプスの南端にある乗鞍岳は有名ですが、白馬岳の一峰を担う乗鞍岳は平べったい山頂をしていました。
白馬大池から栂池平まではコースタイム2時間半の道のりですが、雪田が残っていたり、中学生の団体が列を作っていたりと長く感じました。
乗鞍岳直下には結構な規模の雪田があります。アイゼンを装着した方が無難な気がしますが、ほとんどの人はノーアイゼンでした。
天狗原は高層湿原があり、木道が整備されている場所があります。列が続いているため、のんびりと観察している余裕はありませんでした。
森林限界を下がり、樹林帯に突入です。
眩しいばかりの新緑と雪解け水が流れる沢の音が涼しげで、風流な道でしたが、いかんせん行列が絶え間ないため、余裕はありません。
再び、雪田。
行列に不快感を示す登山者の思惑が交錯し、人間模様の醜さが見え隠れしていました。
人と人の間隔を詰め、プレッシャーを与えてくる登山者。無理やり先へ先へとかき分けようとするおばさん。「雪の上なんて軽く歩けるもんよ」とロープの無い場所を堂々と歩き、挙句滑って列に突っ込んでくるおやじ等。
下界は35度と言う酷暑という気温の中、最後はジグザクの面白みのない道となり、ヘロヘロでした。ようやく施設が見えてきたときは嬉しかったです。
白馬岳下山~みみずくの湯
13時30分 栂池平
冬はゲレンデ、夏はトレッキングが楽しめる栂池平は山荘とビジターセンターが揃っており、観光地でした。アスファルトの上はこれ以上ないくらいに暑かった…。
暑くてやってられないので、速攻でソフトクリームをゲットです。五臓六腑に染み渡る。
STRONG姐さんもいつの間にかちゃっかりと購入していました。
栂池自然園のトレッキングコースに興味があったのですが、こんな暑さでは100m先にある入口までも行く気にもなりませんでした。紅葉の時にでも歩こうかな。
栂池ロープウェイまでは卵が焼ける程に熱されたコンクリの上を地味に歩きます。
ビジターセンターで食べたソフトクリームと栂池サイダーで補給された水分が、再び体液となって流れ出します。
栂池平からつがのもりまでは、ロープウェイで移動。
小谷村(おたりむら)で造られたという日本酒が販売されており、冬場は白馬の地中で保存したという文句に惹かれました。
ロープウェイ片道が1920円と高額なのでしぶりました。
つがのもりからは再び歩かされ、ゴンドラリフトに乗り換えます。テント泊装備では試練以外何物でもない…。
ゴンドラで下山後は、停車していたタクシーを利用し、登山口の猿倉に戻りました。
白馬周辺はろくな温泉施設がないと思っていましたが、みみずくの湯は白馬連山が眺める露天風呂があり、「登った山を眺めながら湯に浸かる」という観点をクリアしていました。
料金600円で、営業時間も21時30分までなので、白馬を訪れたときはここに来ようかと。
ご当地のむヨーグルトをしっかりと押さえておきました。白馬岳と安曇野は結び付かないわけですけど。
夕食は道の駅「白馬」に併設されたレストランで食べました。
登山後には肉肉しいものが食べたくなるので、メニューの中から「はくばの豚丼」をチョイス。全員がこれを選択しました。
甘辛のたれがジューシーな豚に絡み、ご飯泥棒だったのは言うまでもありません。
白馬エリアから帰京する場合、中央道派と関越道派に別れます。
個人的には関越道を使うのが好きなので、国道406号から長野市に入り、長野ICから関越道で東京へと帰りました。
白馬岳の登山を終えて
少女漫画で描かれる「白馬の王子様」的なキャラクターを表現したような山です。
財閥の御曹司でありながら、勉強とスポーツが出来、顔立ちが良く高身長。しかし、主人公であるヒロイン一途で優しい。俗物的に言うと高スペックなのです。
真夏に歩ける大雪渓、開放的な稜線歩き、日本を越えた景観美、無数に咲き乱れる高山植物、充実した山荘とキャンプ場、そして「白馬」と名付けられた高貴さを感じる名前。
誰が見ても絶景、誰が歩いても良かったと評価するでしょう。
白馬岳の山域はルートも多彩で、白馬三山への縦走、雪倉岳や朝日岳なども興味がそそられる山です。
高山植物が最盛期を迎える7月から8月上旬がベストシーズンなのは間違いないです。白馬岳は数ある日本の山の中でも優等生的な存在。
1泊2日で良いとこ取りをした今回のコースは、距離も適度で歩きやすかったです。次回来るときには白馬大池キャンプ場にテントを張り、のんびりとした週末を過ごしたいと思っています。
白馬三山日帰りの記録
白馬大池とは逆ルートの猿倉基点の白馬三山周回コース日帰りの記録です。13時間半に及ぶ登山行程は体力的・精神的に吐き気がするほど厳しかったです。
白馬岳のおすすめ装備
大雪渓を歩く際に着脱が簡単なモンベル等から発売されているチェーンスパイクがお薦めです。1分掛からず、登山靴に装着可能です。アマゾンで売っているものでも全然だいじょうぶです。
コメント
高山植物、稜線や山頂からの景色、雑誌にありがちな構図に星空(最近新たにレパートリーに加わったのでしょうか、前から撮られていましたっけ)、やはり白馬岳は絵になりますね。憧れの存在。
ずっと行きたいのに未踏。理由は我儘。
「大雪渓から雪倉・朝日に縦走して蓮華温泉を経て白馬大池、栂池に至るという縦走を、ウルップソウが奇麗に咲いている時期にやりたい。」
この我儘なプランは、花の時期が限られる上に梅雨で天気も不安定、さらに夏休みシーズン前なので休暇取得も簡単ではないという3重の壁によって毎年実行不可能なものになっています。
今年は天気に関する自分の判断ミスと休暇がネックになって、7月の最初の週末にキタダケソウに賭けて白馬を却下。結果としてキタダケソウの時期も終わっていたという散々な結果でした。個人的には後立山との相性はよいので、この運が付いているうちに早く行きたいところです。
今年の夏はアルプスに行かれる予定はありますか。私は来週、花と関係なしに南アルプスの稜線に挑みたいと思っています。塩見から北岳、切り返して農鳥を経て奈良田の計画なので、3泊もしくは4泊で憔悴して帰ってくる予定です。生還できたらちゃんとブログでご報告します。ではでは。
>icyfireさん
白馬岳は悔しいんですが、絵になる山ですね。
自分は捻くれたところがあるので、みんなが素晴らしいと評価する山に対して、斜に構えているところがあります。
今更、白馬岳に関して、自分がブログ記事で伝えても、その素晴らしさは周知の事実ではありますが。
白馬岳と言えばウルップソウが、やはりレア品種ですね。
人間の立ち入りずらい時期に高山植物がピークを迎えるというのは難儀です。
白馬岳は交通の便がイイので、何度も足を運んでみるのもいいと思います。一回で長く歩く、何回も訪れて違う表情を楽しむ。いろんな楽しみ方がありますね。
過酷そうな南アルプスの縦走記録楽しみにしています。
きっと、楽しい樹林帯歩きが待ってますよ!
花と青空、楽しそうな山旅でしたね。(ゆうちゃんはお気の毒でしたが)
Veryblueさんは「親不知の海に触れたので、このルートを歩いたと同じようなもの」って、言われたけど、ダメ! ワタシャ認めないよ。いつの日か
テント背負って栂海新道に挑戦してください。
>やま子さん
コメントありがとうございます。
過酷な環境に咲く花々は、プランターで育てられたものを凌駕する生命力を持っているように思いました。
人の手が加わっていない花畑というは素晴らしいです。
栂海新道はいつか歩いてみようと思います。
ドローンが進化して、荷物運びの役をこなすポーター機能が出来たら!
白馬の大雪渓は憧れますね。
そして、良い天気で羨ましいです。
いつかは自分も行ってみたいですな
>南ハルオさん
大雪渓は夏でもひんやり涼しいですよ。太陽が当たると灼熱ですけど。
決して大変な山ではありません。
サマースノーを楽しんでみて下さい。
私、よく知らなかったんですよ。
白馬って沢山あるんですね⁉︎
八方尾根に行ったはなしを前のコメント欄に書いたけれど、八方尾根の山頂は唐松岳って山だったんですね。
私は八方尾根の山頂は白馬山の山頂なのだと勝手に思っていました。(^_^;)
veryblueさんの登ったコースが本当の本当な白馬岳なんですね〜
でも自分にはまだまだなので、(>_<)(たぶん、ずうっとまだまだ)ゴンドラとリフトを乗り継ぎ、かなり上まで行けちゃう唐松岳山頂を目指して八方尾根に行ってきます。(^^)
梅雨が明けてから近場の山は暑すぎて、実はしばらくサボっているのだけど、
八方尾根は前回行った時8月なのにとても寒かった覚えがあるので涼を求めて行ってきます。(o^^o)
ところで八海山は怖い怖い山でした。
だって、入り口に熊注意の大きな看板があり、勇気を振り絞り入って行くと鬱蒼とした中でクマンバチに何度も追いかけられ、平日に遅い出発だったからか前後には誰も居ず擦れ違わず…
山を登っていて、あんなに恐怖を感じたのは初めてで無事に戻れるかも不安だったので女人堂までで引き返してきてしまいました。
残念無念。
1人で登る場合はある程度の登山者数がある日を選ばないと怖くて登れないと覚えました。
でも、遠目に見る八海山は威風漂わせた素晴らしい山なので、また必ずリベンジしようとも思ってます。(^^)
それでは、白馬は白馬でも自分はゴンドラリフトを乗り継ぎ、ちょい楽して八方尾根に行ってきます!o(^▽^)o
>ユメミンさん
山は白馬岳(しろうまだけ)、その地域一体を白馬(ハクバ)と定義されるようです。
八方尾根~唐松岳は白馬(ハクバ)と名がつくエリアにある山です。
コースの充実度では唐松岳も引けは取らないかと思います。冬に登ったことしかないんですけど…。
八海山は夏より紅葉の方が人もいて、涼しいかと思うので、是非10月中旬~下旬で行ってみて下さい。
八方尾根を楽しんできてください!
去年の夏休み行ったときは終始霧、雨でしんどい思い出しかなかったです笑
(そのおかげで雷鳥が見れましたが・・・)
晴れているとこんなにきれいなんですね!
今年も今週予定していたのですが、悪天候のため中止に。
それにしても、1泊2日での行程はきついそうですね笑
>みっきーさん
コメントありがとうございます。
自分も前回は稜線で吹き付ける雨がひどかったです@@;
行動時間は1日あたり、5~6時間なので、他の山に比べるとそこまでだと思います。
背負っている荷物にもよるかと思いますが。
次は晴れるとイイですね!
こんにちは。
今年こそは白馬岳にと登山記など読んでいて、こちらのサイトにたどり着きました。
私自身山で写真を撮り、ブログに掲載しているので本ブログのきれいな写真は大いに楽しませていただきました。
ただ1点気になったのが山頂の方向盤に寝そべっている写真。
あちこちで目にするのが、観光地のモニュメントに乗ったり、看板にぶら下がったりと、その人の神経を疑わずにはいられない蛮行。
当人たちは旅の記念だと思っているのでしょうが、それを見る人の気持ちを考えたことがあるのでしょうか。
また、あの方向盤がどのようにして設置されたかご存じなのでしょうか。
こちらのサイトは結構人気があるようで、以前も何度か目を通したことがあったのですが、何度か「ん?」っと思う文面や写真を拝見しております。
きれいな山に登ってテンションが上がるのは分かるのですが、その辺のバカッターやユーチューバーなどと同類にならないことを願います。
>がくさん
ブログを読んで頂き、また参考にして頂きありがとうござます。
写真に関してお褒めを頂いたこともまたありがとうござます。
ただ、後半の文章は非常に不愉快です。
私のことを神経で蛮行をする観光客、バッカターまたユーチューバと同類と言っているのと変わりません。
登山者としてマナーを正したいのであれば「方位盤に寝そべる写真はマナー違反だと思います。」の一文で済む話だと思います。
マナーを正すためではなく、私を登山者として愚かな人間と指摘するのが目的としか受け取れません。
それは「~でしょう。」などの問いかけ、「同類にならないことを願います。」など文章で感じました。
ブログ上のコメントですが、人間の相手がちゃんといることを考え、最低限の礼儀を心得て下さい。